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二次小説(『こばと。』と『図書館戦争』)、ホームパロディ、日常や近況など、書きたいものを綴っていますヽ(oゝω・o)-☆

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≪背中の靴跡シリーズ≫ 『われても末に逢はむとぞ思ふ』~vol.2~

≪ われても末に逢はむとぞ思ふ~vol.2~ ≫背中の靴跡シリーズ


「~~もー、手塚ったら!! せーっかく勧誘のチャンスだったのにぃ!! 熱意と執着で、もっとゴリゴリ押さないとッ!!」
「小牧先輩みたいなタイプは、ゴリ押しは無駄だ。本人が納得しないとな」
「そんなにのんびり構えてたら、気付いたら卒業しちゃってるよー!」
「そんなわけあるか! 一時退却して態勢を整えるだけだ。……堂上先輩が居ることは知っていたが、小牧先輩が在学しているとは知らなかったしな……。もう少し先輩の情報を集めて、切り口を見つける」
「おー! 流石手塚、悪役っぽい!!」
「~~誰が悪役だッ!! 俺は正攻法でしかやらんッッ」
「いやーなんか、相手の弱味握ってから無理強いさせるとか、悪役っぽくない?」
「~~ッ、誰が『無理強いさせる』んだよッッ!! 『本人も納得して』って最初から俺は言ってるよな?!」
「あー、そういや、そうだっけ」
「~~~~ッ! まったく話にならんッッ!!!」
「あー、じゃあさ、堂上先輩を落とすために、さっき教えて貰った柴崎さんって子に声かけてみる? 『かるた』って知ってるかなぁ」
手塚の怒りをまったく感じていないような呑気そのものの笠原の声に、手塚は盛大な溜息を吐いた。
「~~お前、ホントにかるたやってんのか?」
「なーによー?! 疑ってんのッ?! あたしは正真正銘のB級なんだからねッ!!!」
「じゃあなんで、去年、史上最年少クィーンになった柴崎麻子を知らないんだよ?」
「…………へ……、しじょう…最年少…………えええええッ?! 史上最年少クィーンッッッ?!?!?!」
はぁ……。
「…………お前、ホントにかるたやってんのかよ…………かるた界のみならず、新聞やメディアにも取り上げられてたぞ。歌舞伎役者『尾上菊之助』の長女だよ」
「はああああ?! だって柴崎さんでしょッ?! 尾上さんじゃないじゃんッッ!!!」
「お前、ほんっとーにバカだなッ!! 歌舞伎俳優ってのは役名を代々踏襲していくもんで、本名じゃねぇんだよッッ!!! そんなことも知らない日本人が居るとは思ってもみなかったぞッッ!!!」
「…………そうなの?」
「……………………そうなんだ!」
キョトン、と悪びれもせずに小首を傾げる笠原に、苦々しく溜息を吐きながら手塚が応じる。
――――本当に、こいつと話してると疲れる――――
サッサと行こうと速度を上げたが、笠原はあっさりと付いて来た。
「ねーねー、じゃあ今から柴崎さんのトコロに行くの? その様子だと柴崎さんのことも当たるつもりなんでしょ? 柴崎さんって何組なの?」
「…………5組だ。だけど、今日はもう早退してる」
「~~えっ?! なになになにっ、やっぱり堂上先輩と一緒に早退したってこと?! やっぱ婚約者…」
弾んだ声で言い掛けた笠原の腕を掴むと、壁際に追い込んだ。
女子としては長身の笠原だが、手塚相手では上から見下ろされる。
真剣な手塚の表情に、思わずドキリとした。
壁と手塚の身体の間に挟まれる。
「……軽々しくそういうことを口にするな! 何気ない噂でも当人を傷つけることもある――――噂って言うのは時として凶器にもなるんだ」
それだけを言うと、スッと離れていく。
笠原は呆然と、背筋の伸びた高い上背を見送るしかなかった。


     *


「手塚、昨日はごめん。ちゃんと反省した。――――だから一緒に柴崎さんの勧誘行こっ!」
授業が終わってすぐ、俺の机の前に影が立ったと思ったら、笠原が目の前に立ってそう言った。
訝し気に見つめ返したが、笠原は真っ直ぐな瞳で見つめ返してくる。
「あたし、柴崎さんに、かるた部入って貰いたい! そんであたしにかるたを教えて欲しい!! あたし、もっともっとかるたが上手くなりたいからっ!!」
子供みたいな言葉だが、笠原が本当にそう思っているのだと伝わってくる。
笠原のことはまだよく知らないが、表裏のない曲がったことの嫌いな真っ直ぐな性格なのは、入学からの数日でもわかってきていた。
「…………わかった。けど、本当に言動には気をつけろよ」
カタン、と手塚も立ち上がった。
「ねーねー、手塚ってさぁ……柴崎さんのこと、知ってるの?」
「多少な……あいつも俺も、小学校からここ開明成に通ってるからな」
「へ?! ~~でもでも、手塚って、中高一貫クラスじゃないじゃんッ!!」
「ああ、俺、中1の秋からアメリカ行ってて――――高校入学に合わせて戻ってきたから。中学で一旦抜けてるってこともあるし、高校からの入学クラスに入れて貰っただけだ」
「うええええ?!?! なになに帰国子女ってヤツッ?!?! じゃあ、英語ペラペラっ?!?! すご――いッ!!」
廊下で突然大声で叫んだ笠原に、皆の注目が集まる。
「~~だからお前煩いッ!! いいから、黙って来いッ!!!」
一喝してスタスタと大股で進むと、笠原は慌てたように口に手を当てて付いて来た。
1年5組。
流石は小中高一貫クラス、随分の雰囲気はすっかり落ち着いていて穏やかだ。
扉を開けて、手塚は部屋を見ましたが、柴崎は居ない。
大声で柴崎の所在を訪ねるのも憚られるので、休み時間にも拘らず教卓の一番前の席に一人で座っている女子に聞いてみようと部屋に入った。
「あの、すみません。柴崎さんは……」
手塚が話しかけても、女子はひたすらノートに字を書き続ける作業をまったく止めず、反応しない。
まるで、手塚の存在など気付いていないような態度に怪訝に思いながらも、もう一度口を開こうとしたところで、笠原が手塚の後ろから顔を出した。
「あのー!! すみません、柴崎さんってどこに居ます?!」
性懲りもない大声に、手塚が舌打ちして叱咤しようとしたが、女子の手が止まって顔を上げた。
驚いた様子もない。
髪の毛先が少しくるんと巻いた、可愛らしい顔付きの子だった。
その子は、手塚と笠原の存在に今気づいたとでもいうように、にこっと愛想の良い微笑みを浮かべながら、少し困ったように小首を傾げる。
口を開くことはない。
なので、笠原の方がもう一度尋ねた。
「柴崎さん、どこに行ったか知りませんか?」
笠原の声に、パッと女子の表情が明るくなり、手元にあったタブレットに高速で触れると画面を見せてきた。
【今日はお休みです】
あれ、と笠原が思ったところで、手塚がおい、と笠原に小声で呟いた。
「……耳が悪いみたいだ。補聴器を付けてる」
「~~~~え…ッ?! あ、ごごごめんッ?!」
慌てふためくような笠原の様子に、くすくすと笑う女子は、花が咲いたように可憐だった。
【大丈夫です。こちらこそ、話すのが苦手ですみません。柴崎さんに用事ですか?】
「……あ、うん!! その、かるた部に入って貰いたいなぁって思って!!!」
【かるた部? かるた部なんて、この学校にありましたっけ?】
「これから作ろうと思って!!! だから部員大募集中ッ!!! 興味あるならあなたも是非ッッ」
「オイ…ッ!!!」
いつものように勧誘し始めた笠原の頭を、手塚は思いっきり叩いた。
「~~~~ッ…イ……ッタぁ…ッ!!!!!」
「お前なぁ!! 耳の不自由な人に何言っ……」
言い掛けた手塚も、しまったと思ったのだろう、言葉を途切れさせる。
と、驚く程の超高速でタブレットを打った女の子が、困った微笑みを浮かべながら画面を見せた。
【ありがとうございます。でも、耳が聞こえにくいので、かるたは出来ません】
「~~~~ッ……あ、そそそうだよね、ごめんねッ!!!」
【いえ、でも、かるたは好きです】
「ホントッッ?!?!」
【はい】
【よかったら、マネージャーでもよければ、私も入れて貰いたいくらい】
「えッ?!?! ホントにッッ?!?! 大歓迎だよ~~~~ッッ!!! 是非是非入ってッッ!!! かるた大好きな人、やっと見つけた~~~~ッッ!!! 嬉しい~~~~ッッ!!!」
ガバッ! と笠原が抱き付いたのに、女の子も笑う。
……どうやら、本当に、かるたが好きな子なようだ。
しかし、彼女は選手にはなれない――――、やはり後3人は最低でも欲しい。
そう考えを巡らせる手塚を余所に、笠原は女の子と自己紹介をし合っていた。
「中澤毬江――――じゃあ、毬江ちゃんだ!! あたしの名前はねぇ、笠原郁。郁でいいよッ!! こいつは手塚。手塚光。かるた部員第一号!!! ねー手塚ぁ…今日から毬江ちゃんも仲間だからっ!! 毬江ちゃんって呼んであげてね」
「中澤でいいだろ」
そんなやり取りをしていたら、教室内がざわめいた。
「~~え……手塚くん?! うそ…っ、日本に帰ってきたの?!」
「え、え、え……ビックリーっ!! すっごい背が伸びてるッ!!」
「あ、でもでもやっぱり手塚くんだぁ……面影あるっ!!」
「ねぇねぇ、今どこに居るの?! どうして5組じゃないの?!」
入学式の日のように、まず初めに会話に食いついて来たのはやっぱり女子で。
わぁ…っと人の輪が集まってくる。
女子の勢いには全然勝てはしないが、男子もだんだんと声を掛けてくる。
「おー! 手塚かよぉ、久しぶり~っ! 元気そうだなっ!!」
「いつ帰って来たんだよ?」
「水臭ぇじゃんか! もっと早く、面見せろよなー!!」
呆気に取られる笠原に、毬江がパッドを見せる。
【あんまりにも背が伸びていたから、全然気付きませんでした。彼、手塚くんだったんですね】
【小学部は1クラスしかないので、皆、6年間一緒なんです。だから手塚くんのこと、よく知ってます】
【頭が良くて運動も出来るから皆の人気者だったんですよ。手塚くんのアメリカ行きの発表の後、ショックのあまり寝込む女子もいましたから】
そう言ってくすくす笑う毬江に、郁は目を丸くする。
……まぁ、顔は確かにイケメンだし、入学式で挨拶を読んでいたから主席入学だったんだろうとも思うし……いやけど、あたしに対する態度はいただけない!!
「……それ…ホントに??? 手塚って、結構ムカつくこと言ったりするじゃない?」
思わず漏れた言葉はちゃんと毬江に聞こえたようで、可笑しそうに更に毬江は笑った。
【それは、郁ちゃんが手塚くんに体当たりしていくからじゃないですか? 手塚くんは基本、人付き合いはとても上手ですよ】
?????
――――そう……なのだろうか。
何気なく手塚を見れば、確かに卒なく会話に応えていた。
「……あたし――――が悪いってこと?」
【別に悪くないですよ。あんなふうに手塚くんと言い合えるって素敵だと思います】
「えー、でも。…………お互い、文句の応酬だよ」
その言葉に毬江がくすくす笑う。
意外とよく笑う子のようだ。
【自分と対等だって認めてるからでしょう? なかなか手塚くんと対等に張り合える人って居ないですよ。郁ちゃんは凄い人なんでしょうね】
「え?! あたし?! いやいやいや、全然凄くないよー!! あたし、かなりバカでさー……この高校に入れたのも『奇跡!!』って皆に驚かれちゃった!!」
【でもやっぱり郁ちゃんは凄いと思いますよ。特にこんな風に人の中に入ってくる力が】
「――――人の中に入ってくる力……?」
【そうです。初対面の私の中に、もうこんなに入ってきたじゃないですか】
「~~そ、そうかなぁ……あたし、褒められてる??」
【ちゃんと褒めてますよ】
ますます、くすくす笑いを増長させていた毬江だったが、ふと、心に思いつく。
……そうだ。
郁ならば、麻子の心の中にも入ってくれるかもしれない。
美しい幼馴染の顔を思い浮かべる。
誰もが美人と称する容姿。
学校も休みがちだが、卒なく熟す友人付き合い。話題も豊富で話術にも長けている。
学校に来なくても常に学年首位の学力。
だけど。
本当の麻子を、誰も知らない。
寂しいけれど、毬江ですら。

でも、郁ちゃんなら。

そう思わせる明るさと眩しさが、郁にはある。
郁へと顔を正面から見据えた。
【あの、】
【郁ちゃんは、麻子ちゃんをかるた部に誘うつもりなんですよね?】
「あ、うん! 柴崎さんには絶対かるた部に入って欲しいんだっ!! あたし、柴崎さんにかるたを教えて貰いたいし、一緒にかるたしたいっ!!」
【――――私、プリントや今日の授業ノートを見せに、帰りに麻子ちゃんに会いに行くんですけど、一緒に行きますか?】
「えっ?! いいのッ?!?! ありがとう毬江ちゃんッ!!」
ガバッと郁に抱き付かれて、驚く毬江。
最初は目を丸くしたものの、郁の温もりに、やがて、微笑みが浮かぶ。
郁ちゃんなら、麻子ちゃんと一緒にかるたが取れるかもしれない。

そして――――……

あの人も。

タブレットを打つあたしに気付いて、郁が少し身体を離して見つめた。
【あの、私もかるた部に誘いたい人がいるんですけど、】
「え、誰だれだれ――ッッ?!?! かるたに興味がある人なら、誰でも大歓迎だよ――ッッ!!!」
興味でキラキラと目を輝かせる郁に、少し躊躇う毬江。
その様子に、郁も少し態度を改める。
「……毬江ちゃんが一緒にかるたしたい人? ……だったら、あたしも精一杯一緒にお願いするよ!!」
ね、と笑う郁は、花が咲いたように眩しくて。
明るい日差しが差したように、これまで見えなかった道が見える気がした。
勇気を出して、指先を動かす。

【3年1組の小牧幹久さんです。一緒に勧誘してくれますか?】

「うええええええっっ?!?!」
毬江の示した名前に、郁の驚愕の悲鳴が部屋中に響き渡った。



……To be continued.



********************



というわけで、毬江ちゃん登場! 麻子とは幼馴染の関係です。
毬江ちゃんはやっぱり癒される~~~~(*^^*)
かるた部にマネージャーは必要なのか? とかいうことは、郁ちゃんも考えてないので皆様もお気になさらずで★
というわけで。
ようやく次は麻子登場♪ ですが、あんまり期待しないでくださいデス★
というのも、最初の頃は柴崎の印象、悪いばっかりになりそうなんで…………くすん。
堂上さんも一緒に登場となるのかどうか……(まだ決めてない★)

さて、いよいよ、GW突入ですね!
いよいよ令和元年……少し身が引き締まる思いもします。
皆様、楽しいGWを~~!!
(GW中はお話が書けないので来週はお休みすると思いますが、続き頑張りま~~す♪)








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和ww 

ママ様

平成最後のコメレスですねー!
ありがとうございます!!
令和になっても引き続き、よろしくお願いします!!(←厚かましい…(苦笑))

そうなんです、サイトの感じを変えました~♪
「かるた」の話だし、「和」っぽい感じのテンプレを探しましたw
華やかですね!
ウチのサイト、割とシンプルなので、豪華な感じになりました★
話は相変わらずなんですけど、この連載中はこれでいこうかな、と思います。
お話、まだまだ進まなくてすみません。
それなのに、コメントを下さるママ様……ある意味才能だと思います!!(笑)
いやー、全然話が進んでないのに、いろいろと想像して下さって、本当に書き手冥利に尽きます!!
ようやく次回は柴崎登場予定♪ 私も本当に嬉しいですww
正直、手塚とは初対面ではなく、小学校時代はクラスメイトですが、お互い何も感情なし予定。
頑張ってお話もそうですが、気持ちも動いてくるところへ、頑張って書き進めたい…!!

というわけで、平成最後の日もやはり、日常…………。
ママ様にとって、平成最後の日がよき日となりますようにw
そして、令和も素敵な日々がたくさん続きますように…!!!


  • posted by ツンデレラ 
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  • 2019.04/30 09:30分 
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  •  
  • 2019.04/29 10:23分 
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 管理人ツンデレラが妄想の赴くままに、自由奔放に二次小説やホームパロディを書き綴っています。時々、近況をぼやいたりもします。
 現在、二次小説としては、アニメ『こばと。』と『図書館戦争』を書いています。
 共に、原作者様とは一切関係のない、非公式ブログです。
 ブログの詳細につきましては、カテゴリの「はじめに。」をお読み下さい。
 ネタバレ有り。無断転写・無断複製厳禁!
*管理人ツンデレラの紹介
 PCのみならず機械全般にオンチ☆ 若干常識もない……でも、4人の子供の親です(~_~;)
 現在、書きたい!という熱い想いで爆走中★

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