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2018.12.14 (Fri)

≪背中の靴跡シリーズ≫ 『とある休日の過ごし方』~take.4 その1~

≪ とある公休日の過ごし方 ≫背中の靴跡シリーズ


◆◆◆take.4~その1~◆◆◆
明日は麻子も俺も公休日――――。
日報ごときに未だ悪戦苦闘する笠原を尻目に、こちらは業務終了だ。誰からも文句が出ないように塵一つなく机も片づけた。

さてこれより、笠原よりも先に家に帰り、麻子をしっかり確保!

そんな想いが手塚に過る。
…………そもそも愛妻との公休日が重なるという大切な日が、笠原の襲撃に始まってなんだかんだと通常の公休日の過ごし方が出来ていないのだ!
今夜こそは、麻子を思う存分堪能したい! いや、してみせる!!
明日の朝はゆっくりと過ごせるのだから、なんならオールナイトでもOKだ!
思わずグッと拳を握って誓いそうになる。

…………いや、別に、あれ以降に麻子との夫婦の夜がなかったわけではないのだが、やはり公休日前というのはその、特別な想いがあるというか、とにもかくにも違うし、大切なのである。なんと言っても、互いに互いの翌日を考えずに心ゆくまで堪能出来るし、それこそ気構えからして違う。
上手くいけば、翌朝も昼過ぎまで麻子とベッドでイチャイチャしたっていいのだから。

――――思わず緩みそうになった口元を気合で引き締める。
気を引き締める意味でも、今日は絶対邪魔するなよ、と笠原に一瞥を投げかけてから、「では、お先に失礼します!」と背筋を伸ばした。
そんな手塚の様子をずっと見ていた小牧は、お見通しなのか笑いを噛み殺すのに必死のようで声も出ないようだ。
堂上は柔らかな視線を向けて「お疲れ」と返してくれた。
今日は堂上も笠原と共に帰れそうな雰囲気だ。
よし! 大丈夫だ! と手塚の全身からオーラが放たれる。
小牧が机に突っ伏したことに、手塚は気づく由もなかった。

部屋を後にすれば、足早に自宅を目指す。
スキップでもしたい程浮かれた気分だが、顔には出さなように気を付け、とにかく長いコンパスを動かす。
もう内心ではウキウキモードだ。
競歩の大会か、と思う勢いで基地を出ると、目の前に仄かに輝いているような黒髪が見えた。

途端、ダッシュだ!

「麻子! お前も今帰りか?!」
はしゃぐ気持ちを乗せた声。
振り向く気配が2つだったことに、ふいに気付いた。
なぜか麻子の黒髪しか目に入ってなかったが、隣には同期の広瀬が――――思わず顔が引き攣って強張る。
「早いじゃない」
「レアな手塚の『麻子』呼び、聞いちゃった~♪」
ニヤニヤと笑う広瀬の言葉に、ぐっと口を結ぶ。
つい甘く呼びそうになるから、図書館では出来るだけ「柴崎」呼びを今でも心掛けている手塚なのだ。
なのに浮かれ気分のままに呼び掛けた声を聞かれるなんて。
「今更取り繕ったってダ・メ! ご主人様を見つけて猛ダッシュしてくる犬みたいだったわよ、今の」
「……………………」
ここで反論をすれば余計に突っ込まれることが目に見えているので黙り込む。
「珍しいわよねぇ! いいことでもあったの? 妙にウキウキしてたし」
「…………別に」
「何もないのに、走ってくる?」
「~~~~そ、そそれは…っ! ほほほら、あ…柴崎もお前も、なんか重そうなデカい袋持ってるから……」
咄嗟に言い訳を考えて彷徨った視線が、二人が下げている大きな紙袋を見つけた。
慌ててそれらを持ってやる。
「え? 持ってくれようとして?! うっわー、こういうとこ紳士なんだよねぇ手塚って! 結構そういうのをスマートにするから、結婚したのに相変わらず人気あるもんねぇ」
「……力仕事や荷物持ちは男、って意識だけよ。しかもそれ教えたのあたしだし、別にずば抜けて紳士的なわけじゃないんだけどなぁ。みんな目に見えたことしか見ないよねー」
「あ! 柴崎、今のヤキモチ?」
「ち・が・うー! ヤキモチじゃなくて真実」
「とーか言っちゃって! けど柴崎もこういう人間臭いトコを見せるようになったから、結婚したのに人気急上昇なのよぉ! なんつーかこれまでになかった可愛さが加わった感じだもんねー!」
「なーによう。それじゃあこれまでのあたしは可愛くなかったみたいじゃない」
「いやー。柴崎にこういう乙女な可愛さがあるとは思ってなかった!」
なにそれー! と麻子が広瀬に突っかかるのを見て、こういう面を外で見せるようになってしまったことが手塚の頭を悩ませる要因なのだと改めて溜息だ。
どんどん可愛くなる奥さんに、虫は集る一方なのだ。
手塚としては、入隊式の時に【手塚麻子は手塚光の妻だ】と宣言してもいいのでは、とすら思う。
溜息と共に落とした視線が、紙袋の中を見る。
「…………なんだこれ」
「あ、それねー、次の子供イベントで子供達に作らせる為の工作キット! 柴崎立案のイベントっていつも趣向が凝ってて大盛況になるからもう少し作っておいた方がいいねってことで、柴崎の家で作ろうかって言ってたの。――――多分すぐに終わるし、今から行かせてね!」

「……………………は?」

思わぬ不意討ちに一瞬固まり――――だが次の瞬間、猛然と抵抗を始めた。
「え、いや、来…………いやいやいや! ……だ、大丈夫! 俺が作っといてやるから、広瀬はもう帰れ!」
「ええ? いや、悪いしいいよ! だってこれ業務部の仕事だしさぁ」
「いや大丈夫! 紙工作だろ? 麻子が飯準備してくれてる間にやっとくから!」
「…………ちょっと待ったぁ!!」
広瀬に畳みかけようとしている俺に向かって、麻子がストップをかけた。
思わず目を白黒させてしまう。
~~~~え…、いやだって、だって、公休日前の大事な時間だぞ?!
焦る気持ちはあるものの、威厳ある麻子を前にして、先に口を開く気概はない。
「ひ・か・る! ちょっと待って、ご飯はあたしが作ることで決定なの? なんで? ――――今から光も帰るんなら、光が作ってくれればいいじゃない! あんたが作ってくれてる間に、広瀬と二人で作業したらそれこそあっという間に終わっちゃうくらいの量なのよ。その方が効率いいでしょ?」
「…………は? え? …………い、いや、その……なに作れば……今から買い出しに行けってことか?!」
麻子からも追い出しをかけられたのかと思えば、焦る気持ちが募る。
――――だってだってだって! 今日は大事な公休日前なんだぞ?!
「そうは言ってないわよ。今夜はシチューのつもりで材料あるから…………シチューは光、作れるでしょ?」
「…………あ、ああ…………レトルトの素使っていいなら…………」
「もちろんいいわよ。じゃあ決定ね」
そう言うとニッコリと花が咲いたように笑うから一瞬見惚れてしまって――――歩き出した二人の後を慌てて追いかける。
まったく情けない。
情けないが、俺が料理を担うことに関して、広瀬の受けは酷く良かった。
「凄い! 手塚って料理出来たんだ?!」
麻子に向かって問いかける広瀬に、麻子はふふっと悪戯っぽく笑う。
「結婚後の躾よ。共働きだから家事は分担しようって最初から言ってくれてたからいろいろ教えたの。――――広瀬の彼氏も嫌がるタイプじゃなさそうだから、結婚後に躾なよ」
「そっかそっか、そうだよねぇ! 初めの躾が大事って言うもんね!」
「そうね。男の人って自分で気が付いて動いてくれるようなタイプは少ないから、ズバッと言ったほうがいいよ。我慢して苦労してしんどい思いして、ある日突然これまでの不満を爆発させられる方が男の人には「なんで」ってなるみたいだし。「これはやって欲しいな」ってことは、わかるように言ってあげた方がいいみたい。
まぁ…先輩は優しそうだから、共働きだし役割分担しようねってっ話をしたら絶対やってくれそうだけど。料理なんかは最初は教えてあげなきゃいけないかもしれないけど、簡単な料理から始めて……最初はさ、不器用に悪戦苦闘するんだけど、真剣に取り組んでる姿とか見たら結構可愛くて萌えるよ。光なんか親の仇でも見るかのような目つきでジャガイモを睨みつけながら格闘したりとかしてさぁ」
「うっわ! 柴崎の惚気ッ!!! レア!!! けど笑えるー!! いつも卒なく凛々しい姿で通してる手塚がジャガ…ジャガイモ……ぶわっははははは!」
…………人のこと笑いモンにしてるなよ! とブスッと拗ねた気持ちになるが、爆笑する広瀬の横で心底楽しそうに嬉しそうに笑ってる麻子を見ると、……まぁこの場で笑われるくらい許してやろうか、という気持ちになるのは惚れた弱みだ。
ああでも、そういう顔を見せるようになったから、これまで以上に騒がれるハメになってるんだけど。

「……ぶ、くくくく……。やっぱ武蔵野第一きってのオシドリ夫婦は流石ね!」
「違う違う、武蔵野第一きってのオシドリ夫婦は笠原と堂上教官よ! あたしたちはフツーの夫婦だもん」
「よっく言うよ、あんた達が実はベッタリ甘々なのは一部では有名なんだからねー! まぁ笠原ンとこはイチャイチャと万年新婚夫婦だなって思うけど、あんた達の仲の良さだって全然引けを取ってないわよぉ!
ホントもう…ぶっちゃけちゃうと私、目標は柴崎ンとこの家庭みたいな夫婦になりたいんだよねー。仕事とプライベート、きっちりわきまえていながらもお互いずっと想い合っててさぁ……実は憧れてるんだよね」
「…………持ち上げたって何も出ないわよ」
そう言った麻子の頬が赤らんで、チロリと上目遣いで唇を突き出すから、コケティッシュな可愛さ爆発だ。
ドギュン、と心臓を射抜かれて言葉もない手塚に代わって、広瀬が笑って注意してくれる。
「ほらほら、そーゆー顔を晒しちゃダメだよぉ! ほぉんと柴崎ったら可愛くなっちゃって! まーた要らない虫が寄ってくるじゃん!」
「…………広瀬しか居ないからダイジョーブ」
あ。
止せ!
見せるな!!
その顔で拗ねて見せるとか…………ヤバい、キスしたくなる……!
思わず自分の口元を手で覆って防御だ。
我慢、我慢と心の中で唸る手塚をよそに、広瀬は「まーたこういう可愛いことを……! ったく、いつもの隙のないしっかり者の奥さんはどこに行ったのよ」なんて笑うから、恥じ拗ねるように柴崎が「ここに居ますう」なんて言い返しながら頬を膨らました。

~~~~可愛すぎるだろっ!!

触れたくなるのを懸命に堪える手塚には気づきもせずに、広瀬ときたらその柔らかな頬に指で突いて「どこどこォ?」なんて、絵面はまるで百合だ。
「やめてよ、もう…っ」なんて言いながらも目は優しくて、そんな雰囲気じゃ広瀬のじゃれ付きが止む筈もない。
ボディタッチの激しい女同士のやり取りは、手塚の目には毒だった。

~~~~ったく羨ましすぎる…ッ!!!

身悶えしそうな手塚にはまったく気づかず、女二人はイチャイチャしながら足を進める。
そんな二人を見つめながら、手塚は、麻子を奪い返して自分が触りたい衝動を堪えるのが精一杯。
……結局、本日の広瀬の訪問を、手塚は阻止することが出来なかったのだった。



……To be continued.



********************



安心してください!
「take1」のような手塚可哀そう!な展開じゃないので(笑)!
でも、ついつい、郁ちゃんの時のような展開にしちゃいたくなるのは、こういう時の手塚の可愛い動向のせいでしょうか(笑)

「大丈夫! 広瀬はすぐに退散するから!(笑)」

そして次回で、この内容はないよう!だけど、ほのぼの幸せな公休日シリーズは完結ということで。


pixivの方で『言の葉の空』をあげていっていますので、忘れている方はよろしければ懐かしーく読み返して貰えれば。
こっちのお話が完結したら、『言の葉の空』の続きを書くつもりですので。
一応そろそろ、週末を除いて毎日更新していこうと思っていますので、お嫌いでなければ復習がてらを楽しんでくだされば。
ではとりあえず、来週で公休日シリーズがちゃんと完結するように頑張ります!
最終話も読んでもらえると嬉しいですww




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05:10  |  *『図書館戦争』二次小説  |  TB(0)  |  CM(4)  |  EDIT  |  Top↑

★武蔵野第一、鑑賞物件(笑)

ママ様

そうですね、やっぱり、武蔵野第一の同期女子にとっては、同期で可愛いトコロもある手塚を見ることができる分、注目するでしょうけれど、他館と比べると親密さもある分、手塚にとっての女子は郁ちゃんと柴崎に対する態度だけが全然違うことがすぐにわかっちゃって、「あーあの二人だけが特別なのね」ってことになるのかも。
で、郁ちゃんとの子供じみた言い合いを見てると、そこに恋愛感情があるとはあんまり思えないし、じゃあ柴崎が本命なのねってことで、武蔵野第一では早くから気づかれていたのかもしれませんね。
武蔵野第一では、手塚の本命は柴崎ってみんなにバレてたみたいですもんねー!
一方の他館配属者にとっては、超エリートでなんでも出来るデキスギクン、雲の上の存在、という手塚ですから、そこに人間じみた感じはなかったかもしれない。。。まぁアイドル的な気持ちはあったでしょうけれど、普通に恋をして、なんていう手塚は想像もしなかったんでしょうねー。
手塚も人間なのになー。
観賞用もツライところですよね((((((((^^;)


> こんにちは。読み返してみて、やっぱり第一配属の同期って手塚(堂上班)は観賞用なんだなと(笑)入隊当初の他人行儀(敬語で話す)で硬質なイメージの手塚しか知らない他館配属者と違って素の手塚を見る機会(郁ちゃんと手塚 の子供レベルの口喧嘩とか、柴崎と郁ちゃんにやり込められてる所とか)があるからでしょうかね。まあそれを見た所で[手塚さん笠原なんかの相手させられて可哀想]なんて超上から目線でグチグチ独り言を言ってそう←水島がそんな感じでしたし。二人だけじゃなく第一の同期とタメ口で話す所を見ても[何で手塚さんとタメ口なんかで話してるの?失礼じゃない]ってなるのが他館配属者(笑)
ツンデレラ |  2018年12月19日(水) 14:48 | URL 【コメント編集】

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 |  2018年12月17日(月) 16:09 |  【コメント編集】

★また手塚人気高まりそうですよね(^^;)

ママ様

そうなんです、今回は広瀬。
広瀬の方は、お察しの通り、結婚ブーム来てて結婚したい!と強く思い出したんだけど、彼氏がまだそんな気になってない感じを私も思ってまーす。
柴崎が結婚して、なんとなく結婚したいブームが来てそうですもんねー!!
郁ちゃんの結婚は、なんか「えっ?!」っていう意外感が強そうで、自分に置き換えるところまではいかなかったけど、柴崎の結婚は、結婚してからも幸せそうな柴崎見て、「いいなー!結婚ってやっぱいいよね!」的な感じが広まりそう(笑)
手塚は災難ですが、手塚家はこういうことは時々あるかなって思うので、また広瀬で手塚にイライラしてもらいました(笑)
まぁでも頻度的には郁ちゃんの押しかけがダントツの手塚家ではあるのですが(笑)
がんばれ手塚(笑)
今回は、ママ様も仰るように、広瀬が手塚のいい噂を広めそうです(笑)

> [手塚が料理してた。物凄い愛妻家]という事実が広まるんでしょうね(笑)
そうそう! そんで手塚人気が高まる!(笑)
柴崎はちょっとまた小さなヤキモチなんか湧いたりして……それに気づいた手塚は嬉しすぎて「こいつ可愛すぎる!」ってまた悶えそう(笑)
いやはや、いつまでたっても、手柴は勝手に幸せになるカップルですね!(笑)

さぁ、このつれづれな内容ないよう!なお話も次でラスト。
頑張りまーす!

ツンデレラ |  2018年12月15日(土) 07:46 | URL 【コメント編集】

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 |  2018年12月14日(金) 13:21 |  【コメント編集】

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