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2017.11.17 (Fri)

≪背中の靴跡シリーズ≫ 『1つだけの願い』~vol.5~

≪ 1つだけの願い~vol.5~ ≫背中の靴跡シリーズ

SD-magadama08.jpg

前回に引き続き饕餮編。
……柴崎が戦闘不能になり……






【More・・・】

≪ 1つだけの願い~vol.5~ ≫背中の靴跡シリーズ


「……手塚、饕餮が――――」
木陰から出てきた人影にホッと息を吐く。
小牧少将だった。
「…こ、小牧、少…っ、しし柴崎が――――」
柴崎の容体への恐怖が恥ずかしくも口調にまで現れた。動揺のあまりこんな風に取り乱すなんて。
だけどそんな自分を取り繕うことも出来ず、小牧に柴崎の顔が見えるように少し腕を開く。
小牧少将なら、柴崎の容体が何かわかるのではないか――――。
少なくとも浄化の力を扱うことの出来る小牧なら俺よりも何かを知っている筈だ、と縋るように小牧を見る。
小牧も手塚の様子に何かを察したように何も言わず、柴崎の様子を確認する。
一目見て、小牧が眉を潜めた。
「饕餮にやられたの?」
「……いえ……、柴崎が囮になって饕餮を引き寄せてくれて――――それで饕餮の脇の目は射抜けたんですけど、柴崎が饕餮の身体に挟まれて動けなくなって――――それで柴崎の身体から閃光が走って――――おそらく、なんですが柴崎は突き刺さった矢を利用して饕餮の内側に光を注ぎ込んで饕餮を浄化しようとしたんだと思います。……饕餮の腕が光に溶けるように消えていきましたから――――……」
だが饕餮は、その浄化の光ごと自らの腕を喰らい尽くした。……饕餮の底知れぬ貪欲さを思い出して身の毛がよだつ気がした。
「――――そうか、さっきの【光】は柴崎さんが浄化を試みた光だったんだね……。ここに向かう途中、凄い【光の力】を感じて――――まるで神か太陽が天から落ちてきたんじゃないかってくらいの――――あれだけの浄化の力は俺も始めてだよ。
柴崎さんは一体――――……」
考え込みそうになる小牧に焦燥感が湧く。今は考えるよりも柴崎をどうにかしてやりたかった。
「~~それより、柴崎はッ?! 柴崎をどうすれば…っ」
必死な手塚の様子に小牧は、ああ、と思考を中断させた。
柴崎の細い手首を取って脈を診る――――柴崎の脈が衰弱していることは俺もさっき触れて知っていたが、小牧も顔を曇らせた。弱々しいながらも呼吸は出来ていることを確認して、ようやく少し苦笑のような表情を見せた。
「……人は神じゃないからね、【光の力】はその人の生命の輝きを使って作り出す。生命エネルギーを使うんだよ。さっきの柴崎さんはとてつもない光の力――――神の領域まで達しそうなくらいの力を使っていたから――――柴崎さん自身の生命エネルギーを使いすぎたんだろうね、光の力を出すその瞬間は命を削るようなものだから……。
…………時間が経てば体力の回復と共に生命エネルギーも戻ってくるよ。とにかく今は休ませるしかない――――これだけ消耗が激しいと、しばらくは目覚めることも出来ないだろうけどね」
そう言われてようやく手塚も一息吐く。吐いた息は震えていたが、身体の震えは少し治まった。
小牧もそんな手塚を見て少し微笑んだ後、柴崎を見てまた考え込む。
小牧には何かひっかかるところがあるらしい。
だが、今は考えるよりもやることがある。――――と、手塚はようやく意識を現実に戻した。
ぐったりと意識のない柴崎を小牧に差し出す。
「……柴崎をお願いします。――――俺、まだ残っている饕餮の目を射抜きます。柴崎が、饕餮は四つの目を潰せばいいと……」
と言いかけたところで、また木陰から人が飛び出してきた――――焦ったがそれは堂上と笠原だった。
「~~手塚、小牧、無事かっ」
「向こうに国東軍が50名弱――――後、そこに饕餮…が……って、しししばさきッ?!」
笠原が柴崎に気付いて顔色を変える。
――――さっきの俺の様子はこんなだったかもしれない――――と手塚は思うより先に、笠原を安心させるべく口を開いた。
「柴崎は休ませれば大丈夫だそうだ。それより国東軍はこっちに向かってるのか?」
「――――いや、国東軍は何かを探しているようだ――――饕餮のことを知っているのかこちらには向かってはいない。……手塚を探しているのかもな」
答えたのは堂上で、笠原はそっと柴崎の頬に触れて――――さっきの俺と同じく柴崎の冷たさに不安に押し潰されそうな顔をしていた。小さく、柴崎、と何度も名を呟く。
小牧がさっきしてくれた説明を笠原にもしてやると、笠原も少しだけホッと息を吐いた。
――――笠原にとって、精鋭部隊に入隊してからのこの3年の間、女子仲間は柴崎だけだった。それは笠原の中で柴崎を特別な存在にするには十分だったのだろう。
普段姿を見せない柴崎だが、笠原の喋りには時々付き合ってやったりしているのを知ってる。
人懐こい笠原の性格もあるのだろうが、相手が姿を見せない柴崎であっても、笠原は柴崎に心を開いて接していたようだ。そして柴崎も、姿を見せはしないけれど、笠原には少し気を許している素振りがあることにも気付いていた。
ずっと昔から俺の忍びとして傍についていた癖に、俺よりも笠原に気を許しているような気配があって――――複雑な気持ちになることもしばしばだった。
とはいえ、今はそんなことよりも目の前の案件である。
「……俺を探してるんじゃないと思います。柴崎と俺は、国東軍に一度弓で攻撃されています――――俺を探してるんだったらこちら側へ探しに来る筈です。国東軍については後で考えるとして――――いずれにせよ、先にやるべきは饕餮の息の根を止めることでしょう。饕餮の貪食力は計り知れません…………生きている限りすべてのものを貪り尽くすでしょう…………。
両脇の目は2つとも射抜きましたが、まだ人様の顔についた目が残っています――――それを射抜けば、饕餮は死ぬ筈だと聞いています! 俺、木立の向こうの木から両眼を狙おうと思います」
「~~だったら、あたしも!」
と笠原が名乗り出たが堂上に即座に却下された。
「バカか貴様はっ! お前は自分の弓の腕前を覚えてないのかッ?! 的に当てることすら出来ないようなヤツが行ってなんの役に立つって言うんだッ!! 俺が行く。お前はここで小牧と一緒に柴崎の傍に居てやれ」
そう言う堂上と目を交わし、腕の中の柴崎を小牧に預けると向こうの木立の方へと移動する。
気配を殺したまま移動する堂上のスピードに必死に追いすがる。ここで堂上に後れを取るようなヘマはしたくはない。
ほぼ同時に饕餮の人様の顔が見える位置まで来て、目配せで二人して木に登る。
饕餮は左脇に矢を突き刺したまま、起き上がったところだった。――――右腕がなく、左腕の脇も射抜かれていると言うのにまだ起ち上がれるのか――――恐ろしい程の体力だ。
人様の目は、人と同じ角度でしか見えないらしく、その場をぐるりと一周徘徊した。
――――獲物を探しているのだろうが、その狂気染みた目付きにゾクリとする。
自らをも食らう程の貪食力――――見つかったら骨まで喰らい尽くされる。
堂上と目で合図する――――次のチャンスには確実に射抜く――――。
二人して弓を構える。
研ぎ澄まされる感覚――――饕餮がこちらを向いた瞬間、二人同時に矢を放った。
空気を切り裂き、一直線に饕餮の目へと二本の矢が同時に突き刺さる。
――――と、大地をも震わせるほどの咆哮が起こった――――と同時に、矢に込められた勢いで饕餮の状態が仰け反る――――振り向きざまの饕餮はバランスを崩して地面に激突した。
……巨体が、ゴロリと地面で悶えながら転がる。
「~~~~マズイ…ッ!!!」
堂上の唸るような悲鳴――――手塚は言葉もなかった。
饕餮の暴れながら転がっていく方向――――あっちには、小牧に保護された柴崎と笠原が居る――――よりによって苦しみ悶える身体がそっちへ行くなんて!!!
息を呑む手塚の視界の中、柴崎を抱えた小牧が木へと飛び上がるのが見えた――――もちろん笠原も同時に――――ホッとしたのも束の間で、一度身軽に飛び上がった笠原がまた地面に戻るのが見えた。
――――アイツ何やって――――……
「笠原ッッッ!!!!!」
手塚がこれまで聞いたことのない、切羽詰まった悲鳴のような声が堂上から上がった。
饕餮の動きを機敏に避けて再び飛び上がりかけた笠原へ、運悪く饕餮が長い首を捩ったのだ――――あんな状態になってもまだ獲物の気配を感じて喰らおうとでもするかのような饕餮の動き――――顔の半分以上あるのではないかという程の異様に大きな口が開き、よりによって、笠原の衣服が饕餮の牙に引っかかった。
必死に口に入らないように笠原は身を捻って暴れているのだが、なかなか外れない――――。
――――と、堂上が饕餮に向かって木から木へと飛び移り、饕餮の眉間に向かって剣を振り下ろしていた――――
疾風だった。さっきまで手塚の傍に居たというのに、堂上は今、饕餮の眉間を剣で突き刺している。
堂上の体重を乗せた剣は深々と柄まで突き刺さり――――再び大地が裂けるんじゃないかと思うような咆哮が上がったと思ったら、完全に横倒しで饕餮が倒れた。身体は痙攣を起こすだけでもはや動かすことは出来ないらしい。
饕餮が地面に倒れた衝撃で笠原の衣服は外れたようだったが、投げ出された身体が木陰の向こうへと消えるのを見た。
あっちには崖が――――……。
嫌な予想を胸に封じながら、手塚は急いで堂上の元へと駆け付けた。
眉間に剣を突き立てた堂上はそのまま笠原の救助へと手を伸ばしたのだが、饕餮が倒れたせいで地面に投げ出された堂上の身体の方へと饕餮は倒れ込んだのだ。
堂上が饕餮の傍から出てこない……。
饕餮の断末魔を聞きながら、手塚は不吉な予感に襲われた――――……。



……To be continued.







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★見逃してしまって…!!!!!

ママ様

すみませんー!!
オフ本のことまでコメントいただいていたんですね!!
ちょっとここ数日、パソコンの機嫌が悪くて、ネットに繋がらなかったりすることも多々あり(メールも見れなくなったりして困ったりとか…)、原因は未だによくわからないんですが、オフ本コメントをどこかで見落としていたみたいで……今気づきました★
すみません~~~~ほんっと、すみません!!

感想ありがとうございます!!!!!
月が綺麗ですね、はママ様の見解に笑いそうになりました(笑)
郁ちゃん、産後鬱……なりそうかも(苦笑)。郁ちゃんのお母さんの呪縛は結構根深そうですもんね((((((^^;)
それを堂上さんが支えてくれて乗り切るんでしょうね~!!!!
堂上家を見本にするいいお嫁さんの郁ちゃん像もアリですしね(笑)
確かに手塚、相談相手が悪すぎっ!!!!
小牧さんに聞けばよかったのにー!って、小牧さんとこはまだ妊娠してないし…とか考えて、小牧さんに相談出来なかったのかなー(苦笑)
あの後輩君は、弱ってる柴崎に触りたい度は満々だったような気がしますよ、私(苦笑)
まぁ、あわよくば、まではいかなかったかもしれませんが、「こんな可愛い柴崎さんにちょっと触りたいww」くらいは思ってそうです(苦笑)
そうなんですよねー。ちゃんと最初にお互いに
> どちらもちゃんと話していれば、訊いていればという所
なわけなんですが、ママ様も解って下さったように、微妙に自分に自信がない柴崎(特に恋愛面)なので、聞くに聞けなくてモヤモヤしてしまいましたねー。
でも、これをまた一つ、手柴が互いに学習することで、ママ様も仰るように何でも話し合える家庭にまた一つなっていくんだと思いますww
少なくとも、手塚はもう、我慢することで柴崎にあらぬ心配はかけないようにしようとすると思いますね(笑)
2人目も早いかも(爆笑)

続いて、『1つだけ~』の方もありがとうございます!
> 国東軍が探してるのが……
あはははー。そこはまたおいおい……(苦笑)
鋭いです、ママ様(笑)
柴崎はしばらく、こんな状態なので戦線離脱…………小牧さんに守って貰うということで★(苦笑)
郁ちゃんと堂上さんは、次回を見て下さいませ。
とりあえず、今は言えないトコロばかりのツッコミ、流石です、ママ様!!!(笑)
郁ちゃんは、こんなに堂上さんに思われてることを気付…………かないよね、郁ちゃんだから★

パソコンの調子が悪いんで、どんどんと書く速度が遅くなり…………超ヤバいですが、頑張ります~~~!!!

ツンデレラ |  2017年11月17日(金) 21:29 | URL 【コメント編集】

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 |  2017年11月17日(金) 11:26 |  【コメント編集】

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