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2017.12.22 (Fri)

≪背中の靴跡シリーズ≫ 『1つだけの願い』~vol.10~

≪ 1つだけの願い~vol.10~ ≫背中の靴跡シリーズ

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柴崎は『天罪の巫女』なのか? 柴崎の正体もわからぬままに柴崎の命の灯は消えようとして……





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≪ 1つだけの願い~vol.10~ ≫背中の靴跡シリーズ


「嫌です」

無のような静かな空間に、苦しげな小さな呟きが零れた。
驚いたように、皆が息を呑んだ。

「……嫌だ、死なせない。――――柴崎は生きてる。饕餮の時も、柴崎は必死に逃げようとしていた――――柴崎は死なんか望んでない」
手塚が、地を這うような低い声で、だけどハッキリと呟いた。
小さな呟きなのに、皆、雷に打たれたように手塚を凝視した。
「……柴崎はずっと俺の傍に居た。俺を狙っているのなら、いつだって殺せた筈だ。……ずっと傍に居たんだ!!
柴崎は危険じゃない。死も望んでない。――――死なせはしない、絶対死なせない!!
――――止めて下さい、こんな話――――柴崎は生きてる。必死に生きようとしてるのに、傍でこんな話とか――――静かに眠らせてやって下さいっ!!!」
手塚が俯いて唸るように叫んだ。
傍でボロリと笠原が涙を零す。
しばらく笠原のしゃくりあげる音だけがして――――静かに堂上が小牧を促した。

重苦しい夜――――手塚と笠原は柴崎を見守る。

気付けば夜が明けようとしていた。
空の一部がオレンジ色へと染まってくる。
笠原は眠ってしまったようだ――――敵に捕らわれていたんだ、疲れていただろう。
寒い時期でもないのに空気が冷え切っている。
体温が酷く下がっている柴崎を少しでも温かくしてやりたくてずっと火をくべていた。
御魂を手に取り、柴崎の頬に触れる――――御魂は浄化の輝きを放つことはなく、柴崎の頬はあまりに冷たい。
…………と、ゾワリと悪寒が走った。
ふと気付く――――柴崎の首筋に、闇の蠢きが身を潜めている。
まるで手塚の手が去ったら柴崎を覆い尽くそうとしているかのように、今にも拡散して柴崎を喰らい尽くそうと様子を窺っているのだと感じた。
見れば、腕にも――――手塚に気付かれないようにと気配を隠しながら、だが確実に広がってそこにある。
感じた途端、手塚の中に恐怖が生まれる――――と、身を潜めていながら闇の力が濃く強くなった気がした。
――――柴崎の呼吸が止まる。
一瞬、だったけれど、確実に。
ビクン…ッ、と不自然に身体が震え、辛うじて呼吸をした――――柴崎の顔色が失せた。
苦しげに、切なげに、柴崎の眉間が寄る。
苦悶しながら息をしようとして――――また途切れる。
ビクッ、びく…ッ、と異常な震えが柴崎の身体に起こり始める。

「~~~~だ…っ、だめだ…ッ…! 逝くなッッ!!!」

恐怖のあまり叫んだ手塚の声は、掠れて声にもならなかった。
恐怖と混乱――――どうすればいいのかわからない。
御魂は光りを発してはくれない。

――――――――柴崎が死……死んでしまう…………。

死ぬ。

死。

ふと思い出した。
王族だけが――――直系の中でも、王座の可能性のある者だけが、持つことを許されている薬。
なぜならその薬は、『最後の命(命令)』を告げられずに死んだ王に、一度だけ蘇生を許すと言われているもの――――
死んだ王が泡沫だけ、甦ると言われている。

震える手で取り出す。
小さな、銀の粒。
生きているものが呑めば、死ぬとも言われている。

柴崎を見た。
異常な痙攣――――呼吸ももう、正常じゃない。時折、ひゅー…っと不気味な音が喉を唸らせているだけ。
潜んでいた闇が、いつの間にか柴崎の腕のみならず手首までをも覆い、首筋も染め上げ顔へと広がろとしていた。
こうしている今も、瞬く間に柴崎を覆い尽くそうとしている。

銀の粒を口に含んだ。
苦しげに震える蒼く冷たい唇に触れる。
触れたけれど、弾かれそうな反発を感じる。
――――柴崎の中のモノが、手塚を拒絶している。
柴崎の唇の感触だけに意識を集中して必死に縋り付いた。
ただただ、柴崎、と心の中で呼びながら、触れる冷たい唇を決して離さないことだけを意識した。
柴崎の内なる闇が、手塚にも襲いかかろうとした。柴崎の中から溢れ出て、手塚の中にも入り込もうとする。
――――と、御魂が輝いた。
真っ白に煌めき輝く、眩しい――――浄化の輝き。
一瞬、蠢く闇が怯んだ。
怯んだ隙を見逃さず、躊躇なく手塚の舌が柴崎の口内を弄る。
喉へ…………その奥へ…………小さな銀の粒を、確実に柴崎が呑み干すようにと、執拗に柴崎の口内を掻き混ぜる。
ふ…、と柴崎の鼻から吐息が抜けた。
柴崎の甘い香り――――ドクン、と胸が鳴り、柴崎の舌へ手塚の舌を絡ませる。

――――――――コクリ……

柴崎の喉が動いた。
銀の粒が柴崎の中に入っていくのがわかる気がした。
だけどまだ唇は離せなくて――――離したくなくて、柴崎の唇に触れ続ける。

後になれば、一瞬のような――――だけど、酷く長かったような――――時間すらも超越したような感触がすべてだった。

気付けば、いつの間にか触れている唇がほんのりと温い。
異常な痙攣はいつの間にか治まり、柴崎の鼻から吐息が零れ、手塚を甘い香りで包んでいた。
柴崎の唇から喘ぎのような声が零れて――――我に返った。
柴崎が何か呟いている気がした。
慌てて唇を離す――――と、ひかる、と俺の名を呼んだ気がした。…………もっとも唇が動いた程度のことだったから、本当は違うかもしれない。
熱いものが胸に込み上げて、視界が歪む。
歪む視界の中、柴崎の目尻からも涙が零れているのが見えた。
自分の涙は零れ落ちるに任せたが、柴崎の涙は拭ってやる。

柴崎の頬に、ぽつり、と手塚の涙が落ちた。

柴崎の目が、ゆっくりと開いてゆく。
両目とも、綺麗な――――濡れて輝く黒曜石のような瞳だった。
手塚の目から、またポタポタと柴崎の頬へ涙が落ちた。
堪らなくなって、込み上げてくるままに、柴崎の力ない身体を掻き抱いた。
子供のように必死に縋り付いて、泣いた。
柴崎は俺の為すがまま――――もちろん、振り解く力なんかなかったからだとは思うけれど、それでもなぜか、柴崎もそっと腕を回してくれたような気がした。

「…………相変わらず…………あんたって泣き虫よね」

そう言って微笑んだ柴崎を、夜明けの太陽だけが照らしていた。



……To be continued.



********************



意外にあっさりと柴崎復活(笑)。
いや、復活して貰わないと話が先に進めないしね(苦笑)★
ちなみに銀の粒は1人1つしか身に付けてないので、手塚のアイテムはなくなったと思って下さい(笑)
王と、後継候補者だけに与えられる極秘アイテムって感じ?(笑)





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05:10  |  *『図書館戦争』二次小説  |  TB(0)  |  CM(4)  |  EDIT  |  Top↑

★『いつか結婚しても』

Sauly様

まずは、マイヘアですが、わかりましたですよー!
FM802で、たまにロックキッズという番組を聞くんですが、そこでよく最近は『いつか結婚しても』の曲でよくかかってるバンドなんですね!
あんまりにも『いつか結婚しても』がマイヘアっぽくない(少なくともSauly様が教えてくれたyoutubeの曲とは掛け離れてる)ので全然気づきませんでした!
マイヘアっぽくないのになぜか、FM802では『いつか結婚しても』がよく選曲されていて、私も大好きでございます!
『いつか結婚しても』は、割と皆が馴染みやすい曲ですもんね。でも、マイヘアっぽくない……んでしょうね(苦笑)
「復讐」のyoutubeは、キャベツの使い方に超ウケました!(笑)
PVがイチイチ笑かしますね~~!最近、人気急上昇中のバンドだそうで……きっとこのPV受けも人気の秘訣かな?(笑)
いや~~なかなかに笑えました!真面目に歌ってるのにね(笑)

と、さておき。
Sauly様の仰る通りです。
アイテムを使った!
柴崎は生き返った!
アイテムはなくなった!
です(笑)
なので、今の手塚は、もう柴崎に何かあっても助けられなくなりました。
…………ということですね(笑)

そうですねー。柴崎が手塚を暗殺しようとしていたのなら、もう手塚は死んでると私も思います(笑)
なので、その線はないですねー(笑)
というわけで、まだまだ続くよ続くよ~~ですが、まぁ見守って下さいませ。
ツンデレラ |  2017年12月23日(土) 07:04 | URL 【コメント編集】

★そーなんです、まぎらわしくてごめんなさい★(苦笑)

ママ様

> 前回のアレ…
そーなんですよ! すみません。
感情までは呪詛でどうこう出来ないので、あくまでも【結婚相手が手塚(許嫁)】として決められただけで、実は手塚も郁ちゃんも、なーんにも変わってないんです。
ただ、【結婚相手は手塚・笠原】という認識が出来ただけです(苦笑)
まぁ郁ちゃんや手塚にこれまで許嫁が居なかった方が奇跡…………。そのあたり、郁ちゃんはまぁ破天荒な性格、で話は済みますが、手塚側に関しては【なんでやねん!】ということになりそうですが……((((((^^;)そこはご都合主義で少し横に置いときます★
まぁねぇ、【手塚に許嫁が居なかった苦しい言い訳】みたいな設定はあるのはあるんですけど、そこら辺はまた書けることになるのかどうかわからないけど、ひょっとしたらそのうちに出てくるかもしれないし出てこないかもしれない……(どっちやねん!★いやいや本編に関係ない話なんで書く機会が出て来るとはあんまり……ねぇ?)
軽く触れておくと、手塚のお母さんは亡くなってる設定になっているので、許嫁の話が出ていた頃にお母さんが亡くなったしうやむやになってる、くらいな感じで思って貰えるとそんな感じです(苦笑)
手塚は、銀の粒(命甦丸という名前の薬です)を使ったことに関しては、あんまり何も考えてないですねー。
元々、王に選ばれたって意識もかなり低いしな(苦笑)
大体、そんな簡単に使う薬じゃないから(当たり前だ!苦笑)、効果についても実はよく知らずに、藁にも縋る気持ちで使っただけで手塚はなーんにも考えてないと思う(苦笑)
ママ様も言うように、意外にしぶとくて、手塚はまだ自分の気持ちに無自覚ですし(苦笑)
まぁちゃんと自覚して貰えるようにするつもりですが(しないと話も進まない★)、それはおいおいと…………
とりあえず、郁ちゃんにしても手塚にしても、身分の差があるのをどうやって克服していくのか…………は、次週では全然無理な話なんで長ーい目でお付き合い下さい(大汗)
よろしくお願いしまっす★


ツンデレラ |  2017年12月23日(土) 06:55 | URL 【コメント編集】

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 |  2017年12月22日(金) 10:49 |  【コメント編集】

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 |  2017年12月22日(金) 09:58 |  【コメント編集】

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