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2017.06.21 (Wed)

≪背中の靴跡シリーズ≫ 『ひとり寝る夜の明くる間は』~vol.65~

≪ ひとり寝る夜の明くる間は~vol.65~ ≫背中の靴跡シリーズ
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
  歎きつつ ひとり寝(ぬ)る夜の 明くる間は
   いかに久しき ものとかは知る
         右大将道綱母(53番) 『拾遺集』恋四・912
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



【More・・・】

≪ ひとり寝る夜の明くる間は~vol.65~ ≫背中の靴跡シリーズ


病院を出てしばらく行ったところで、十数人の男達に取り囲まれた。
目の前に並ぶ男達の数名の手には銃が握られている。
背後にも視線を巡らせる。後ろからも数個の銃口がこちらを向いていた。やられると背負っている麻子に危害が及ぶ。
「――――危害を加えるつもりはない。一緒に来て貰いたいだけだ」
目の前の真ん中の男が言った。…………こいつがこの中ではリーダーなのだろう。
「…………嫌だと言ったら?」
「2人共仲良くあの世行きだな」
そう言って、銃をブラブラと無造作に揺らせた。他の銃口は身じろがずに俺達を狙ったままだ。
「…………どこに行くんだ?」
「――――それは言えないんだ。悪いな。…………どうする? 行くか死ぬか」
「…………それ以外の選択肢はないんだな」
「そう言ってるだろ? さぁどうする?」
言いつつ、目の前の男の銃口が手塚の額に近づけられた。
背中の方の緊張感が凄い。麻子はちゃんと息をしてるだろうか、とそんなことが過る。
「…………行くしかないようだ」
「お利口だねェ。――――こっちだ」
「…………その前に、麻子の様子を確認させて貰いたい。――――発作を起こしてないか心配だ……」
言うなり、背中で無声音の悲鳴が上がった。慌てて振り向こうとして鳩尾に衝撃が入る。――――視界が一瞬暗くなりかけるのを、必死に足を踏みしめて堪える。
「――――大丈夫、息はしてる。さっさと行け…………」
「~~~~っ……、あ……さこ、に、…………なに…っ……」
「顔を上げさせただけだ。何もしてない。――――早く行け。行かないなら、次はお嬢ちゃんにお見舞いするぜ?」
見れば、拳の外側は金属製の籠手で覆われていた。あれで鳩尾に一発入れられたのだとわかる。
「…………わかった……」
歩いて数分のところに車が止めてあり、麻子を下ろせと命じられた。
予想通り、麻子の顔色は真っ蒼だった。気丈にも自分の足で立っていたけれど震えているのは目に見える程。
2人共、両手を縛られて、目隠しをさせられる。
――――と、いきなり蹴り上げられた。真っ暗な視界に閃光のようなスパークと赤い光が飛び交う。
無言のリンチだった。
あそこに居た男達全員が黙ったまま抵抗出来ない手塚に暴行を加える。
痛みと衝撃、視界も奪われて平衡感覚もない状態でサンドバックのように良いように嬲られる。
麻子は……っ、と思考の端に過るのすら、次々に襲う痛みに切れ切れだ。

エンジン音と車の走り去る音がして、慌てて「~~ぁ、あさ…こッ…ッ!!!!!」と叫んだが、躊躇なく襲いかかる暴力にそれ以上の言葉が続かない。
車の音はすぐに聞こえなくなった。
「~~~~く…っ…!! ~~~~あ…さ……ッ、~~~~グッ……!!」
ゲホッ、と、胃液が出そうな程の衝撃が入り、身体がくの字に折れる。
よろめいた所に背中から蹴りが入って地面に倒れ込む。だが次の瞬間には引き千切られるかという勢いで髪を引き上げられ――――……

ドカッ、バキッ、ドスッ、と、これまでにない程重く響く音がした。

「~~~~ガハ…ッ……!!!」
「~~グ、……ゲボッ!!!!!」
と周囲から異様な音がして、ドサッ、バタッ、と倒れる音がした。
手塚の髪を引っ張っていた手が離れ、すぐ傍にザアッっと薙ぎ倒される音がした。
「――――大丈夫か、手塚」
言いながら、目隠しを外してくれ、後ろ手を縛っていた紐も切って拘束から放たれる。
ようやく自由になった視界に見えた小牧に、鋭く問う。
「~~~~麻子は…っ」
発した言葉に血の味がした――――口のどこかが切れてるようだが構わなかった。
「柴崎さんを乗せた車は、進藤三監と緒形副隊長が追ってる。大丈夫だ」
「~~~~あいつ…………発作とか…………」
「…………それは大丈夫だと思う…………目隠しされた後すぐ、口や鼻にハンカチみたいなのを押し付けられて…………多分、薬で眠らされた感じだった」
申し訳なさそうに言う小牧に、手塚は複雑な表情を浮かべた。
眠らされたのなら発作は起きないだろう。――――出来れば眠っているうちに確保してやりたいと思う。
「こっちも、そろそろ警察が駆けつけると思うよ。現行犯逮捕だね。銃刀法違反だ」
小牧の言葉にようやく周囲に目を向ければ、玄田と堂上、笠原が次々と男達を薙ぎ倒していた。男達が持っていた銃はしっかりと確保されている。
驚いたことに折口さんまで一緒に居て、犯人に向かってたくさんのフラッシュを浴びせていた。
――――暴行罪――――いや、傷害罪の方は大丈夫か?
犯人目がけて次々と殴りかかる3人――――地面に伸びている何人もの犯人を見て手塚がそう思ったら、その思考を読んだように小牧がニッコリと優しく微笑んだ。
「――――正当防衛だよ。犯人は銃口を向けて襲って来たんだからね」
いとも簡単にそう言うと、地面に倒れている犯人を丁寧に縛り上げ、逃げられないように拘束していく。
「――――4、5人逃がしたな」
息も挙げずに相手を伸していた玄田が、舌打ちしながら小牧と手塚の元にやってきた
「相手が多かったですからね。3分の2は確保出来たんですから『よし』とするべきでしょう。要は犯行グループがわかればいいんですから」
「リーダー格の男も確保出来ましたし、その点は大丈夫じゃないかと」
手塚に話し掛けていたあの男の手足も、小牧がしっかりと拘束している。手塚がそう言うと玄田は鼻を鳴らした。
「思ったより相手にならんヤツばかりだったから殲滅しときたかったな」
「この一瞬で、隊長1人で5人以上は伸したんですから十分ですよ」
小牧が苦笑して言うのと同時に、手塚が鋭く玄田に問う。
「――――柴崎を乗せた車はどこに?」
玄田がイヤホンマイクで緒形に連絡を入れた。すぐに答えが聞こえ、走り出したい気がするけれどグッと堪える。
手塚とてわかっている――――動くのは場所の確定が出来てからだ。そしてそれも先に手を打てるのならば必要な手立ては打っておかねばならない。
折口も話に加わってくる。
「――――こいつらは麦秋会のようね。見たことある顔がいくつか――――今度こそ麦秋会は壊滅出来るわ」
「麦秋会を壊滅する前に、こいつらと良化隊の繋がりを暴く――――良化隊を叩いてから潰さないと意味がない」
玄田がそう言うと折口も頷く。
それは、麻子が図書隊の皆に教えた情報から、今ならば可能なのだ。
「そうね――――麻子ちゃんは?」
「茨城に向かってる」
折口の言葉に玄田が答え、こっちにやってきた笠原が目を丸くする。
「折口さん……『麻子ちゃん』って――――いつの間に柴崎のことを?」
笠原の指摘に、今更ながら手塚も気付く。
少し前までは折口は『柴崎さん』と呼んでいた筈だ。
「だって――――柴崎さん、今、すっごく可愛いんだもん。『麻子ちゃん』って感じでしょ?」
くすくすと笑う折口に、笠原がくりくりと目を動かして――――「あー…手塚が甘やかしてるからなぁ」なんて言うから意味が解らない。
怪訝な顔になった手塚とは裏腹に玄田も否定はせずに、「まぁそうは言っても、やはり柴崎だがな。麦秋会と良化隊の武器弾薬の売買取引の証拠を押さえてるんだから末恐ろしいヤツに違いはない――――」
言いつつも、緒形から連絡が入ったのか「なんだとッ?!」と突然罵声を飛ばした。一瞬身を竦めそうになる程の声音だった。
その場に緊張が張り詰める。
しばらくして口を開いた。
「…………撒かれたそうだ。まったく同じ車種の同じ色の車を用意してあったらしい。前を走る車のナンバーが違うことに今気付いたとのことだ。――――柴崎が身に着けている発信機から探し直すことになるから、警察がこっちに来たら、すぐに緒形達と合流する」
冷たいものが手塚の背筋を走り抜けた。

――――麻子。
後生だから無事で居ろ――――

思わず祈るように思った手塚に、ポン、と肩を叩く強い手。
「…………大丈夫だ。柴崎にはお前が付けた発信機がある」
「ご利益のあるお守りなんでしょ?」
玄田と折口の言葉に周りを見れば、小牧も、目を潤ませながら笠原も、笠原を抱き寄せながら堂上も、皆が大丈夫だと確信した目で頷く。

――――大丈夫。

濡れた瞳を拭った笠原が、手塚の心を代弁する。
「――――大丈夫…………大丈夫! 柴崎は絶対、あたし達が守る!」
そう言った笠原に、ふ、と笑む余裕が手塚の中に生まれる。
「…………お前が言うなよ。それは俺の台詞だろ?」
「こういうのは早い者勝ち! 柴崎はあたしが守るんだからね!」
言いながら笠原も不敵に泣き笑いのような表情になった。

――――絶対、大丈夫だ。
――――麻子は絶対に俺達が守る。

固く握りしめた拳に誓った。
強い気持ちが湧き上がり、確信となる。



……To be continued.







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05:10  |  *『図書館戦争』二次小説  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

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 |  2017年06月21日(水) 13:02 |  【コメント編集】

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