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2018.02.02 (Fri)

≪背中の靴跡シリーズ≫ 『1つだけの願い』~vol.16~

≪ 1つだけの願い~vol.16~ ≫背中の靴跡シリーズ

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逃げた窮奇が次に狙うのは。





【More・・・】

≪ 1つだけの願い~vol.16~ ≫背中の靴跡シリーズ


「あんたって、ほぉんと女心がわかってないんだから! 女の子が傍で泣いてる時は優しく慰めてあげなきゃ駄目じゃないの」
笠原との言い合いの内容を根掘り葉掘り聞いてきた柴崎に、どう言えばいいかわからずはぐらかしていたら、挙句にこんな風に扱き下ろされた。
…………まったく理不尽だ。
あれは勝手な笠原の癇癪だ。
それをまるで俺が悪いみたいな言い方をされては納得がいかない。
「~~~~なんで一方的にあいつが悪いのに、俺が慰めなきゃならないんだよッ?」
「あのねぇ。――――女の子が泣いてんのよ、特にあの笠原が! よっぽど傷つくようなことがあったのか、ちょっと自分に自信がなくなってるのか……きっと乙女思考に嵌まっちゃったのよ。ああ見えて笠原って本当に女の子女の子してるんだから……可愛いーわよねぇ。笠原が泣いてるなんて抱き締めたくなるじゃない!」
「~~~~誰がなるか…ッッ!!!」
「あんたって見る目ないわよねぇ。あんなにも純粋で真っ直ぐな可愛い子、そうそう居ないわよ? あんたには勿体ないくらいいい子なんだから。あたしが男だったら絶対笠原を大事にするわ」
「~~~~っ」
「いーい? 次にまた笠原が泣くようなことがあったら、ぎゅーって抱き締めてあげんのよ。女の子はそれだけでいいの。あんたと笠原はこれからなんだからね。大事にしてあげるのよ?」
「~~~~~~~~」
返事なんかしたくなかった。
苛立つ気持ちが治まらない。
…………なんだっていうんだ、この気持ちは。
柴崎を無視したようにズンズンと歩く。
柴崎もそれっきり話し掛けては来なかったから、2人で無言で歩いた。
スタスタと前を歩く俺。
柴崎が後ろを付いて来る気配は感じていた。

――――と。

急に柴崎の気配が消えた。
慌てて足を止めて振り返ったが、そこに柴崎の姿がなくなっていた。
…………なん…………
と、身体の下から影が襲ってくる。
間一髪で飛び退き――――その影が柴崎であることに驚いた。
「――――な…っ……」
弾丸のように柴崎が迫る。
咄嗟に後退するが、木に阻まれた。
短剣を振りかざして来た柴崎の細腕を掴む。
「~~~~なにする……っ」
言いかけてふいに気付いた。
――――こいつは柴崎じゃない…っ!!!
柴崎じゃない――――本能で感じる。
後れて論理的思考も辿り着く。……本物の柴崎だったらこの距離で柴崎の香りがする筈なのだ。
饕餮の時も、笠原を呪詛から救った時も、命蘇丸を飲ませた時も――――ここ最近で柴崎を抱き締めた記憶がまざまざと甦り手塚に告げる。
――――柴崎は、花のような香りがする。
そして、普段の柴崎はもっと温かい――――凍えそうに冷たいこんな手は、柴崎が闇に侵され瀕死の状態になった時だけだ。
闇の――――魔の冷たさ。
柴崎の掴んだ腕をそのまま投げ飛ばした。
柴崎の身体は宙を舞い――――綺麗に回転すると着地した。
そしてゆっくりと妖艶な笑みを浮かべる。美しい微笑み――――それもまた理性が告げる。さっきまで柴崎は口元もいつも通り隠していたんだ。
「~~妖魔だな、お前」
「あら、妖魔だと思う?」
ふふっと笑う柴崎は可憐だった。だが次の瞬間には間を詰めて来たから飛び退いて距離を取る。
睨みつける俺に向かって、コロコロと柴崎が笑った。
「――――あたしが妖魔だって思うんだったら、殺せばいいじゃない」
「~~~~っ」
痛いところを突いて来るヤツだ。柴崎じゃないってわかっているのに、なぜか攻撃を仕掛けることが出来ない。
――――あれは柴崎じゃない、妖魔だ!
心に何度も言い聞かせるが自分からは踏み出せない。
ふふふ、と笑った柴崎が、また動いた。
素早い攻撃を必死にかわす。柴崎の短剣からは闇の力が迸っていた。
くそっ、と叱咤する。何度も何度も、あれは柴崎じゃないと言い聞かせる。あれは妖魔だ――――殺さなければ!
…………わかっているのに、妖魔へ攻撃を仕掛けることが出来ない。
防戦――――柴崎の攻撃を避けるだけ。
手塚の喉を狙って来た柴崎の剣先――――剣で短剣を弾き飛ばした――――と、ふ、と笑った柴崎が無防備に両手を広げて近づいてきた。
ジリ…っ、と1歩後ずさる。
「どうしたの? 殺さないの?」
にっこりと柴崎が微笑む。
「ほら――――今ならあたしを殺せるわよ?」
「~~~~っ」
なにがどうなったのか、気付けば柴崎が目の前だった。
ふふっと笑う顔の美しさにクラクラする。
「――――あたしはあんたのもの――――好きにしていいのよ」
そう言った濃紅色の唇の隙間からチロチロと舌が動いているのが見える。
柴崎の小さな手が胸元を辿る――――衣服の隙間から忍び込む隙を窺っているかのように。
ドクンドクン…ッ、とかつてない血の滾りが全身を駆け巡る。
~~~~な…なんだ、これ…っ!
柴崎の手で胸が肌蹴させられる。
ゾクリ、と言い知れぬ感覚――――だけど、手の冷たさに妖魔だと我に返った。
睨み付けるように見た柴崎――――その視界に飛び込んだ姿に、ドキン…ッ、と鼓動が跳ねる。
衣服が――――身に付けていた筈の衣服が半分透き通って――――大きな胸の膨らみが露わに…………。
一層顔が熱くなる。
そんな俺にまた、ふ、と笑みを浮かべると「……いいわよ? 触って……」と顔を近づけられた。
ドキドキとまた心臓がフル稼働する。
顔を逸らす為にジリ…とまた1歩後ずさった。
「――――あんたにならいいの。…………抱いて……」
気付けば、柴崎は一糸纏わぬ姿になっていた。
ゴクリと情けなくも喉が鳴る。足元が覚束ない――――あまりの熱さに頭がクラクラする。ついに足が縺れた。
無様に尻もちをつく。
真っ白な肌の柴崎が、俺の上に乗って来た。
「…………どうして逃げるの? この身体が欲しくないの?」
…………ちがう、聞いちゃだめだ、と思うのに、柴崎から目が離せない。
「――――あんたの為の身体よ。好きにしていいの。――――ねぇ、あたしは、あんたのものなのよ」
あたまの芯がグラグラと沸騰して溶け落ちそうだった。
身体の芯はと言えば熱の塊が猛り狂いそうで――――必死に、ちがう、という言葉に噛り付く。
「~~~~ち…ちがう、っ、……おまえ、は、おまえ…で…………、おれの…じゃ、ない……っ…」
「違わないわ、あんたの好きにしていいの。ねぇこの身体が欲しいんでしょ、欲しがってるじゃない――――ほら……」
ふいに自身の熱塊を掴むように触れられて叫びそうになる。必死に呻くように「~~やっ…ヤ、めろ…ッ…!」と唸るのが精一杯。
「――――無理しないで。この身体はあんたのものよ――――グチャグチャにしてもいいの。ほら――――」
腕を取られる。その手を豊満な胸へと持って行こうとする――――。
柴崎の手の冷たさにほんの少し理性が戻り、必死に柴崎の力に抗い、触れたい欲望を全身全霊で抑え込む。
「…………どうして? この身体が欲しくないの? あたしが欲しくない?」
…………ちがう…………。
理性と欲情がぶつかり合う。
柴崎の手の冷たさがなかったら振り切れていたかもしれない。
「~~~~ち、ち…がう……っ、おお俺が、ほしい、のは……っ……!」
…………俺が……本当に欲しいのは…………

――――お前の、こころが――――……

心が、欲しい。

触れたくて。
傍に居たくて。
でもそれは、お前の身体が欲しいんじゃない。
お前を組み敷きたいんじゃない。
お前を、俺のものにしたいんじゃない。

そうじゃなくて――――……

…………俺を、……好き……に、なって…………

俺は、お前が、好き、だ。

思いっきり手を引き抜いた。――――否、引き抜こうとして、柴崎の小さな手は柴崎でない凄い力で肉に食い込む程に俺の腕を掴む。
「――――あら、……意外に頑固なのね」
目を三日月にして笑う柴崎の顔は、もう柴崎じゃなかった。
いや柴崎そのものなのだが――――もう柴崎だとは手塚には見えない。
ようやく手塚は全力で抗おうとしたのだが、馬乗りになって封じられている体勢は圧倒的に不利で。
柴崎の小柄な体に見えるのに、その身体は鈍りのように重く地面にめり込みそうな程の重さで。
明らかに柴崎じゃない――――妖魔の力で抑えつけられていた。
「ざーんねん、心が引き裂かれて苦悶するお前は美味しそうだったのに――――まぁいいわ。食われる痛みに苦しむお前を食べるとするか」
言いながら、掴まれていた腕がグイッと口元に引き寄せられた。
柴崎の顔で。
妖艶な表情をしながら、手塚の腕をペロリと舐めた。
ゾクリと少しの快楽と圧倒的な悪寒――――、と次の瞬間。
思いっきり噛み付かれた。
柴崎の口は妖魔の口になっていた。
肉食獣の牙が手塚の身体に喰い込む。
必死に悲鳴も呻きも歯を食いしばって耐える――――が、噛み付かれたのは腕だけなのに、手塚の全身が悲鳴を上げる。
闇の力が身体に侵入する――――それは想像を絶する痛みだった。



……To be continued.






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05:10  |  *『図書館戦争』二次小説  |  TB(0)  |  CM(3)  |  EDIT  |  Top↑

りんご様

ありがとうございますー!
子供の休校でかなりやられましたねー、予定が大幅に…(苦笑) そしてオフ日もあったのに子供がいるからこのお話の続きを書くことも出来ず、いやーもう、やられましたよ★
大雪に関しては、我が家は京都でもかなり南に位置しているので(いわゆるJRの京都駅よりもっともっと南なので)雪はチラチラくらいで積もらず、子供達はかなり肩透かしを食らっております(苦笑)
りんご様の方は、エライことになっているんじゃないですか?
いくら雪に強い地域でも、ドカ雪が降るとやはり動けませんものね……
重々ご注意して下さい……って言っても、雪の影響って注意出来るものでもないので大変だと思いますが((((((--;)
総集編も読んで下さり、ありがとうございますー♪
書下ろし、楽しんでいただけたら嬉しいです。
過去の話も、縦書き、本という形だとまた違ったところに目がいったりとか楽しんで貰えたら。
雪で動けない日の癒しにして貰えたらもう、サイコーです!
今回のストーリーはあまりにも話が、世界観違い過ぎて、皆様からドン引きなのですが、りんご様がこうして読んで下さるなら良かったです。
お暇潰しになれれば、書いてる意味も少しはあるかなー?(苦笑)
まぁ、図書戦の世界観と違い過ぎる自覚はあったのですが、こんなにドン引きだったかー、と苦笑しながら書いております(自覚してるのに止めない辺りは、私も結構頑固者なのでしょうねー(苦笑))
とりあえず、書き始めたからには最後まではちゃんと書きたいと思っているので、またお暇な時に読んでやって下さい。
ぽつん、と更新だけはされていくと思うんでー(苦笑)
りんご様もご自愛下さいませねー。
今年はもうインフルが異常でね、薬局働きなので、インフルAもBも入り乱れて、タミフルが飛ぶように出ていく毎日です(タミフル派の先生なんで、大人も子供もタミフルだらけ…苦笑)。
しっかり睡眠とって栄養とって、自分を守って下さいね!
ツンデレラ |  2018年02月08日(木) 06:22 | URL 【コメント編集】

★超ウブです♪

ママ様

おはようございます。ホントもう2月ですよ、早い! 怖ッ!(苦笑)
あっという間に時間が過ぎてて怖いです。
今年の目標はこのお話を半年以内で終わらせる!なのに、もう1ヶ月経っちゃったよ(苦笑)

こちらは、京都でもJR京都駅よりも南部に住んでいるため、雪はほとんど降ってないです★ 京都は地域によって全然違うので、京都市でも岩倉はちゃんと(?笑)積もってるようなんですけどね(苦笑)
ニュースを見てると東京は雪ですね~~! 都心で雪は辛すぎますよね……だって雪の街じゃないから対策がね★
雪が積もってる地域に住んでらっしゃっるのでしたらお気を付け下さいね。溶ける頃は溶ける頃でべちゃべちゃになりますから★

さて、この妖魔は、仰る通り郁ちゃんを襲った後の窮奇です(笑…いきなりのネタバレかい!)
やり口が郁ちゃんと同じなのは、今の郁ちゃんと手塚の一番弱いトコロがここってことですね(苦笑)
心の隙が出来やすい場所----ここが一番ザルのように隙だらけの2人ですもんね(苦笑)
このお話の手塚は、郁ちゃん並みに初心なんです。
ピュアというか(苦笑)。
なので、身体はエライことになってても、やっぱり一番欲するのは『気持ち』です。
特にこのお話の柴崎は原作以上に自分の気持ちを出さないので(まぁ先日までは身を潜めて出てくることもなかった忍びですし)、手塚としては余計に柴崎の気持ちがどうなのかが一番知りたいところじゃないでしょうか。
なので、柴崎に郁ちゃんをプッシュされて、頭に来たんだと思いますね★
そりゃなぁ……好きな女に他の女を勧められるって堪らないでしょうね((((((((><;)
そろそろ、お話的にも柴崎の話もしなくちゃ話がまるで見えない話になってきたので、そのうち柴崎の話も出るのではないでしょうか。
手郁の【婚約】に関しては、ちゃんとケリを付けて終わるつもりではあるので、見守っていて下さい。
その前に柴崎をどうにかしないと駄目だよね~~~~現状では。
柴崎が閉じすぎてて手塚が手が出ないので★
もう少し話を進めないと、にっちもさっちもいかなくなりそうだし、お話をドンドン進めていきたいです…………が、なかなか書く時間が取れなくて(TT)
二月が逃げる前に、なんとかもっとお話を進めたいぞー!!!


ツンデレラ |  2018年02月03日(土) 06:53 | URL 【コメント編集】

★管理人のみ閲覧できます

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 |  2018年02月02日(金) 08:51 |  【コメント編集】

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