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2017.05.24 (Wed)

≪背中の靴跡シリーズ≫ 『ひとり寝る夜の明くる間は』~vol.61~

≪ ひとり寝る夜の明くる間は~vol.61~ ≫背中の靴跡シリーズ
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  歎きつつ ひとり寝(ぬ)る夜の 明くる間は
   いかに久しき ものとかは知る
         右大将道綱母(53番) 『拾遺集』恋四・912
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【More・・・】

≪ ひとり寝る夜の明くる間は~vol.61~ ≫背中の靴跡シリーズ


「……あの……少し話をしてもいいですか」
麻子と麗華が入って行った部屋の扉を見つめていた俺に、横から声が掛かった。見れば、なんとなく見覚えのある顔――――ああ、さっき麗華の傍に居たヤツだと合点がいく。
『手塚は来ないで。――――大槇さんと2人だけで話がしたいの』
そう言った麻子の強い瞳に反論出来ず、案内された部屋に麻子を残して俺は部屋を出た。少しして麗華が現れて――――この男と一緒だった。麗華は廊下のベンチで座っていた俺に会釈はしたものの視線は合わさないように逸らされ――――珍しく麗華もまた顔色が悪かった。俺の知っているどの麗華とも顔付きが違う、陰鬱さが混じった表情だった。この男にここまででいいと言うと、麗華も1人で部屋に入って行ったのだ。
「――――どうぞ」
なんだろうと思って促したのに、がっちりとしたガタイをもじもじとさせてなかなか言葉を続けないから首を傾げる。見た所、俺達よりは若そうな――――新入官員と言う訳ではなさそうだが、まだ4、5年という所か。
話の切り出しから困っていたらしい男は、ようやく自己紹介という形で糸口を見つけたらしい。
「…………申し遅れました! 私は大槇警視の部下の高鷲と申します! その…っ、…………大槇警視とのことで少しだけ話が出来ればと思って……」
言いながらも緊張している様が見て取れる。
麗華のこと…………話すことなど何もないけどな、と思いながらも、真剣そのものの高鷲の顔に、敢えて出鼻を挫くような言葉は言わずに黙っていたら、不躾な言葉が飛んできた。
「~~~~あ、あのあのっ!! 貴方は……その、大学の時にも大槇警視と付き合ってらっしゃいましたよね?!」
思わず、瞬く。
なんだこの男……と訝しく見つめれば、慌てたようにブンブンと腕を顔の前で振った。
「~~あ、いや……あのその…っ、自分はっ、自分も同じ大学で……っ!! その――――大槇警視と同じ剣道部で――――その、だから、見かけたことがあって!!」
言いながらよほど緊張しているんだろうか、暑くもないのに滲んだ汗を手で拭い――――気付いたように慌てて白いハンカチを取り出した。

体当たり――――そんな感じだな。
どうやら勘違いでもしているのだろうか。
今の俺は麗華とは何の関係もないのに。

冷静にそう思い、少し助け舟を出してやる。
「――――確かに大学時代に付き合っていたことはあるが、今は切れてる。プライベートな関係はない」
そう言うと、高鷲の顔にサッと血が昇った。
「~~~~けど…っ!! 貴方は事件のこととかでよく大槇警視を頼って来るし……っ」
「……それは、俺も事件の関係者だからな。――――事件を解決したいという想いは共有してる」
「~~~~~~~~っ」
俺の言葉に、咄嗟に何も言えないと言う風で、でも、表情はクルクルと変わる。

…………どうやら、そんなに口が回る男じゃなさそうだな。
理路整然と話をするタイプではないらしい、と冷静に分析する。
こういうタイプは話が見えにくけれど、不思議と高鷲の人柄だろうか、実直そうで不快感はなかった。口に出す言葉も裏表はなく真っ直ぐで――――素直に表情に出てしまうのは警察官としては利点ばかりではないので今後は少し鍛えた方がいいかもしれないが、少なくとも麗華のことを心配しているのが見て取れた。
随分してからようやく言葉を見つけたらしい。…………意を決して口を開く、という様が明らかだ。

「~~~~っ、たっ…単刀直入に言いますッ!!! ……あ、あのっ……お、大槇警視の浮気を許してあげて――――その…っ、寄りを戻してあげて下さいッッ!!!」

「…………」
手塚の目が点になる。
…………なにを言い出すんだ、こいつは。
呆れた気持ちで見つめたけれど、高鷲は顔を赤くして、一生に一度のプロポーズでもしたかのような緊張感の漂う雰囲気で、判決を待つようにジッと俺の言葉を待っているらしい。
……えっと……。
冷静に高鷲の台詞を分析する。
――――麗華が……浮気? まずそこがまったく意味がわからなかった。
そもそも付き合っても居ないのに浮気もクソもない、と切り捨てたいところだが、手塚を持ってしてもその言葉を言い出せないのは高鷲の真剣そのものの雰囲気のせいだろうか。一世一代の告白を口にして、戦々恐々と大きな身体を縮めている高鷲を見ると、バッサリと切るのも不憫に思えてくる。
――――浮気――――と言われて、思い付くのは、やはり大蔵優哉のことだろうか?
大蔵優哉のことを想い浮かべるだけでも反吐が出そうになるが、冷静に思い返して――――……。

「…………あんた、ひょっとして、あの時病院で麗華と共に現れた警察官のうちの1人か?」
――――思い出した! ……そうだ……麗華が優哉を見て精神的に追い込まれた時に、足元が頼りない麗華を傍で支えてやっていた男だ、こいつ!
…………そう言えば、今も、心配そうに麗華の傍に付いてここまで来たんだっけ。

――――と思えば、答えは簡単だった。
手塚でもわかる数式だ。

こいつ、麗華が好きなのか。

ふ、と思わず笑ってしまったら、サッと顔を赤らめて「~~~~だったらなんなんですかっ! ……今はまだ大槇警視の足元にも及びませんが、いつかは片腕になりたいと思っております!!」なんて言うから、口元が引き締まらない。
麗華を心配してるんだろう。
さっき見かけた麗華は、確かに顔色も良くなかった。
付き合っていた大蔵優哉が逮捕されて、精神的に参ってる感じは受けた。
だけどな、と思う。
「…………寄りを戻すって言ってもな…………今の俺は、麗華と何の関係もない」
「ですが…ッ!!」
「……俺は今、プロポーズしている女が居る。彼女は身体を悪くしてるから治るまで返事は保留されてるけど、俺は彼女以外は考えられない。――――だから麗華とは大学時代に終わったまま、本当に何もないんだ」
「~~~~ッ?!」
純情で実直な青年は顔を赤らめた。だけどその後複雑そうに表情が回りに回って、やがて、心配で思い詰めたような表情に落ち着いた。複雑な心境の中から、なんとか言葉を見つけて口に乗せると言うような……つっかえつっかえな感じで口を開いた。
「~~そ…っ、そう、なんですか…………、あ、でも……けど、せめてその、……大槇警視を……許してあげてくれませんか。…………その、あれ以来胃を悪くされてて…………あのっ、身体だけじゃなくて、そのっ…………辛そうなんです、いろいろ……食欲もあまりないようですし…………今のままじゃ、いつか倒れてしまう。
…………あのっ……せめて、大蔵優哉の件だけでも許してあげて欲しいんです…っ!! 貴方が許してくれたら……それだけでも大槇警視の精神的な負荷は物凄く軽減されると思うんです……!! どうか……どうか、お願いしますっ!!」
深々と床に頭が付くんじゃないかと言う程頭を下げてきた。
手塚はその様を見つめ――――静かに口を開いた。
「…………許すのは俺じゃない。俺が許すと言ったところで、麗華が自分を責める気持ちは変わらないだろう」
「~~~~そんなこと…ッ! そんなことありませんっ!!」
バッと顔を上げた高鷲を静かに見つめる。
「…………麗華のしたことは、君が思ってるような簡単なことじゃない。もっと複雑で深刻で――――男と女の惚れた腫れたの話じゃないんだ。――――麗華が本当に救われる為には、事件の解決が何よりも必要で――――許すとか許されるとか、そんなことじゃない。……そんなのはただの気休めにすらならない。
――――麗華の力になりたいと思ってるのなら事件を解決することだ。この事件になんらかの決着が着いて初めて麗華は救われると思う」
「~~~~それは…っ!! ……そんなの当たり前ですッ!! ~~言われなくたって大槇警視の周囲には仲間がいっぱい居てちゃんと支え合ってやってんだッ!! …………俺も……俺だって微力ながら大槇警視を助けて頑張ってる…ッ!!! 事件は絶対解決して見せるッ!!!」
意気込んだ高鷲の表情を見て、手塚の口元にふ、と笑みが浮かぶ。
それを見て、高鷲が顔を赤くした。
「~~~~けど……っ! ……けどッ…、大槇警視はあんたが…ッ」
言いかけた高鷲の言葉をピシャリと遮る。
「――――俺は麗華とはとっくに終わってる。麗華を救うのは俺じゃない。俺じゃあ麗華は救われないんだ。…………俺が許すと言ったところで、所詮麗華は過去の過ちに対する拘りからは抜け出せないだろう。
今の麗華に必要なのは『許し』なんかじゃない――――先を見て、前へと進むことだ。『今』でも『過去』でもなく『未来(さき)』を見て動くことだ――――そうだろう? 麗華のその背中を押してやれるのは、麗華を支えてやれるのは、俺じゃない。――――麗華の傍に居て、共に支え合って頑張れる仲間じゃないのか」
「~~~~それは…っ!! ……そんなのッ!! ~~言われなくたって、大槇警視は皆に支えられてる…ッ!! …………俺も……俺だって…ッ……」
言いかけて唇を噛んだ高鷲に、手塚は優しい目を向けた。
「…………なら……麗華は大丈夫だ」
そう言った手塚の言葉に高鷲の拳が握り締められる。
「~~~~けど……っ!」
話が堂々巡りになりそうになったところで、部屋から麗華が血相を変えて飛び出してきた。

「~~~~光…ッ、柴崎さんが…………」

名前を聞いただけで、高鷲との会話などそっちのけで、慌てて部屋に飛び込んだ。

     *

高鷲にここでいいと告げて、ノックして部屋に入った。高鷲は4歳下の部下で、彼が入官した時から面倒を見てあげていた。学部は違うけれど同じ大学だったらしく、大学の剣道部で私が4年の時に1年で入部したらしい。大学4年の夏以降はほとんど部活に顔を出さなかったから正直覚えてなかったけれど、彼の方は覚えていて『1度だけお手合わせいただいたこともあります!』なんて初対面の時に言われた。ガタイは大きい癖に子供みたいに笑う男だなと思って、同じ部署に配属されたこともあり気にかけてやっていた。
そんな部下にまで心配を掛けている。最近の高鷲は少し体調を崩した私を気にかけて、なんだかんだと世話を焼いてくる。いつの間にか少し出来るように成長してて、私の片腕としてよく動いてくれた。
――――優哉の件があってから、少し胃を悪くした…………意外に自分は精神的に弱かったのだと思い知らされた。軽い胃潰瘍と診断されて薬を飲むようになった。
――――光に合わせる顔がない――――もちろん柴崎さんにも。柴崎さんが狙われて銃弾に倒れたのは私のせいじゃない。だけど、その後に現れた不審者の影に怯えて夜も眠れなくなった彼女をその状況に追い込んだ原因の1つは私にもあったのだという事実が重く胸に圧し掛かる。
やつれ果てて以前の美貌も影を潜めた彼女から、光をお願いと頼まれて、嬉々として受けた私――――正直、あの時は骸骨女のように痩せ細った柴崎さんよりも私の方が光に相応しいとさえ思っていた。記憶のない光も、私が足繁く光に会いに行くことを特に拒みはしなかったし、それがそのうちに好意に変わることも疑わなかった。
だから、手塚慧がマコさんとして生気のない彼女を連れて来た時には驚いた…………病院で見た時以上にやつれ果てて幽霊のようだった。マコさんがそんな状態になっていたことを私は知らなかった。……『柴崎麻子』を探す不審者と接触して昼も夜もまったく眠れなくなっていた彼女。それでもそんな状態でも彼女は光に助けを求めはしなかった――――手塚家に来たのは彼女の意志ではなく手塚慧の指示で――――ぐったりと横たわった彼女はそんな容体でも私に、申し訳ないと謝罪の言葉を口にして、なるべく早く手塚家から出れるようにするから、手塚慧の彼女を装って手塚には関わらないようにするからと、だから手塚をよろしくと相変わらず私に光を託した。――――今から思えば、彼女をそんな風に追い込んだのは私だったのに。
そんなことは知らなかったから、マコさんが来てから光の態度が変わっていくのに苛々した。
私が行っても光の目はマコさんを追う。マコさんを見る光の目は、私の知らない目だった。私に向けて来た目とはまるで違うのだ。
骸骨のような美貌も愛嬌も何もない病人に私が負けるの?
それは俄かには受け入れがたい事実だったから、私はそれを認めようとしなかった。これまでの人生で自分が他人に負けた経験はなかったから、自分に問いかけては自分の方が優れているとしか思えなかった――――まるで白雪姫の継母のように。『――――美しいのは私』 そんな言葉はまやかしだ――――今ならわかる。……でもあの頃の私はずっと暗くて嫌な感情を胸に燻らせて、時折煮えるような苦いものを味わっていた。
『彼女の方が私より好かれる理由はどこにあるっていうの? 見た目もスタイルも私の方がずっと上。光に愛想も振りまかない。頑なに手塚慧の彼女であると貫き通している――――光が手を出せるわけもない。
……彼女が病人だから光は気に掛けているだけだわ。病人は労わらなくちゃと思うもの――――光は優しいから放っておけないのよ。――――そのうち彼女が普通に日常生活を送れるようになったら光も気にしなくなるわ。早く治って彼女が出て行けば、光だって目が覚める。彼女が自分のものになる日は来ないことがきっとわかる…………』
だけど、そう言い聞かせようとしても光を見ると苛々する。私の方をちっとも見ない癖にマコさんばかり見る光に。
強引に誘っても光は上の空だった。光の目はマコさんしか見てなかった。マコさんを引き合いに出せば少しだけ私を見てくれるけど、光は私にはまったく興味がない――――。
アッサリと振られた。
びっくりするくらい、呆気なく。
それでもまだ心のどこかでは信じてた。
マコさんに捨てられたら光は私を見るだろうって――――。
マコさんに振られたら、私を見てくれるだろうって――――。
予想は裏切られっぱなし。
マコさんが体調不良で緊急手術となり――――マコさんが手塚家から出て行くことになった代わりに、光は記憶を取り戻した。――――マコさんが手塚慧の彼女なんかじゃないことがわかってしまった。
記憶を取り戻した光は無敵だった――――マコさん(柴崎さん)への想いで満ち溢れていた。誰にも遠慮せず、隠そうともせず、自分には柴崎さんだけなのだと胸を張って私に告げた。
――――木端微塵に振られた――――
彼女が一生振り向かなくても、光には柴崎さんだけだと言う――――光の最後の女は彼女だと。
彼女の為に身を粉にして事件を調べる光。
…………最初は悔しかった。
私だっていい女だって、まだ心のどこかで思ってた。
だけど――――気付いたのだ。
柴崎さんのことを想って、彼女のことに必死になる光が、これまで見たどの光よりもカッコ良くてドキドキした。
彼女が振り向かなくても自分が彼女の為にしてやりたいと、一途な想いに心がときめいた。
彼女が自分を見なくても彼女以外は考えられないと、諦めの悪いしつこい部分も素敵に想えた。
彼女のことを口にする時の光の表情が見たこともないくらい甘くて身体が熱くなった。
――――彼女のことを想う光ってカッコイイ…………
歪んだ想いだった。
だけど、これまでを振り向いてみれば、マコさんとして光の前に彼女が現れるまでの時間の中で、こんな風に光にドキドキしたことはなかった。素っ気無い光の態度に少しムカつくことはあっても感情が揺すぶられるなんて経験――――考えてみればこれまでの人生で一度だってそんな経験がなかった。
イイ男で私の好きなタイプそのもので、話をすれば互いに知識があって楽しい。一緒に居ても窮屈じゃなくて面倒なこともない。家柄も金銭的な面でも釣り合う家系――――理想の男。
――――なのに、振られた今になって、一途に彼女のことを想う光にこんなに胸が躍る。
――――彼女のことを想う光が好き――――
…………気付いて慄いた。
なにコレ歪んでる。
私を見ない男を、私は好き?
――――バカな。
――――好きになったところで、どうなるっていうの――――
気付いて混乱した私の前に、以前に振った筈の優哉が現れた。
柴崎さんに光を託されたことで、切った男。
光と付き合うのに二股はしたくなかったから。
光が硬派なのは知っていたから――――付き合う相手には誠実だから絶対に浮気や二股はしない。されるのもきっと嫌がる。――――だから優哉と別れた。『もう会わない』って。
元々優哉とはお互いに割り切ったような付き合いだった。一緒に居る時は私を気持ち良くしてくれる言葉をくれる優哉だけど、私のことを一途に想っているわけじゃないのも感じていた。他にも女が居るような気もしたけど、それも気にならないような浅い付き合いだった。
――――だから、私がもう会えないと言った時に、『どうして?』と返されたことだけでも驚いたくらいだ。
『…………別に俺、麗華に他の男が居てもいいよ』
そんなことまで言っていた――――。
……だけど、結局そのまま会わなくなり、時折ご飯を誘うメールが入る時もあったけれど返事をしなかったら連絡もほとんどなくなっていった。
もう終わったと思っていたのに、突然やってきた優哉は開口一番に聞いて来た。
『新しい男とは上手くやってんの?』
痛いところを突かれて、上手く答えられなかった。ポツリと『フラれた』とは呟いたと思う。
優哉は相変わらずの優しい雰囲気で、私を慰めてくれた。
『そいつ、見る目ないね。こんなに可愛い女ってなかなか居ないのに』
――――可愛い、最高、一番…………そんな言葉を口に乗せるのは優哉のいつものことなのに、その時の私は絆されてしまった。
私を可愛いと言ってくれる。私を素敵だと言ってくれる。いい女だと、最高だと、一番だと言ってくれる。
酒を注がれながら囁かれると、虚勢を張っていた気持ちがグズグズと溶けてしまう。
胸の中でずっと燻っていたドロドロとした気持ちを吐き出してしまいたくなる。
優哉は優しく聞いてくれる。
優哉はいつも聞き上手だ。
ホストだったせいかしらね? なんて私が嘲笑うように言ったって、『麗華の全部を受け止めたいから聞きたいだけさ』なんて気にもしないようにサラリと口にするの。
付き合っている訳じゃない。
行きずりに近い。
酒の勢いも合って少し箍が外れる。
――――誰にも言えなかった自分の醜い部分まで、酔った勢いで口にしてしまう。
ずっと心に抱えていた理不尽さ――――彼女のどこがいいっていうの? 私の何が劣っていると言うの。
あの日、ベロベロに酔ってしまった私は何を言ったかまではあまり覚えてない。
久しぶりに身体も重ねて、睦言でもずっと優哉は私を褒め契ってくれていた。――――気持ち良く一夜を共にした。
再会してそうなって――――相変わらず優哉は面倒臭くなかった。
付き合おうと無理強いはしてこないし、しつこく誘うこともない。時々連絡をくれて会う。会っては素敵な店で奢ってくれて口を開けば私を褒めて慰めてくれる。
イイ女だ、可愛い、最高――――麗華が一番いい女だって、絶対に言ってくれた。その言葉が聞きたくて優哉に会う自分が居た。
美味しいお酒。甘い雰囲気。私を甘やかしてくれるから、優哉には嫌な自分も晒してしまう――――それでも、『麗華が一番可愛いよ』って言ってくれるから…………。

病院でマコさんを襲った犯人が優哉だと知った時――――すぐに私のせいだとわかった。

睦床でポロポロと口にしていた言葉の数々――――優哉が知りたがっていたならば、私の言葉から『柴崎麻子が生きている』ことや『別人として入院している』ことを察しただろう。
私のせいで、私が柴崎さんを追い詰めていた――――。
『手塚のこと、よろしくね……』そう言った生気のない顔も、マコとして手塚家に現れた時の幽霊のような衰弱ぶりも、元はと言えば私が優哉に漏らしていたせい――――そして、今また優哉が現れたせいでショック状態に陥っているという――――……。
光の厳しい目に怯えた。
詰問されたわけではなかった。だけど光にそんな目で見られる――――見られるだけのことをしていた自分。
優哉を捕まえたと言う図書隊の同僚の女にさんざん責められても、何一つ言い返す言葉がなかった。
ズキズキと胸が抉られるように痛くて吐き気と頭痛に苛まれた。
初めて。
生れて初めて。
人の人生を狂わせるようなことをしていた――――……。
こんな失敗――――どうしたらいいのかわからない。
胃がキリキリと痛むようになって、医者に通い出した。
薬を飲んだって良くならない――――。
捜査班から外れるか、と上官に問われた。
項垂れて躊躇って――――その言葉に縋りたくなった。外れてしまえば楽になるだろうと思った自分。だけどなんとか堪えてしばらく考えさせて貰って――――でも、逃げては駄目だと自分を奮い立たせた。
逃げていてはますます顔向けできない――――会えない。
私に出来ることは内閣府での襲撃事件について調べること――――それが償いになると…………。
そう思って捜査班に残ったものの、全くと言っていい程、気力が湧いて来なかった。
最近は部下にまで心配される始末。
どうしたらいいのか、どうすればいいのか、まったくわからなくなっていた。
――――光の顔を見るのも怖い。会えない。顔向け出来ない。

まったく動けなくなっていた私の元に掛かって来た電話。

柴崎さんからだった。
話がしたいから時間を貰えないかと言われた。
――――何を言われるの……?
怖かった。怯えた。――――でも、拒否権は私にはない。
直接会って言いたいから、と約束だけ取って彼女は電話を切った。
怖い。
彼女はどうして私に会うの?
――――優哉の件についてのことしか考えられない…………。
秘密を漏らしていた私。
彼女の存在を言葉の端に乗せた自覚もある…………。
彼女が自分を殺してまでの覚悟を、私は知っていたにも拘らず、私は彼女の意志を踏みにじっていた。
罵倒されても殴られても仕方がないことをしてしまった――――彼女がどういうつもりで私に会うのかはわからない。わからないけれど私はただ黙って耐えて、それから…………謝らなければ。――――そう、少なくとも謝らなければ。
昨日はそれを思うと眠れなかった。
胃が朝からズキズキと痛んで吐き気もする。
部下にまで心配かけるくらい、醜態を晒してる。
…………夜まで私はもつだろうか…………
そう思っていたら、また電話があって、出来れば今から行かせて欲しいと言われた。
怖かった。
でも、待つことも限界だった。
承諾したものの、何もかも手に付かなくなった。
――――怖い…………。

部下が心配して付いて来てくれたけど、廊下に居る光を見つけて驚いた。
なぜか光が居る可能性を考えてなかった。(……考えてみれば当たり前なのに……)
光にも会わせる顔がない――――……。
光に無様なところを見せたくない――――……。
ここまででいいと部下に言って、勇気を振り絞って扉を開いた。
光は私に目を向けたけれど、何も言わなかった。――――私も目を合わさず何も言えずに目の前を通り過ぎた。
光に見られていると思えば、震える手もなんとか動かせた。
ノックして、扉を開く。部屋に入って扉を閉める。
狭い部屋の中、彼女が立ち上がった――――驚いた…………また小さくなったのではないだろうか。
相変わらず異常に細すぎる身体は服を着ていてもわかる――――服の重みで折れるんじゃないかとさえ思えてしまう。
あまり顔色は良くなかったけれど、彼女は背筋を伸ばして立っていた。やつれ果てたちっぽけな彼女なのになぜだか彼女の雰囲気に気圧されそうになる――――私の中の引け目がそうさせるのかもしれない。
掛ける言葉もみつからない私に、凛とした声で「……お久しぶり……突然だったのに、時間をくれてありがとう」と真っ直ぐに声を掛けて来た。モゴモゴと口籠ってしまう情けない私。
彼女の容姿を見て、大丈夫とか元気かなんてとても聞けないし(明らかにまだ体調が回復していないのは見て取れる痩せ方だった)、今の容体を尋ねるのも気が引ける。何を口にすればいいか迷って、結局何も言えない。濁すように話を切り出すしかなかった。
「…………お、お久しぶり…………あの……話って…………」
言いながら尻すぼみになる。――――怖い。…………なにを言われるんだろう…………。
目が泳ぐ。そんな私を真っ直ぐに見つめる柴崎さん――――。
バクバクと心臓が口から出そうだった。
こんな情けない私を、彼女は真っ直ぐに見つめる――――。
ふ…と彼女の目が少し伏せられた。
「……あたしはいつも、貴女に勝手なことばかり言ってるわよね……」
そう彼女は言うと、少し自嘲的に口角が上がった――――と思ったら、また真っ直ぐに瞳が開いた。
濡れたような黒い大きな瞳。大きな感情を宿したその瞳は深くて複雑で、でもキラキラと宝石のように輝いて――――とても綺麗だと思った。
直向きな目。怒っている訳じゃないし悲しんでいる訳でもない。ただ、真っ直ぐに私を見る。
「……今日は……宣戦布告に来たの……」
予想もしない言葉。
意味も解らずに呆けたように繰り返した。
「…………宣戦……布告……?」
彼女の瞳に苦しそうな色が浮かんだ。ほんの一瞬。だけどその苦い表情をすぐに皮膚の下に隠す。
「…………勝手なことばかりで…………ごめんなさい。でも……わかったの…………あたし…………手塚を離すことなんて出来ないの……」
淡々とした口ぶり。――――だけど溢れそうになる想いを堪えながら、必死に冷静に紡いでいる言葉だとなぜかわかった。
「……『手塚をよろしく』なんて貴女に託しておきながら…………でも……手塚を完全に切り捨てることが出来てなかった…………ごめんなさい……。…………あたし…………気付いたの……手塚があたしを置いて新幹線に乗ってしまった時に…………手塚が行ってしまうことがどれだけ苦しいか…………あたし……手塚と離れたくないって…………」
淡々と紡いでいた言葉が、ふいに詰まった。
キラキラした瞳がまた濡れたように揺れて――――とても綺麗だった。
溢れるかと思った涙をなんとか引かせると、ほんの少しだけ赤くなった目尻や鼻先がとても愛おしく思えた。
また淡々と話し出す。
「……貴女に託しておきながら…………あたしは自分勝手なことばかり言ってる…………でも…………手塚の――――あたし、手塚の傍に居たいの。
ごめんなさい。貴女に託したこと、手塚をよろしくって頼んだこと、撤回しに来たの。
…………あたし…………手塚が…………光が、好き、なの…………」
勇気を振り絞るように最後の言葉を口にした柴崎さんは――――ほんの少しだけ目を伏せて、慌てて少し俯いた――――私の目から逃げるように。
だけど、一度は逃げた視線がおずおずと私を窺うように上目遣いでチラリと戻ってくる。
さっきまで、淡々と自分の意志を伝えていたと思った彼女は――――自分の本心を真っ直ぐに口にすることが苦手なのかもしれない。少しだけ頬に血が昇って顔色が戻ったことも相まって――――とても彼女が可愛く見えた。
――――好きなんだなぁ…………。
ふと、心が温かくなった。
眩しい――――可愛くて綺麗で、とても眩しかった。
柴崎さんも、光のこと、本当に好きなんだ。
本当に好きだから光を切ろうとした。本当に好きだから光から離れようとした。――――わかってたつもりだけど、そう言えば私はいつも、彼女の『嘘の言葉』しか聞いたことがなかった。
自分に素直になる彼女はとても可愛くて眩しかった。
本当の柴崎さんを見れて良かった――――。
今の彼女の姿が見れて、心が軽くなった。
キリキリと痛んでいた胃が嘘のようで、温かいもので満ちてくる。
私も、私を取り戻してくる。
「――――宣戦布告だなんて…………よく言うわ。…………最初から戦いにもならなかったわよ」
いつもの私の口調が口を突く。
いつもの私の気概が胸に湧いてくる。
私らしく、柴崎さんに対峙出来る。
勇気を振り絞って会いに来てくれた柴崎さんに、胸を張って私も応える。
モヤモヤと抱えていた私の嫌なものも想いも、今の柴崎さんを見たことで、昇華していくような気がした。
「――――光が私を見たことなんて一度もなかった。記憶を失って真っ新になっても、傍に居る私のことを光はなんとも思ってなかった。記憶が無くても光は貴女に夢中だった――――今も……。
宣戦布告もなにもないわ。――――光はずっと貴女のものだったんだもの」
そう言うと、柴崎さんの頬に、更に血が昇った。
…………可愛い…………。
こんなところが、光は目を離せないんだろうと思う。一瞬見せる可愛さを見ていたくて、その一瞬を見逃したくなくて、光は柴崎さんから目が離せないのだ。
互いに続ける言葉を探した。
柴崎さんの表情が少ししかめっ面になったのが可笑しかった――――私の口から言われたことに、表情に困ったのだろうか。それから少し唇を突き出して――――なにそれ、そんな子供っぽい顔も見せる彼女に口元がまた綻ぶ。
「…………あたしんじゃない…………あたし……あたしは、これからよ。…………あたしが光の傍に居られるように――――、光の傍に居てもいいように、病気も、怪我も、それから事件も…………全部が終わって――――すべてが終わった時に、それでも光が居てくれたら…………それから、よ。――――これからなの、あたし……これからの頑張り次第なのよ、あたしは」
「よく言うわ。――――光が貴女を離す訳ないじゃない。貴女が傍に居ない時の光を知ってる? ……知るわけないわよね。
――――貴女が傍に居ない時の光は、光の身体から大事な何かを失ったみたいになるの。……精神的にどんどん消耗していくのがわかるし体調だって崩れてくる――――目に見える程にね――――まるで貴女が居ないと生きていけないみたいよ…………。
そんな重い想い、私は御免よ。
誰かが居ないと生きていけないとか、誰かの為に命を懸けるとか、重すぎて苦しくなるわ。
――――そんな押し潰されそうな程の大きな光の愛情を一身に受け止められるのなんて、柴崎さんしか居ないわよ。光の想いは――――柴崎さんにしか受け止めてあげられないの。柴崎さんが受け止めてあげなかったら光は自分の想いの重さに潰れていくんだわ…………誰にもどうしてあげることも出来ないのよ。
――――すべてが終わってからとか、後回しにする必要はないんじゃない? 貴方達はわかってる筈よ――――光には柴崎さんが必要で、柴崎さんだって光が必要なのよ。
――――悪いけど、私、勝算のない戦いはしない主義なの。宣戦布告されたところで貴女と戦いたくないわ――――惨めな気持ちになりたくないもの。…………知ってた? 私って結構プライド高いの。私のことを一番に見てくれる男じゃないと嫌なの。悪いけど、頼まれたってもう光は嫌よ。
――――ああもう、サッサと終わらせちゃいましょう、こんな事件――――私も協力するわ。これまでだってずっと光に協力してきたのよ。いろんなことがようやく今見えて来つつあるの。もう少しな気がするの。
…………光から聞いてるだろうけど、今の警察ではね――――」

そう言って、今警察の方で掴んでいる情報や、これからどう捜査の手を広げていこうとしているのかとか、そのあたりについて柴崎さんにありのままを話した。
――――考えてみれば、被害者である彼女にここまで事件について詳しいことを説明したことがなかったことに気付く――――彼女は、彼女が死んだことになった事件を、このままうやむやなままにして本当に光の前から消えるつもりだったのだろうと今頃になって気付いた。蒸し返さず掘り返さず、ただ自分は死んでいく――――……そんな選択を、身体もまだ回復していない状態で選んでいたのだと――――……。
…………負けるわ…………。
光に顔向けできないって、それだけで胃が痛むとか、自分の小ささに気付く。
――――彼女は光の前から完全に忽然と消えて、二度と会わない覚悟までしていたというのに――――それでも、痛いとか苦しいとか何も漏らさずに、たって一人で全部抱えて歯を食いしばっていたというのに――――……。

ほんと、負けるわ。

優哉の話が出た時には、頭を下げた。謝罪の言葉をようやく口に出来た私に、柴崎さんは気にもしていないように、「人の口に戸は立てられないものよ。――――実際あたしは生きていたんだし――――あたしが本当に死なない限り、どこからか何かしらの噂は立つものよ。――――通夜も葬式もなかったんだしね、アヤシイことがいっぱいで……あたしを探している人間にとっては胡散臭いことばかり目についたでしょうよ」と、早いか遅いかだけの話だったでしょうよ、と許してくれた。
――――情けないけど、許されてホッとして、涙が出そうになった…………。

やはりある程度は光から話を聞いてたらしい柴崎さんは、私が語る情報の中でも鋭いところだけを突っ込んでくる。光からは聞かれたこともない優哉のその後の処遇(光に対する傷害罪は確定しているから、一応逮捕はしているのだが――――警察の方では起訴するつもりなのかどうなのかという所までも含めて――――)までも、鋭く尋ねてくる――――……流石としか言いようがない。
…………けれど、だんだんとしんどそうな表情が時折浮かぶようになってきて、続きは今度にしようと口にしようかと思った矢先、突然、みるみる顔色が悪くなって――――グラリと上体が傾いた。慌てて上体を起こそうとしたのだろうが、震える手に力が籠らないのかそのままソファに沈み込む。――――怖いくらい血の気がなくて、慌てて光を呼んだ。
廊下に居た光が部屋に飛び込んで、柴崎さんの元に駆け寄る。
柴崎さんは顔を見られないようにだろうか、腕で顔を少し隠していたけれど――――その指先が小さく震えていた。
光はその手を取るとゆっくりと顔を覗き込んで、抑えた静かな声で容体を確認するのに、聞き取れないほどの弱々しい声でなんとか応える柴崎さん……。
どうやら、急に貧血が起きた、というようなことだった。
光が珍しく強い口調で『今日はこれ以上は絶対駄目だ』と言い張ってタクシーを呼ぶと、自分の来ていた上着で彼女を包み込んだ。彼女を横抱きに抱え上げようとしたら彼女が弱々しく抵抗する。
みっともない姿を見せたくないとか、こんなところで嫌だとか、この期に及んで大丈夫だとか…………抵抗する彼女を難なく光は簡単に封じ込めて抱え上げる。嫌なら無茶するな、無茶するからこうなるんだと、珍しく柴崎さんに対抗して強い台詞。
そして、私を見ると、これまでと同じ口調で、表情で、光は私に言った。
「……悪い、今日はもう休ませたい。すまんが続きがあるなら、こいつの体調見てまた連れて来るから今日はここまでにしといてくれ」
――――ホッとする。
怖いと怯えていた自分が、こうして普通に光の前に居られた――――普通に光に喋ることが出来る――――柴崎さんのお蔭で。
「全然――――むしろ私も、柴崎さんの体調がちゃんと回復してからの方が助かるわ。…………私には無謀じゃないかと思うような提案を柴崎さんがしてきたところだったの――――今の様子見たら、とてもじゃないけどそんなの出来もしないしね」
「…………」
光は柴崎さんが私に何を提案していたのかも薄々わかっているのだろうか。苦い顔をしたけど何も言わなかった。
クルリと背を向けて歩き出した光の後ろを追い駆けて、警察署の外まで見送る。
タクシーに向かって歩き出した光に、勇気を振り絞って声を掛けた。
「…………光! ……柴崎さんと、幸せになってね!!」
場違いだっただろうか。
腕の中の彼女はぐったりと意識があるのかないのかもわからない状態での言葉ではないかもしれない。
――――でも、今なら二人を祝福できる気がしたのだ――――
光は顔を私に向けた。
とても穏やかな目で私を見て――――それから、男気のある微笑みを浮かべた。
「……ああ……必ず」
どきん、とする。
好きだなって思う。
でも、もう胸は痛まなかった。
むしろ、ほんわりと温かい。

――――好きになれて良かった――――光のこと、本当に好きになれて良かった。

なぜだか、そんな風に想えた。
ほんの少しの切なさはあるけれど、それでも良かったと思えるから不思議だ。
好きだけど――――もう大丈夫。
『光のこと、好きだったよ』…………そう言って胸を張って終わった恋を振り返ることが出来る。

柴崎さんを抱いたままでタクシーに乗った光は、相変わらず素っ気無くそのまま私を見もせずに行ってしまった。
タクシーが見えなくなるまでそこに居た私は、警察署へ戻ってゆく。
――――中に入ると、高鷲が心配そうな顔で私を見ていた。
なんだか、顔が綻んでしまう。
「……なにしてんの! サッサと仕事に取り掛かりなさい。今日はこれまでの情報を整理して大槇優哉の起訴について検察官との打ち合わせが入ってるのよ? 書類ちゃんと準備出来てるんでしょうね。出来てなかったらブチのめすわよ」
「~~は、はいっ!! 出来てます、ちゃんとっ!!」
「確認するわ。事務所に戻るわよ。他にもやることは山積みなんだから」
「…………はいっ!!」
ツカツカと廊下を歩く。
急に、やるべきこと、やらなければならないことが霧が晴れたように見えてきた。
気力が充実して来る。
――――私が終わらせてみせる。
そんな思いが沸々と湧き、麗華の目に道が見えた気がした。
日が差し込む明るい道が。
颯爽とした麗華の後ろから高鷲が追い付く。
真っ直ぐ前だけを見ていた麗華は、相好を崩して嬉しそうに付いて来る部下の顔には気付くことはなかった。



……To be continued.



********************



というわけで。
ようやく、麗華さんが手塚への想いに決別出来ました!
今年のサンキューリクエストで、リクエストいただいた
********************
今書いてるお話『ひとり寝る夜の明くる朝は』で、麗華さんをきちんと失恋させてあげてください。
本人的には望みはもう無いと思ってるんでしょうが、手塚本人から手厳しくとは言わないけど、きちんとした言葉で振ってあげて欲しいな。
********************

ママ様。
手塚本人からではなかったですが、麗華さんは麗華さんなりに自分でちゃんと現実を受け止めて、手塚への想いには決別したということで、こちらのリクエストはこんな形でお返しする、ということでご容赦下さい。
麗華さんは、見た目郁ちゃん似だけど、内面は柴崎似だと想うので、自分で答えをみつけなきゃ駄目だと、途中から思ってたんです。手塚にアッサリフラれても引き下がらなかったのは自分で納得してないからだろうなって。
ようやく、麗華さんも、これから新たな恋をみつけてくれると思います!
今度はちゃんと自分を見てくれる人に気付いていけるんじゃないかな♪
麗華さんが、1つ、いい女になった瞬間かなって思います(*^^*)
可哀想な役でしたが、麗華さんは嫌いじゃないので幸せになって欲しいです!
というわけで、ママ様。リクエスト通りではなかったですが、こんな感じでお許しくださいませね。








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05:10  |  *『図書館戦争』二次小説  |  TB(0)  |  CM(4)  |  EDIT  |  Top↑

★そう思って貰えると♪

sauly様

> 麗華さん、良かったーという回でございますね
そうでございます(笑)
良かったー、そう思って貰えて(笑)
なんせ、結局のところ麗華さんはフラれたんだろ? って事実は変わらないので、この回を読んで貰って少なくとも
「麗華さん、良かったー」と思って貰えることは、私の中で大成功なのです!
ああ、良かったー(笑)

麻子サンは、身体的にすっかりガタが来ているので(無茶しすぎ)、今かなりしんどいですが…………まぁ彼女の横には常に介助犬が居て助けてくれるので、大丈夫でしょう!
…………とはいえ、次回はまだお話的には動かないのですが、麻子サンの心がちょっとだけ前進出来るかなって回(笑)
後は、麻子サンの身体がなんとかなったら、いよいよまた、お話的には進みますのでね。
そろそろ終盤ですから、停滞期間もチャチャッといきたいものですもんね?(苦笑)

> では、ソプラノズのサブキャストを紹介しますね!笑
> うん、前終わりとか言ってた?うん?(錯乱)
ですよね、言ってましたよね?(笑)
終わりませんでしたか…………リターンズってヤツですね(笑)
映像見てても、会話が英語でちっともわからないので、何がどう腹が立つかはわからなかったですが、お姉さんが居たんだ! という事実にはビックリ(笑)
まぁ…………トニーの兄弟姉妹だっているか★
けどまぁ、マフィア組織にビッタリなお姉さんじゃなさそうですよね(苦笑)
ムカつくのは、自由すぎて、勝手すぎてムカつくんでしょうかね?(苦笑)
トニーは、なんでトニーみたいな性格になったのか…………お母さんもお姉さんも自由なのに(笑)
2人が反面教師だったのかな?(苦笑)

ツンデレラ |  2017年05月27日(土) 06:04 | URL 【コメント編集】

★管理人のみ閲覧できます

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 |  2017年05月25日(木) 19:48 |  【コメント編集】

★確かに!

ママ様

ありがとうございます!
ママ様に、
> これで麗華さんは一歩も二歩も前に進めるんじゃ無いでしょうか。
と言われてホッとしました~~♪
そんな風に感じて貰えるように書けてたらいいな~と思うことそのものだったので(*^^*)
麗華さんも、これで進んでいけると思うし、麗華さんの素敵な恋をして欲しいです~!(*^^*)

しかし、ママ様に言われて、「確かに!」と苦笑しちゃいました。
> 受けた方のどちらも手塚の気持ちを蔑ろにしてたって所では同罪ですが、
> やっぱりここでも手塚の気持ちが蔑ろにされてる(笑)
確かに~~~~~~!!
ですよね、手塚の気持ちがまるっきり蔑ろになってる~~~!!(苦笑)
まぁ……とりあえず、みんなそれぞれ、自分の気持ちに一生懸命だったせいで、当事者の気持ちであっても考えるに至らなかったんだろうなァ(苦笑)
高鷲君と喋ってる手塚は、きっとずーっと、(…何言ってんだ、こいつ)がいっぱいだったですよねー(笑)
高鷲君は、ママ様も仰るように、確かに丸っきり気概がなさ過ぎ!(笑)
まぁ……彼の今後の成長に期待しないと駄目でしょうねェ。
現段階では、麗華さんにもまるっきり【部下】としか思われてないし、眼中には入ってません(笑)
まぁ、ちょっとくらいは、入官当初よりは使えるようになってきた、って程度でしょうか(苦笑)
現段階では、多分、自分の気持ちを打ち明けてみたところで全然ダメだっていうことが、高鷲君本人にもわかってるのかと思います(苦笑)
麗華さん家は名門の警察官の家柄なので(お父さんは【組織犯罪対策部長(階級は警視監)】という設定になってます(笑)。今後、松和会の監視やら何やらできっと忙しくなる部署で、きっと今後大活躍でしょう)、現段階の高鷲君ではとてもとても相手にされないかと思われます…………高鷲君の今後の成長に期待するしかないな!(ガンバレー(笑))
まぁ、高鷲君が一生懸命頑張ってても、どっかのイケメンキャリア警官に麗華さんを持って行かれちゃう可能性も多々ありますが(苦笑)
まぁでも麗華さんも、これで、見た目がいい、家柄がいい、だけでは男に靡いたりしなくなったでしょうし、高鷲君にせよそうでないにせよ、本当の意味でイイ男を選んでいくことでしょうね。

> 心境の変化をいつか高鷲さんに話してあげても良いかもね。まぁ話すとしたら何も言わず支えてくれた高鷲さんの気持ちに気付いた時でしょうかね。
このママ様の言葉がすっごく素敵でした~~~!
そうかもしれないですね。
この時に、何かを吹っ切れた麗華さん。
恋愛の見方が随分と変わったわけですけど、そういう話が高鷲君に出来る夜になるのは、高鷲君の気持ちに気付いた時かもしれませんね。その時に、どんなふうに離してあげるのか…………そう考えると、そこにもまた1つのドラマが生まれるなァ!って思いました!!!
ま、とりあえず、高鷲君は
【自分が、大槇警視を幸せにします!!】
と言えるようになるくらい、今はまだ成長しないと駄目ですけどね(笑)
ツンデレラ |  2017年05月25日(木) 05:53 | URL 【コメント編集】

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 |  2017年05月24日(水) 12:41 |  【コメント編集】

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