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2017.11.24 (Fri)

≪背中の靴跡シリーズ≫ 『1つだけの願い』~vol.6~

≪ 1つだけの願い~vol.6~ ≫背中の靴跡シリーズ

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饕餮は撃破。……しかし、笠原・堂上の安否は……






【More・・・】

≪ 1つだけの願い~vol.6~ ≫背中の靴跡シリーズ


「堂上少将ッ!!」
堂上は上体を巨大な饕餮の前足の下敷きになっていた。
必死に這い出ようとしているが、饕餮の重さは尋常じゃない。
堂上の顔色は悪く、呻き声を歯を食いしばって堪えている感じがした。
剣をコテのように利用しながら隙間を作り、堂上を巨大な饕餮の肘の下からなんとか引きずり出そうとするが堂上の身体は完全に挟まれている。
悪戦苦闘しているうちに柴崎を抱えた小牧もやってきて、二人掛かりでなんとか堂上を救助出来た。
ホッとしたのも束の間で、堂上は身じろぐだけでも呻き声を噛み殺しているような状態で、身体を起こすことすら出来ない。
……あの巨大な饕餮の身体の下敷きになっていたのだ――――前足の重さと倒れた勢いを考えると生きているだけでも奇跡と言っていいだろう。
ケホッ、と咳き込んだ堂上の口端から一筋の血が流れる。
声を出すのも苦しそうなのに、必死に言葉を紡ぐ。
「……か……さは……っ、……ぶ、じっ…………」
「あいつのことだからきっと無事ですッ。俺、見て来ますっ! 小牧少将、堂上少将と柴崎をお願いします」
痛々しい堂上の様子に思わず口先だけで言葉を返した。
あれ以上、堂上に喋らせることすらさせたくない程の堂上の容体なのだ。
笠原が飛ばされた木陰の向こうを目指して走り出す。
まさか、崖まで飛ばされたりは――――……。
そう願いながら走った手塚の希望は打ち砕かれ、笠原の衣服の切れ端が崖へと突き出した木の枝に引っかかっていた。
覗き込めば、崖の中腹あたりに突き出ていた木の下の岩の出っ張りに笠原が倒れているのが見える。
意識がないのか、呼びかけても反応はない。
ヒヤリとしたものが胸を伝う――――とにかく、笠原の元まで辿り着いて容体を確認せねば。
辺りを見回して、あの場所なら笠原を抱えて崖を昇るよりも、いっそ下まで降りる方が早いな、と算段をつける。
さっきの堂上の容体では小牧もしばらくは動けないだろうし――――下から迂回して元の場所まで戻るとして――――俺と笠原なら2、3日もあれば足りるだろうから問題もないだろう。
下りた方が良さそうだな、と判断し、一度小牧に伝えに戻った。
堂上と柴崎を小牧と二人で岩陰に運び、二人のことを小牧に託すと、手塚は1人崖を下りた。
まだ笠原の意識は戻っていないようだ――――……。
岩場まで辿り着くと、笠原の状態を確認する。
木に当たって落ちたのだろう、あちこちにかなりの傷があった(特に右ふくらはぎの傷は深そうだった)が、呼吸は正常だし脈も大丈夫だった。木がクッションになり一命を取り留めることが出来たのだろう。
「……ったく、心配させやがって――――おいっ! 笠原ッ!」
少し荒っぽく切り傷のない方の頬をペチペチと叩いて呼びかける。
身体を揺するのは、まだ意識が確認出来ていない今は避けた方がいいとの判断からだ。
笠原の頬が少し赤くなるくらいで、ようやく笠原の瞼が震えた。
「…………う……っ……」
「起きたか。どうだ、俺がわかるか?」
「…………て…づ……、痛っ…!」
身じろごうとして痛みが全身を襲ったらしい。笠原の顔が顰められた。
しばしの時間の後、なんとか痛みをやり過ごしたらしい笠原はそろそろと上体を起こそうとする。
手を添えて支えてやりながら笠原の容体を伺う――――あちこち打ち身や切り傷が痛むようではあるが、動けないような状態ではなさそうでホッとする。
上体を起こして周囲を見回す頃には、いつもの笠原らしい状態になっていた。
「…………ここは……?」
「崖の中腹だ――――饕餮に弾き飛ばされたんだ、覚えてるか?」
そう言えば、ふいに思い出したのだろう、顔色が真っ蒼になる。
「~~~~ど…っ……堂上…少将はッ?!?!?!」
「…………堂上少将は重傷だ。今、小牧少将が――――」
手塚が言い終わる前に、笠原は立ち上がろうとしてよろめいた。
慌てて手塚は支えてやる。
――――やはりふくらはぎの傷が深いらしく、右足に体重をかけることが出来なさそうだ…………。
「~~~~同…っ、…はは早く、早く行けッ!!! あたしのことなんか放って、手塚は早く堂上少将のところへ…ッ!!!」
「落ち着け。堂上少将は安全なところまで運んだ。今、小牧少将が見て下さっている」
「――――そ…、…よ、よか……っ…イッタぁッッ!!!」
安心したら痛みが襲ったのか、笠原の身体から力が抜けそうになるから支える腕に力を籠める。
座らせて右ふくらはぎに簡易な応急処置を施すと、これから自分達がどう動くかの話を笠原にする。
「……とりあえずお前をおぶって崖を下りる。下から回って――――そうだな、お前をおぶわなきゃならないから……それでも3、4日あれば小牧少将に合流出来るだろう。
右足以外に酷く痛む部分とかないか?」
「ない。――――負ぶって貰わなくても自分で歩くよ」
「その怪我じゃ無理だな。今無理して長引くより早く治して貰う方がこっちはいい。足が使えないお前は荷物でしかないからな」
「~~~~悪かったわね、お荷物でっ!!」
そう言って頬を膨らませて剥れる笠原だったが、素直に言うことを聞いて俺の背中に身を預けた。
タッパがある割には軽い身体。これなら崖は余裕だなと算段をつける。
「手は大丈夫だな? 崖を下りる時はお前を支えてやれんから、お前がしっかりしがみつけよ」
「わかってるって」
何度かヒヤリとする場面はあったものの、無事に下まで辿り着く。
流石にいくら軽いとはいっても笠原を負ぶって崖を這い下りたのだ――――額に浮かぶ汗を拭う。拭いながらも、そのまま歩き出した俺に、笠原が気遣わしげな声をかける。
「休憩しなくても大丈夫? あたしを負ぶってるし…」
「いらん、お前軽いしな。……それに小牧少将の方が気になるし、少しでも早く合流したい」
「ん…、だよね。……ありがとね、手塚」
「別にお前に礼を言われる筋合いはない」

その日は行けるところまで歩き、野宿になった。
笠原の右足は少し腫れてきていたが、応急処置のお蔭かそこまで酷い状態にはなってこなくてホッとする。
再度処置をしながら「……治っても傷痕は残りそうだな」と呟けば、笠原は明るく笑う。
「いいよ、別に。部隊に入った時から身体に傷をつくるのなんて覚悟してたし――――あたし達がまだ傷一つないことの方が奇跡的なんじゃない? ああ見えて堂上少将だって身体に傷はあるんだよ。小牧少将は知らないけどさ」
「お前、堂上少将の裸でも見たのか?」
思わずそう言ってしまったのは、堂上に目で見えるところに傷なんかないからだ。
「~~な…っ、バッ…!!! そそそそんなわけっ…あるわけない…ッ!!!」
ボンッと笠原が一気に茹蛸になった。手塚は小首を傾げる。
「…けど、見えるところに傷なんかないだろ」
手塚はこの3年で一緒に風呂に入ることもあったから知ってはいるが、なんで笠原が――――と思って、思い付いたことに眉を顰める。
「…………まさか、お前……覗き……」
「するわけないだろッッ!!!!!」
叫びつつ殴ろうとしてくるから往なす。足の使えない笠原なんて大したことはない。
ぎゃあぎゃあと騒ぎ出す笠原に、静かにしろ、と注意する――――国東軍もどこに居るかわからない(野宿をする際に一応近くに居ないことは確認はしてあるが)のだから。
「あんたが変なこと言うから!」「あたしがそんなことするわけないだろっ!」と一頻り騒いでいた笠原だったが、やがて三角座りをしている膝にまだ赤味の引かない顔を乗せた行儀の悪い恰好でポツリと呟いた。
「……昔……堂上少将に助けて貰ったことがあるの……」
「――――昔?」
「ん…、あたしの家って貿易の仕事だから国内外問わずあちこち飛び回ってるでしょ? 国東の港で――――あんたのお兄さんが国東を治め初めてまだ数年の頃だったかなぁ……まだその頃は雑然としていて闇市とかもあったりして――――あんたのお兄さん、そういうのを撤廃する為にすべての住居や店舗を公営化したのよね。役所が許可を与えた者だけが商売出来るようにして――――国東軍が厳しく監視してたわ。許可なく商売をしている人を見つけたら即座に粛清されるの。
そこに昔馴染みの友達が居て――――許可証をちゃんと貰っていたんだけど、ある時、盗賊に入られてさ。何もかも盗まれて……許可書の再発行の手続きをするお金すらなかったの。どうしようもなくて父を頼って――――あたし達が昔馴染みの連絡を受けて国東の港に足を踏み入れた時には、住居不法侵入罪で国東軍に捕まっていたわ。どこの収容所に居るのかを父が探している間――――あたしは国東の港で遊んでてさ。まぁまだ12歳くらいの初等学校の頃だったから呑気だったのよ。けどそしたら――――港にあった廃屋の中で倒れてるその子を見つけてさ。……衰弱しきって意識も朦朧であたしのこともわからなくて――――まともに歩くことも出来ない状態だったの。あまりに過酷な労働と家畜以下の収容所生活に、昔馴染みの家の両親が娘だけでも……って収容所から脱出させたみたい。……けど見つけたものの、友達は当時のあたしよりもいくつか年上の子だったから、あたしはとても運ぶことが出来なかったし、どうしようかと困っているうちに国東軍がやってきて――――死にかけていそうなくらい無抵抗な友達を引き摺って行こうとするから必死に友達にしがみ付いて「止めて!」って叫んだんだけど、簡単に引き剥がされて突き飛ばされてさ――――……。

     *

「~~~~っ…ッ!!!」
地面に打ち付けた身体や頭が痛くて咄嗟に身じろぎも出来なかった。
あたしなんかには見向きもしないで、友達は「物」のように引き摺られてゆく。
痛くて、悔しくて、悲しくて、でも何も出来ないあたし――――……。
こんなの――――駄目だっ!
……そう思って痛む身体を起こして国東軍の後を追った。
「~~里香ちゃんを…っ、離せッ!!!」
追い付いてきたあたしに気付いて、国東軍の後ろの方の人達が剣を抜いた。
丸腰のあたし。
竦んで思わず歩が止まる――――ニヤニヤと笑いながら剣を振り上げた。

…………殺られるッ!!!

…………。

――――身体のどこにも痛みが来ないのに、人が地面に倒れるような音がして、恐る恐る目を開ける。
あたしの前に、大きな背中が立っていた。
剣で襲ってきた男二人は地面に倒れ、冷やかすように囲おうとしていた人達は後ずさっている。
彼の背中の向こうに太陽があって、彼の輪郭だけが酷く輝いていて眩しかった。

「その女性を離せ!」

鋭い声は決して大きくはなかったけれど、国東軍の人達の足を止めさせるに十分だった。
彼女――――里香を引き摺っていた国東軍の人達も彼を見た。
彼は1人――――なのに、発せられる存在感の大きさと威圧感。国東軍の人々に動揺が走る。
彼の凛とした低い声が響く。
「こちらは国王軍精鋭部隊だ! 貴様らの行為は国家憲法第11条に基づく基本的人権の尊重及び児童福祉法に違反する! 今すぐ彼女を解放しろ」
「~~な…っ、こっちは条例に基づいて……」
「国法に違反する条例とは奇怪だな。今すぐ医療処置を必要とする者に対しては、例えそれが罪人であっても命の保護を一番とすることになっている筈だが? 国法に定められた国民の人権に違反するような条例というのならば、この都市の条例の件については御上に報告を上げておく。
……そちらの彼女は今すぐ医療機関へ搬送する。役所にも正当な手続きを踏んでおくから、彼女の所在に関しては公的機関に問い合わせればすぐにわかるだろう。今すぐ彼女を解放しろ!」
高らかに言い放ちその場を圧倒したその人に対して、胸に湧き上がった言葉は一つだけだった。
――――正義の味方だ。
国東軍は一様に歯噛みして、彼女をゴミのように捨て置くと、ただちに撤収して行った。
「大丈夫か」と確認されたのに頷くことしか出来なかった。ぽん、と頭に手を置かれ「強いな」と彼が微笑んでくれた気がした。頭に置かれた大きな手の感触。
それはすぐに離れて、彼は放置された彼女の元へと歩を進める。
その背中の大きさ――――彼は彼女を抱き起した――――彼女は意識がなくて彼に抱き上げられた。

…………よくわからないけど、ドキドキと鼓動が煩い。

     *

その後彼は、もう一人の仲間(小牧だったのだが)と共に彼女を養生所へと運び込んだ。小牧は苦笑しながら、帰ったら報告書と格闘しなきゃいけないだろうなぁ、なんてぼやいていたけど、あたしにとって彼はもう、王子様だった。
彼の馬に彼女が乗って、あたしは小牧少将(その当時は少佐だったそうだ)の馬に乗った。
彼は彼女の知り合いだったようで――――養生所で少しだけ意識を取り戻した彼女が、呂律の回らない声で彼の名を呼んだからわかった。彼は事務的手続きを済ませると、意外にも早々に帰ってしまった。
彼――――堂上とは、次に精鋭部隊で会うまで、それっきり。
だけどあたしの中に生まれた感情は消えることはなくて。
いつか――――いつの日か、もう一度会いたい、と。
次に会う時は、彼と同じくらい強くなって、彼と同じ立場で目の前に立ちたいと武術を習い始めた。
母の怒りや嘆きようは凄まじかったけれど、そんな母の姿を見てもあたしの意志は変わらなかった。
幸い運動神経は良い方だったので、そちらの方も才能があると言われ、15歳の時には国軍に入れることになった。ひょっとすると父が裏から手を回してくれたのかもしれないけど、コネや七光だけで入ったわけではないと証明すべく自分の持てる精一杯の力で頑張った。
とはいえ、精鋭部隊初の女性隊員ということもあり、いろいろと苦労もした。
丁度、手塚も同期入隊で、忍びの柴崎が居てくれたことが本当に良かった。
厠や風呂、女性であると月に一度やってくる不調、どうすればいいのかと途方に暮れるあたしを助けてくれたのは柴崎だ。忍びである柴崎はずっと人知れずそういったことをしてきたから、あたしへのアドバイスは的確かつ要領を得たもので、本当に柴崎のお蔭であたしは精鋭部隊に入っても誰の迷惑にもならずに共に行動することが出来た。
そのうち認められてくると、女であることがあたしの価値の1つにもなり、囮となる機会も出てきた。
――――危ない目にもあった。
でも、いつでも堂上少将が助けてくれたから――――傍に堂上少将が居ると思えばあたしは自由に動けた。無茶な行動をした時は堂上少将にこっぴどく怒られ「~~お前はいつもッ!! 自分の身を守ることを最優先に動けと、あれ程いつも言ってるだろうがッッ!!!!!」って拳骨まで落とされることもあったけど、堂上少将があたしを守ってくれるから、あたしは任務に集中して遂行することが出来るんだ。
…………もちろん、堂上少将が守ってくれるのは、あたしだけじゃない。堂上少将は率先して先導を切ってくれるし、仲間を守る為に身を挺して行動する人だ。
だから、何度も堂上少将が怪我をするのを見てる。背中の傷の手当てを手伝ったこともあって――――あちこちに痕があるのを見た。
……こんな背中だから、あの時あたしには、酷く大きく見えたんだろうなぁ……ってわかった気がした。
逞しくて大きくて優しい背中……。

思い出して、なんだか顔が熱くなったあたしに、手塚が怪訝な顔を見せた。
「――――怪我の手当てをしたってだけだろうが。何を照れてるんだ? ……まぁお前が堂上少将に憧れて部隊に入ったのはわかったが――――柴崎もそんなこと、言ってたしな」
「~~なななな、なにっ、柴崎がなんてッ?! なんだってッ?!」
……情報屋の柴崎は、時々恐ろしい程事情を知ってる時があって――――なんだかわからないけれど、あたしは妙に動揺した。焦るあたしに手塚は小首を傾げる。
「え? いや…、……まぁ、堂上少将を尊敬してるのは俺だけじゃないって――――笠原もそうだし、とか……」
「~~あ……そ、…………」
「…………」

     *

『堂上少将も罪作りな人よね』

……そんな風なことを柴崎は言っていたのを思い出す。
柴崎の言う言葉の意味がわからなかった。

笠原はもう寝たようだ。

そう言った柴崎の声音が少し憂いを帯びていた気がして気になった。
どんな意味で、どんな表情で言った言葉なのか――――。
姿を見せない柴崎の表情は見る由もなかった。

『笠原は伯爵令嬢だって――――笠原は笠原なのに、笠原なだけじゃなくて、笠原伯爵家の長女だもんね……』

何を当たり前のことを。
そう思う――――だけどその時の俺は柴崎にそう言えなかった。
自分の中で、意味も解らない話題とその最後の言葉が繋がることがなかったからかもしれない。
――――ふと、思考が逸れる。
柴崎は忍び――――非人だ。
あの時――――饕餮を浄化して命を削って死んでいたら、あの場に捨て置いていかれる身。
非人は死んでも虫ケラと同じだ。墓も何もない。
チラリと過った柴崎の死、ということに、想像だけだというのに酷く拒否してしまう自分が居る。
大丈夫、小牧はしばらく身体を休めれば体力の回復と共に生命エネルギーも戻ってくると言っていた。
小牧は正論しか言わない。休めば大丈夫――――。
柴崎の姿を思えば、こんなところで一夜を明かさずに歩き続けたくなる。
――――そういえば、眼帯はどこに行ったんだろう…………。
死にかけているかのような容体に動揺したけれど、あの時、柴崎は眼帯をしていなかった。
――――美しい顔だった。
――――この世のものとも思えないくらい、完璧に整った……あの顔を小牧は傍で見ているんだろうか――――いや、診ていて貰わないといけなんだが…………。
複雑な気持ちが湧いて顔を覆う。
なんなんだろう、この感情は。

『柴崎は俺のものじゃない』

言い聞かせるように思う。
柴崎に拒絶された――――あんな想いはもうコリゴリだ。
なのに、この感情は自分の物を取り上げられて駄々を捏ねるガキみたいな感情に似て――――いや、それよりももっと昏くて苦い。
精鋭部隊に入ってから柴崎が俺だけの柴崎でなくなって(いや、俺だけの柴崎だったことはない……柴崎は柴崎だと柴崎が言ってたじゃないか)、こういう醜い自分の感情に時折気付くようになった…………

――――なんで、俺の御魂が光ったんだ?

こんな醜い気持ちを持っているのに――――俺は御魂の輝きに相応しいのか?
考えれば、否、としか思えない。
俺が王の地位に相応しい人物だなんて思えない。
国を導く為の覇気も技量も何もない。
帝王学は幼い頃に少しだけ習ったが――――あくまで学問としての知識だけだ。
その知識を発展させ応用しようとか、どんな国を作ればいいのかなんて考えたことすらなかった俺なのに。

兄が話してくれたこの国の未来は、明るく輝いて――――俺は、その国を守る礎の一つを担うのだと思っていた。
兄が作るこの国を守ることが俺の役目だと。
この国を導くに相応しい兄を持っていること――――それが誇らしかった。

――――なぜ――――……

そっと胸元から取り出した御魂は、俺の手に触れるとやはり美しく輝いていた。



……To be continued.






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05:10  |  *『図書館戦争』二次小説  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

★うー、それはありますね…!

ママ様

なかなかのツッコミコメント、いつもありがとうございます(^^;)
レス難しいトコロもありますが、そこを突いて下さるとは、気付いて貰えるとは、という嬉しさもありますね(苦笑)

そうですねー。慧も一応慧の性格はそんなに変えずに……と思って書いてはいるので、慧自身はちゃんと理想があって、こういう国を……という展望はあったんだと思います。
そういえばこの国のことを全然書けていませんが、世界から見れば弱小国です。
その中で、他国に支配されないように、他国に負けないように、と慧は思ってたと思います。
まぁヤリ方が、若干強行趣向なのは慧ならではってことですが…………そういったところも、今後に出せればいいんですけどねー((((^^;)
話本来には関係あるような、ないような、なトコロなので、ちゃんと書けるかな?(((((((^^;)むむ…なんせ、話の基本は手柴・堂郁の話なのでねー(苦笑)

〇→X
この表現と言うか、解説と言うか、そこはその通りでゴザイマス(^^;)
まぁ…堂上さんだしね。
X側の人間にはなかなか辛い世の中ですよ。
O側の人間も、普通はX側の人間なんか相手にしないと思うんですけど、郁ちゃんと手塚なので、その辺が微妙になっているだけですね。この世界では普通はありえない、と思って貰って正解です。
そういう話で、それが話の本筋で、でも手柴で堂郁です、というお話でしたー(って終わっとるがな!★苦笑)
あんまりレスに書くと、ホント、話を暴露してるようなもんなんで、この辺で…………
まぁ、どんどん書いていけって話なんですけどね。
郁ちゃんと手塚がどうしていくのか、生温かく見守ってやって下さい。
まぁ、、、、原作同様、堂郁は言っても割とすんなりいけそうな気がするんですけど、問題は柴崎をどう落とすかですよねー。
そのあたり、ホント、見守ってやって下さいませです(*^^*)
まぁ、次回(…か次々回)あたり、その関係も微妙にややこしくなるかな、という感じなんですけど、最後は王道に戻りますので、そこは信じて読んで貰えると助かります。。。。苦笑
ツンデレラの書くモンって、ほんと、回りくどいですよねー。って自分で言うなって★(苦笑)

ツンデレラ |  2017年11月25日(土) 06:18 | URL 【コメント編集】

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 |  2017年11月24日(金) 11:38 |  【コメント編集】

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