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2018.03.02 (Fri)

≪背中の靴跡シリーズ≫ 『1つだけの願い』~vol.20~

≪ 1つだけの願い~vol.20~ ≫背中の靴跡シリーズ

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筒井づつの手柴の回想、第2弾。





【More・・・】

≪ 1つだけの願い~vol.20~ ≫背中の靴跡シリーズ


「麻子って子、居るー?!」
元気に入って来た子は、あたしを見つけると「わかった! あんたが麻子だろ? ねね、遊ぼう!」と人懐こく寄って来た。
「え? でも……」「今は空いてる時間なんだろ? そう聞いて来た、だから遊ぼう!」
自信満々ににこっと笑うとあたしの手を引っ張って外に行く。
確かに空いてる時間だけど――――、誰なんだろう一体……。
「~~え、えっと、あなたは?」
「ああ…郁! 郁でいいよ!」
「郁…様?」
「郁でいいって! 小兄ちゃんとかあたしのこと『チビザル』って呼ぶけど、それは止めて」
思わず吹き出す。
「お兄さんが居るの?」
「居るよ、3人。大兄ちゃんはいいけど、小兄ちゃんはダメ。ムカつく事ばっかり言うし」
また吹き出した。
外に出ると、「ここでいっか!」とまたにっこり笑う。
――――よく笑う子だ。
郁の周りはキラキラと光輝くような感じがして、とても光の力が強い。
新しい巫女見習いかな? そう思った。だとしたらこれから一緒に過ごすことになる子だ。
「はい!」
渡された小さな瓶。
キョトン、としてしまうあたしに「シャボン玉だよ! はいこれも」とストローのようなものを渡される。
「……しゃぼん…玉?」
「そう! ――――あれ、シャボン玉、知らない?」
「~~あ……うん、……」
常識的に普通知ってるものなのだろうか? それを知らない自分が恥ずかしい
郁はそんなあたしに気も留めずに、「そっかー! じゃあ見てて」と言って、瓶にストローのようなものを入れ、取り出すと口に咥えた。
たくさんの小さなシャボン玉が一度に生まれて、ふんわりと空へ上がっていく。
「…………すごい……綺麗…………」
すぐに消えてしまうもの。高く舞い上がるもの。大きいのや小さいの。
キラキラと輝いて上がっては消える。
あんまりにも綺麗で見惚れてしまう。
「じゃあ次、麻子ね! ふーって吹いて! 吸っちゃ駄目だよ、吹くんだよ?!」
「え?! う、うん……」
戸惑いながらも、シャボン液を付けてフーッと吹いてみる。息が強すぎたのか、ほとんどシャボン玉は出来なかった。
「強い強い。優しく吹くんだよ。ほら、もっかい…」
今度は慎重にゆっくり吹くと、大きな大きなシャボン玉が1つ出来た。郁はが「すっごい! おっきい!」と喜んでくれたから嬉しくなる。
大きな大きなシャボン玉は、ゆっくりと空へと飛んで行って――――割れた。
あたしがそのシャボン玉を見送っている間にも、郁はどんどんと新しいシャボン玉をたくさんたくさん作ってゆく。
――――すっごい……綺麗…………。
ほう、と見送っていたら、自分で作った大量のシャボン玉を郁が飛び跳ねて割り出した。
突然でビックリしたけど、郁の行動にまた吹き出す。
小兄ちゃんに『チビザル』って言われてるって言ってたけど――――ホント、猿みたいに飛び跳ねる。
もっとも、あたしよりも頭1つ以上も背は高いから『チビ』じゃないけど。
多分、光殿下よりも高いと思う。
「ほらねぇ、麻子! どんどんシャボン玉作ってー! あたしやっつける!」
郁がそんなことを言うから笑ってしまう。
「やっつけるって――――悪さしないし、こんなに綺麗なのに、もったいないなぁ…」
「もったいなくないよ! どうせ割れるんだもん。それならあたしの手でぜーんぶ割ってみせる! そしたらあたしの訓練にもなるし、一石二鳥だよ!」
一石二鳥、だなんて妙な言葉は知ってる郁は、構えのポーズを取ると「どーんと来い!」なんて言うからまた笑ってしまう。
シャボン玉をふー、っと吹いたら、大きめのシャボン玉が数個。郁みたいにたくさんのシャボン玉は出来なかったけど、郁は喜んで得意げに割っていく。
何度作っても郁が割る。その繰り返し。
だけど、郁の様子が可笑しくて笑いながら繰り返してて――――ふと、向こうに怒ったような顔をして立っている光殿下に気付いた。
「……光殿下?」
「へ?」
郁もあたしの言葉に気付いて――――光殿下を認めると、ピューッと走っていった。足の速さにまた驚いてしまう。
「あんたも暇なの? 一緒に遊ぼう!」
郁が光殿下にそんな言葉をかけるから、慌てて止める。
「~~郁! この方は光殿下――――国王陛下の第二王子であらせられるお方で……」
「殿下…………あ! あんたが小っちゃい殿下?」
郁の言葉にクラクラする。どこの世界に王子に向かって『小っちゃい殿下』なんて言う下人が居るだろう……。
「郁ったら…ッ!! そんな言葉……」言いかけたあたしを光殿下が遮った。
「……誰だよ、お前」
郁を睨みつけている。
「郁だよ、笠原郁。今、とと様(父様)が王様とお話してるから、郁は遊んできなさいって……」
「……なんで、笠原伯爵はお前なんか連れて来たんだ」
苦虫を噛み潰したような顔をして言った光殿下の言葉に、思わずあたしは固まってしまう。――――笠原…伯爵?! この子、伯爵令嬢だったの?!
「仕方ないでしょー! 母様は兄様と一緒にとと様の代わりにお仕事だもん! だから一緒に帰国出来ないし、今南の采国に居るんだもん! 大体、王様が急に呼び付けたからいけないんでしょー! あんたに文句言われる筋合いはないっ!!」
ふんっ! と鼻息荒く光殿下にそう言うんだから、あたしは震え上がってしまう。郁はまったく気にしてないけど、今の言葉は完全に国王陛下を非難してた!
思わず誰かに聞かれてないかと、キョロキョロしてしまう……幸い誰も居ないけど。
光殿下は、顔を真っ赤にして怒ったような顔をしてたけど――――悔しそうに「……わかった」と言った。すると郁もアッサリと「ん! じゃあ遊ぶでいいよね?」って言って、光殿下が顰めっ面をしながら頷いたのを見て、あたしの方を振り向いた。
「よおーし、じゃあ3人になったし、何して遊ぶ?」
「~~~~え…っ?!」
「鬼ごっこしようか! 麻子、鬼ごっこ好き?」
「~~お、おにごっこ…?」
……なんだろう、鬼が出てくるお伽噺の世界をイメージしたごっこ遊びってことだろうか?
首を傾げるあたしに、「麻子、知らないの? 鬼ごっこだよ? 誰かが鬼になって、タッチしたら鬼が交代で、鬼は誰かを捕まえるの! いい?」なんて笑いながら言う。
鬼が誰かを捕まえる遊び?
キョトン、とするあたしに「えっとねぇ…」とまた説明をしてくれる。なんとなくルールはわかってやり始めたけれど、あたしは全然相手にならない。郁が速すぎる。光殿下もかなり速い。だからこの2人の追い駆け合いはデットヒートで本当に凄い。一方であたしが鬼になるともう全然駄目で、郁が「ほら、鬼代わろう」って手を差し出してくれる。ゼェハァしながら助け舟に乗って郁に鬼を譲ると郁は光殿下を追い駆けるから――――結局、実質は郁と光殿下の鬼ごっこみたいなもんだった。しかも全力疾走勝負になると郁の方が速いから、光殿下はタッチされることになり――――ゼーゼーしている光殿下が鬼になる。
それの繰り返しになって数回目で、あたしが鬼になって郁の「代わろう」が出た時に光殿下があたし達を睨んだ。
「……お前ら……ズルイ…ッ!!」
言われた途端に郁へタッチしようとしていた手が止まる。――――確かにズルしてる、あたし。
郁が「ズルしてない! あたし逃げてるもん!」とか言ってくれたけど、それは嘘だってあたしだってわかってるから手を引っ込めた。図星で、悔しくて唇を噛む。
「…………ズル……じゃない、ズル、しない……っ」
目の奥が熱くなりそうで、慌てて堪えた。必死に光殿下を追い駆ける。でも、追い付く訳もなくて――――必死に追いかけても掴まらないし、ゼェゼェハァハァ言う胸が苦しくて痛くて、息を吸うのも辛くなる。
光殿下が困った顔をして逃げる。
あたしがすぐ近くまで来るような距離で待ってくれるようになり、直前でヒラリと交わされるだけなのにそれでもタッチできなくて――――何度目かで足が縺れて無様にこけた。
痛いやら悔しいやら、また涙が出そうになって起き上がれない。――――だってこんな情けない顔絶対見られたくないもの。必死に涙だけは、と堪える。
立ち上がらないあたしの目の前で光殿下は突っ立ったままオロオロしてる雰囲気が伝わってくる。声をかけてくれないのが幸いだと思った。
助け舟を出してくれたのはまた郁で、「麻子大丈夫? ほら立てる?」って泥だらけのあたしを頓着なく抱き上げて、掌とか膝とか見て「ああー、怪我しちゃったか!」って言ったら光殿下が更に固まる雰囲気。
郁に顔を覗き込まれて慌てて顔を俯ける。でも郁が明るい声で「エライねー! 麻子泣いてない!」って言ってくれたからなんとか涙を堪え続けられた。
止まったせいで一気に噴き出す汗――――ハンカチを取り出して顔を拭う。汗を拭くついでに泣きそうだった目尻の雫も拭ってしまおう。拭いても拭いても吹き出してくる汗。ハンカチがビショビショになるくらい、何度も何度も拭いた。
…………きっと大丈夫。
しばらくしてようやく顔を上げたら光殿下が物凄く複雑な顔になっていた。表現のしようもない途方に暮れたような顔。あたしも困って郁を見たら「このへんで鬼ごっこは終わりにしよー! 麻子めっちゃ頑張ってたし、すっごい汗――――水道どこ? あたし、水飲みたいなぁ!」って笑って言ってくれた。
ホッとして水道を案内する。
郁があたしの手をしっかり繋いで――――少し遅れて、後ろからオズオズというように光殿下も付いて来る気配。
なんだか気まずくて後ろは振り返らなかった。
水を飲むと「美味しー! 楽しかったぁ!」って言うと、頓着なく後ろを振り返って「結構やるじゃん、小っちゃい殿下!! あたしと同じくらい駆けっこの速い子って初めてだったぁ!!」なんて言った。
ムッとした声で光殿下が言い返す。
「小っちゃい殿下じゃない――――光」
「光う?」
「俺、光って名前だから」
「ん! わかった、光ね!! なかなかやるね、光!」
「……お前も……すげぇ、足速い……けど俺、次はお前より速くなってるから――――負けないから!」
「ふふん! 平気、あたしも負けないもん!」
そう言って2人で笑う。
あたしはそんな会話にはとても入れなくて――――、でも郁と光殿下みたいな関係っていいなって思った。
対等でつり合いも取れてて…………郁と光殿下、すっごくいい。
身分だって伯爵令嬢の郁なんだからきっと釣り合ってて――――、ふいにあたしがこの場に居ることが酷く場違いに思えた。
あたしなんかがこんな風に一緒に遊ぶとか――――……と思った時に、そのタイミングで郁があたしの顔を見る。
ニコニコと明るい笑顔。太陽みたいに眩しい。
「じゃあさ、次はなにしよっか? 麻子はよくなにして遊んでるの?」
「遊ぶ……」言われて困ってしまう。遊び――――遊びって、なんだろう。
困ったあたしを見て、今度は光殿下の方をくるっと見てまた問う。
光殿下は「……あー…、蹴球とか庭球とか……?」なんて答えたが、すぐさま郁に「却下!」って言われた。
「あ・の・ねぇ! さっきの鬼ごっこで麻子が疲れてるの、わかんないの? 蹴球なんかボール追って走り回るんだよ? 庭球なんかあたしでもやったことないし!」
「…………お前が『よくやってる遊び』って聞いたから答えただけだ!」
「あっそう! 遊びまでセレブとか思わなかったんだよーダっ!! んー、じゃあかくれんぼしよ! 麻子、かくれんぼだったら出来るよね?」
「…………かくれんぼ…?」
恥ずかしいけれどまったくわからない。
あたしの顔を見て、また郁が説明してくれた。
要するに隠れている子を見つけるゲームらしい。光殿下に「……けど、お前、ここらへんのことわかるのか?」って郁に聞いたら「へへー、実は全然よくわかんない! ここ(水道)からさっきの場所への戻り方も実はもうわかんないんだー」って舌をペロッと出した。
まったく……なんて光殿下は呆れた顔をしたけど、あたしはなんだかそんな郁のコロコロ変わる表情が可愛いなって思う。
光殿下とあたしがじゃんけんをして、あたしが隠れることになった。
隠れる範囲はさっきシャボン玉をしていた場所の周辺。
「もういいよ」って言ったらかくれんぼの始まりで鬼が探すから、見つかるまで出て来ちゃいけないんだそうだ。
「麻子どこだー?」って言われたって答えちゃダメだよ、って念を押されて頷いた。
50数える間に隠れなきゃいけない……
シャボン玉をしていた広場に隠れるところ…………考えて考えて、薪小屋の奥なら見つからない、と思う。奥に入って山積みの薪の影に隠れて、更に自分の周囲を薪で囲んでしまえば絶対に外から見えない。
ジッとしていると、郁と光殿下が探す気配がする。息を殺す――――こういうのは得意だ。
薪小屋も覗き込まれたけど、見つからなかったみたい。
ジッと隠れる。
薪小屋の奥で小さく小さくなって隠れる。
もう一度、薪小屋に郁と光殿下が来た気配がした。二人共「麻子? 麻子、居る?」って言ってたけど気配を殺してやり過ごす。
また静かになって――――ずっと静かで、暗くて。
疲れていたのかあたしは、そのまま眠ってしまったみたい。
気付けば小屋の中は真っ暗で――――急に怖くなった。遠くで巫女達の呼ぶ声もしたから、慌てて外に出る。
外も既に夕闇に包まれていて――――こんな時間まで遊んでいたことに顔色が変わる。
夕飯の手伝いも何も今日はしてない!
郁と光殿下はどうしただろう――――いや、こんな時間だから当然帰った筈だ。
また巫女達の声がしたから、「~~は、はいっ!! ご、ごめんなさい…っ!!」と声のする方へ走る。
あたしの気配に皆がこっちに向かって来てくれる気配――――。と、一番前に小さな黒い塊が走って来たと思ったら思いっきり抱き締められた。
ビックリして固まってしまう。
塊は――――光殿下で。どうやら泣いてるみたいで戸惑う。
「~~~~ひ…光殿下? ~~あ、あのその……すみません、その、いつの間にかあたし、寝ちゃってて……」
そう言うと、ブンブンと頭を振りながら、更にギュウッと抱き締められた。
追い付いてきた巫女達が口々に「良かった」と言って微笑んだけど、あたしは酷く恐縮する。
「……あの、ごめんなさい……こんな時間まで、あの……」
「いいのいいの。話は光殿下に聞いたし、かくれんぼしてたんですってね。麻子が見つからないって光殿下が泣き付いてきたから驚いたわ。――どこにかくれてたの?」
「…………あの、…薪小屋に…………」
「~~~~ま、まき、小屋、見た…………麻子、居なかった…………」
「…………あの、薪の奥に…………」
「~~~~薪の、奥……、奥って、真っ黒な――――笠原があんな怖いトコ、麻子は居ないって――――こんなとこ、入るのも嫌だって…………」
「…………えーっと…………その、そこに、居たんです…………」
困って言ったら、周囲の巫女達が笑い出した。
「笠原様のご令嬢と麻子では、怖いって思うところが違んでしょうね」って。
あんまり巫女達がくすくす笑うので、なんだかあたしもおかしくなってくすっと笑った。
足が速くて、鬼ごっこが強くて、遊びをいっぱい知ってて、光殿下にも強い郁が、あたしが全然怖くない暗闇を怖がるんだと思うと、郁のことが可愛くて堪らなくなる。
あたしの笑う気配に、ようやく光殿下も涙でグショグショの顔を上げて――――あたしを見た。
グッとまた力を籠められたから光殿下を見つめたら、すっごい真顔であたしを見つめていた。
「次は――――次は、笠原の言うことなんか信じないで、俺がお前を見つけるから」
根拠もなくそんなことを言うから「光殿下になんか、見つからないですよー」って不敵に笑ってみせると光殿下も少し笑った。
だけど真剣な目をして言い返してきた。

「絶対、見つけるから」

郁が入ることで、また少しあたし達の距離が変わった気がした。
それから、郁は来るたびに3人でかくれんぼをしたがった。もちろん違う遊びをする時もある。
あたしの初めての友達。
あたしは郁が大好きだった。
人懐こくて素直で感情豊かで優しい。その上郁は、あたしに対等であることを要求した。名前の呼び方も話し方も何もかも。
伯爵令嬢の郁――――だけど「郁って呼んで! あたしの友達は皆そう呼ぶし、平民の子や下人の子ももちろんそう――――貿易であちこちの港町に友達が居るけど、皆あたしを呼び捨てるよ! 麻子だけ呼んでくれないとかヤダッ!! あたしは麻子と友達だもん!! あたしは麻子と友達になりたい――――だからお願い!! とと様や母様も、それが普通だって思ってるから絶対大丈夫だから!!」って言うから郁のことは郁って呼ぶことにした。そうすることで郁がますます嬉しそうに笑うから――――郁の笑顔に絆されちゃったと言ってもいいかもしれない。
すると光殿下が悔しそうに文句を言い出した。
「なんで笠原のことは郁なのに、俺は「光殿下」なんだ? 郁が郁なんだったら、俺も光だろ? 光って呼べ」って言うんだ。
――――これには困った。「光」なんて呼べるわけない。
一生懸命説明したけど聞いて貰えず、挙句に国王様や国妃様の元にまで手を引いて行かれて震え上がった。光が国王陛下や王妃陛下に説明している時に必死に手を振り解いて床に額づいた。縮み上がるとはこういうことだろう……王宮のこんな煌びやかな部屋なんか、とてもあたしの居る場所じゃない。
なのに、国王陛下自らがあたしの身体を持ち上げて立たせた。足がガクガクするくらい恐れ多くて震えてるあたしを見て優しく笑うと「麻子のことは聞いてる。将来は、この国一番の巫女になるだろうと司祭が言っていた。確かに良い子だ。
……光がなにかと我儘を言っておるようで、麻子には迷惑をかける。だが、光は麻子と遊ぶようになって、本当に成長したと私も后も話しておったのだ。他人の気持ちを考えるようになったというか…………どうしても、光には優秀すぎる兄がいるせいで私達もつい比べてしまうのがいけなかったんだろう、人よりも優秀であろうと努力する光は偉いと誇りに思ってはいたが、大切なことを教えられていなかった。それが麻子が来て、麻子のところへ出入りするようになって、光が周囲のことをよく見るようになった。他人のやること、仲働き、小間使いのやることにも関心を寄せるようになった。――――上に立つ者としてそれはとても大切な配慮で良きことだと私は思っておる。
麻子と光が友達になれて本当に良かった。だからこれからも光と友達で居てやって欲しい。
公式な場所はともかくとして、こんなプライベートな場では慣れ合ってくれるくらいの方が私達も微笑ましいよ」
なんて恐れ多すぎる言葉までいただいてしまう。
~~~~で、でも……だからって、だってそんな…………
目が宙を彷徨ってしまう――――国王陛下も王妃陛下もとても優しい目であたしを見てくれる。
…………でも――――
まだ迷う気持ちでいっぱいなのに、光殿下が嬉しそうにあたしの顔を覗き込んだ。
「――――な? ほら、今呼んでみて?」
~~~~この…っ、バカッ!! ~~呼べるわけ、ないじゃない…………
そう思うのに、国王陛下や王妃陛下まで頷くから、本当に困った。
困って困って困って――――ようやく、光、と呟いたら、本当に嬉しそうに光殿下が笑った。
心から嬉しそう――――ドキン、と鼓動が跳ねた。
眩しくて温かくてお日様で…………郁と同じ。――――だけど、ほんの少し甘酸っぱいような感情が混じったことは郁とは少しだけ違ってて――――あたしは顔が熱くなったのだった。



……To be continued.



********************



気付けばもう3月ですね!怖い…Σ(°Д°)
3月かァ~、3月と言えばウチは卒業式2つ抱えてるし忙しーなー、と思ったところでハタと思い出し……。
ブログで毎年やっていました【サンキューリクエスト祭り】ですが、今年はもう断念しようかと。
そもそも、2年前のリクエストも終わってないし、去年のリクエストもたんまりあるし、それに私自身が書く時間が取れなくなってきてるので、そろそろ限界かなァ……と。
老化が脳にも確実にやってきてるから、発想が湧かなくなってきてるんですよね~~~((((((TT)←年のせいなのか?!最初からじゃないのか?!(苦笑)
そんなわけで、3月9日を楽しみにして下さっていた方が居たら申し訳ないなー、と思い、今年はしない方向であることを先にお伝えしておきます。
なんのことかわからない皆様には、唐突なお知らせでごめんなさい(苦笑)
ではでは、3月。別れと出会いの季節がやってきました。
皆様にとって今年が素敵な春となりますように。






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05:10  |  *『図書館戦争』二次小説  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

★おめでとうございますー!

ママ様

おめでとうございますー!
うわ…っ、そうなんですかー♪
めでたいですねー、ただ、なんて呼ばせるかは複雑ですよね(笑)
大概、子供が言いやすいように「ばぁば」とか「ばば」になっちゃう(笑)
私は年取って出産してるし、まだまだ先ですねー。子供も晩婚っぽい気がする(苦笑)
足腰の経つうちにお願いしたいけどなー(苦笑)
ともあれ、本当におめでとうございます。

さて、郁ちゃん登場で、手柴の関係にちょっと進歩が(笑)
郁ちゃんの人懐こさは、いついかなる世界でも麻子サンの癒しです(笑)
麻子サンが郁ちゃんにベタ惚れると、手塚の嫉妬心が頭をもたげてくるのもまたセオリー(笑)

> 今までは二人だったのに郁ちゃんが入った事で丸で[俺の麻子を取った]と言わんばかりの光殿下のヤキモチが可愛らしい。
よかったー!可愛く書けてますか?!
チビ手塚なので、チビだから可愛いんですが、ちゃんと可愛くヤキモチ焼いたり、ヤキモキしてるのが伝わるかが心配で(苦笑)
麻子目線なので、手塚の気持ち的なトコロがちゃんと書けてるのかが心配ではあったので、そこを読み取って下さるママ様に感謝です(*^^*)
そうなんですよね、これまでは2人だったから、麻子を取られる、なんて意識はなかったんですけど、郁ちゃんが入ることで光殿下も今まで以上に麻子が気になって仕方がない時期(笑)
子供だし、でも手塚なので、まだ上手く表現出来てませんが(苦笑)
光呼びの強要も、ママ様も仰るように光くんにとっては郁ちゃんに麻子を取られそうな気がしてきっと必死だったんです(笑)
この頃の手塚は、親子とはいえそんなに両親と一緒に時間を過ごしている訳ではないので、光殿下なりの必死さがその辺にも表れてるかと…(苦笑)
そりゃねぇ、郁ちゃんには名前呼び捨ての上、話し方も全然普通に話している麻子が、自分にだけ丁寧な物言いしてたら、疎外感も出てくるってもんですよね(苦笑)
しかも「俺の麻子だったのに!」ってトコロも大きい…(笑)
というわけで、強硬手段に出て、無事に「光呼び」を獲得(笑)
そりゃもう、笑顔満面の光くんですよ(笑)
そうですね、麻子さんにとって、一番いい時期だと思います。
この手塚との蜜月があるから、今の麻子さんは頑張ってると思います。
過去編が終わったら、いよいよお話も後半…………ですが、まだ過去編は続きます(苦笑)
一応、柴崎の過去を書かないと、後半のお話がうまくいかないと思うんで、書き切るぞー。
というわけで、次回もチビでコロコロな2人です(苦笑)

ツンデレラ |  2018年03月03日(土) 06:51 | URL 【コメント編集】

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 |  2018年03月02日(金) 18:35 |  【コメント編集】

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