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2017.03.09 (Thu)

≪背中の靴跡シリーズ≫ 『言わずもがな』

週半ばに珍しく、記事をアップップ~♪
3月9日になりました!! そう、毎年恒例の【サンキューの日】ww(^_^)/▼☆▼\(^_^)
拙いお話を細々と書いているだけのブログがずっとやってこれたのも、こうして覗きに来て下さるあなたが居たからです。
コメントを下さる方はもちろん、拍手下さったり、覗きに来てくれるだけでも「ああ、読みに来てくれる人が居る!」と本当に嬉しく思って「書く気力」になっています!! 本当にありがとうございます!!
そういう感謝の気持ちを、ほんのちょびっとでもお返し出来たらなァ!と思って初めたサンキューリクエスト★
「皆さんが読んでみたいと思うお話を書くことで、ほんのちょびっとのお返しを…(*^^*)」と毎年、この日だけリクエストを受け付けていましたが、1年以上ウチのブログに来て下さっている方は御存じの通り、1年前のこの日に受付たリクエストから始めた『ゴッドファーザーもどき』が、未だ終わらずというていたらく……。
このパラレルに実は、1年前のリクエストのうちいくつかは含まれていたのですが(そして今後、もう少し含まれる予定)、長編になるとは思っていましたがまさか1年経っても終わらないとは私も思っていませんでした……(;´д⊂)
本当にすみません…………。
一応、お話は後半には入ってきておりまして、夏前には終わるんじゃね?と思っていますが、、、、、どどどどどうでしょうか?(←かなりドモっとるな……)
こんなお話ですが、どーしてもちゃんと完結させたいので(しかもこれから入る1年前のリクエストもありますし)、ここまでお付き合い下さっている皆様には是非とも最後までお付き合いして貰えたら……と厚かましく思っています。本当によろしくお願いします。
参考までに『ひとり寝る夜の明くる間は』で、現時点までで入ったリクエストはこちら
↓↓↓
★Sauly様
********************
私がハマっている映画ゴッドファーザーを見て思ったことが(ゴッドファーザーは権力を描いた話なのですが)手塚というのは権力にかなり近いサイドにいるわけです
もしも、手塚が権力を継がなくてはいけなくなった場合どうなるんだろう、というのが今回のリクエストです。
つまり、父の役職である図書協会会長、もしくは兄の別冊2以後の立場を引き継ぐことになったらということです。
結婚期でお願いしますw
********************
★ゑん様
********************
何かピンと閃くものがあれば良いなと思うのですが、如何せんシチュエーションを提示するのが苦手なもので、キーワードだけになりますが、良ければ使って頂ければと思います。

・同じ匂い:密やかな艶めきであり、暖かな二人の日常。
・花を贈る:あなたに届けたい気持ちをのせて。
・二人の間の癖(習慣):あなたとだから。
・笑顔にさせる方法:何よりあなたを素敵にする。

手塚と柴崎でも嬉しいですし、みんなでわちゃわちゃしていても嬉しいです。
********************
  ※わかりにくかったと思いますが、記憶喪失編や柴崎入院編での、手塚が柴崎を匂いで気付く点とか花を贈るところとか、つい抱き締めて眠る癖とか、笑顔はまぁ…言わずもがなですけど…そんな感じのシチュエーションで取り入れさせて貰ってます。
★yikumi様
********************
リクエストというか、私が一番読んでみたい設定はパラレルなのですが、手塚が記憶喪失になってしまうお話です。
結婚を決めた後手塚が記憶喪失になり、担保のキス前の記憶までしか残っていなかったら…というお話です。
********************
  ※すみません。「担保のキス前の記憶までしかのこっていなかったら」…というトコロはなかったですね。記憶喪失って私の中ですっかり記憶が抜けたっていうよりはモヤモヤしてて思い出せない何かってイメージなんで…………結局はすっかり柴崎のことすべてを忘れている設定でしたが…………記憶喪失話についてはあれでご容赦願いますか?(苦笑)
↑↑
これ以外にも入るリクエストは…………またお話に書いた後で★(じゃないと、ネタバレになっちゃうものばっかりなんで)
----というわけで。
実は『ひとり寝る夜の~』のお話に、実は1年前に貰ったリクエストのうちかなりのものは入る予定だったのですが、いかんせん、1年で終わらないという結末になるとは私の予想外でした、すみません………。
そして、『ひとり寝る夜の~』には入らないリクエストもあって、そちらについては、『ひとり寝る夜の~』が終わってから、1年以上経ってのお返しということになりますがお応えするつもりはあります。(…そうだったのか!(苦笑))
一応、お応えするつもりはあるんだー!!という主張も兼ねて(?)、本日は、
★こじこじ様
********************
初めてコメントなのにずうずうしいですが、リクエストさせて下さい。
ジレジレになりかけ(内乱?)頃。二人が阿吽の呼吸で、バリバリと仕事をこなす話をお願いします。
同じレベルの二人だから、お互いにやりやすいんだろうなぁと。仕事が出来る手塚が見たいです(笑)
********************

のリクエストにお応えした単発のお話を追記より載せておきます。
1年越しとなりましたが、本当にごめんなさい!
そして、まだお応えしていないリクエストをして下さった方、まだお待たせしますが、お返しするつもりはあるのでお待ちいただけたら…………厚かましいお願いですが、お待ちいただけたら嬉しいです!


で。
問題は、今年もやるのか、リクエスト受付?!
…………ですよねー。
1年前のものも終わってない無理じゃね?と自分で思わなくはなくて…………正直、仕事を始めてから、やっぱり書く時間は減って来てますし、今年はプライベートで引っ越しだとかいろいろと予定もあって…………年々、書く時間がなくなってきていると、ひしひしと実感もしているのですよね。
でも、リクエストからヒント貰ってネタが降ってくることもあるんで、リクエストを聞きたい気持ちもあったりとかして。(ややこしいなお前!!)
いろいろ考えたんですが、振り返って去年のサンキューリクエスト受付を読んでいて、かなり失礼なリクエスト受付をしていた自分を発見し(ヲイ★)去年と同じスタイルで良ければ、リクエストを受付出来るよね、と思った次第でした…………。(ヲイヲイヲイ)

というわけで。

ツンデレラがリクエストに応えるかどうかはわからなくても、とりあえずリクエストさせて下さい!と言う方は、3月9日6時0分~3月10日6時0分までの間に、この記事のコメント欄などからリクエストを投稿しておいて下さいませ
あくまで、リクエストにお応えできるかどうかはわからない、下手したら答えてくれないかもしれない----それでもいいよ、という方だけよろしくお願いします。(過去にはリクエスト【0】って前例もあったので、お気を遣わずにー(笑))
そのくせ
リクエスト期間を過ぎてのリクエストは、一切受付ませんのでご了承下さい。
→→リクエストは締め切りました! たくさんのリクエストありがとうございました!

こんなないい加減なリクエスト受付を1年前にしていたのでした!
そして、こんないい加減なリクエスト受付に、リクエストして下さった皆様…………1年以上経っていますが、感謝していますので、いつかお話を返したいと思っています。(いやもう、もはや覗きに来て下さってないかもな!ということも重々承知です)
…………こんなリクエスト受付でも、いっちょ物申す!と思った奇特なお方のみ、コメント欄からご連絡下さいませね。
毎年年に1度のお祭りみたいなモノですし、完全にしないと突っ撥ねるのも寂しいので…………ということもあってですね。
まぁもちろん、呆れ返られて、ツンデレラなんかにはリクエスト出来んわ!というご意見ももっともで、リクエスト【0】でも気にしませんのでお気遣いなく!

こうして今もこの記事を覗いて下さった貴方には、本当に本当に感謝している気持ちだけは本当です(*^^*)
来て下さってありがとうございます!! 心から感謝しています!!



というわけで、前置きが長すぎましたが、リクエストお答えです。
こじこじ様、1年お待たせ致しました!
設定は入隊2年目の冬って感じでしょうか。朝比奈さんを夏に切って……の、その冬って感じで、士長試験前を想定しています。
こういうのもあっての、手塚が柴崎に初めて個人的に「子供への読み聞かせを教えて」って頼むことになるのかなーって。
あのあたりって、手柴の絡みはあんまり原作で書かれてないけど、手塚が柴崎を認めるシチュエーションは行間にあった筈!と思っているので、そんな感じのお話にしてみました~~~。
この時期なんで、甘さはゼロですけどね(((((^^;)
というわけで。
リクエストはともかく、これだけでも見てやろう! と思った奇特な貴方様は追記よりどうぞ~(°ー°)ノ~








【More・・・】

≪ 言わずもがな ≫背中の靴跡シリーズ


――――ったく。
誰よ、こんなヤツ、合格させたの!
「……すみません、すみません、すみません……」
涙を浮かべてひたすら謝っているのは、この春に入隊して来た男性隊員に人気のある女子隊員だ。
童顔で仕草も可愛いい彼女は、完全に末っ子タイプで「甘やかしたくなる女子ナンバー1」だそうだ。
入隊してから、彼女の担当になった女子隊員が入れ代わり立ち代わり「必要最低限のパソコンの機能だけは覚えないと駄目だよ!」と口を酸っぱくして言っているのだが「頑張って覚えようと思ってるんですけどぉ…なかなか覚えられなくてぇ。これってどうするんでしたっけ?」と言いながら、彼女にさせるとあまりに進まない作業に、いつの間にか他の隊員がその業務を替わっていて、結局彼女はバーコードを当てるだけの貸出し借り出し作業か本棚の整理しかせずに、もう季節は冬になっていた。
「次の春には、次の新入隊員も入って来るんだよ! 恥ずかしいよ!」と最近では先輩女子隊員からの檄が飛び、流石に逃げられなくなったらしくしぶしぶと作業を始めるようになったのだが、本当に失敗が多くて女性隊員からは「彼女と一緒は嫌」と明らかに煙たがられていた。
男性隊員達は、「わからないんですう、教えて貰っていいですかぁ?」と甘ったるい声で上目遣いで言われると悪い気がしないらしくて、だけど、彼女にさせると仕事が滞るので、結局は彼女に教えると言うよりは男性隊員がやってしまっているという感じだったようだ。
柴崎はまだ2年目だから、彼女の世話を託されるようなことがなくてよかった、と密かに胸を撫で下ろしていた。今、彼女の教育係になっているのは(彼女1人に1人教育係が付いているのだからどれだけ出来ないかわかろうってものである)、30代半ばのうだつの上がらない北山三正だった。
「……仕方ないよ……。今度からは機械の調子が悪くなったら、自分でなんでもやろうとせずに、俺達を頼ってね?」
そう言いながらも、流石に声が重く苦く、苦笑も浮かばずにげんなりとしている。
蔵書のデータが消去されてしまったのだ。この作業の復旧を想うとそりゃそうなるだろう。
なんでも、蔵書データを追加作業中に、パソコンがフリーズしてしまったらしい。よくわからなくて、適当にキーを押したりなんだりしているうちに画面が真っ暗になってしまって、慌てて北山三正に泣き付いたのだが時既に遅しだ。パソコンはバグりまくった挙句に沈黙して動かなくなった。
「……どーすんの、蔵書データ?」「一から打ち直すとか言わないでよ……」「そんなの、何か月かかると思ってんの?! ウチで扱っている蔵書の規模は知ってるでしょ?!」と先輩達は戦々恐々だ。
誰だって巻き込まれたくはない。
けれど、急いで復旧させないといけないのも明白で。
だけど、階級が上の人達はなんだかんだと自分達の仕事を主張して逃げ出し、パソコンにそれなりに精通していて仕事の出来るヤツ、ということで柴崎は復旧チームに入れられた。
こんなところで「仕事の出来るヤツ」というのが悪目にでるとは思わなかった。柴崎の他にとばっちりを受けたのは、1つ上の先輩と、同期の手塚だ。
あれ、と思って「……あんた、タスクで一番暇なんだ?」とからかえば「……一番下っ端だからな。……同じ下っ端でも笠原に噛ませるとますます壊れる」と憮然とした顔で呟いたから吹き出した。
――――少しだけ、気が晴れる。
まぁ、たまにはこんなこともあってもいいか。なんて。
館内業務で一緒になることはあっても、同じ仕事を分担してやるなんてことは普通、業務部とタスクフォースではほぼないことだから、本当にレアなケースだ。
秀才がどの程度のモンか見せて貰いましょ? なんて、この仕事に対して面白味を見出す。
北山三正から、データの復旧方法の説明を聞いて手塚に目線を送った。正攻法でとにかく紙媒体で残っていた蔵書データの打ち込みを出来れば2日以内に完了して欲しい、と言われたのだが、明らかに労力の無駄だと思った。
柴崎の目線に手塚の目線が合うと、はあ、と手塚が溜息を吐いて、憮然とした顔ながら一応控えめに「……すみません、少しいいですか」と口を開いた。
北山三正は「~~っ、お、おう…っ」なんて少し上擦った声で応じる。特殊部隊からわざわざ派遣して貰うような失態をしたということで、手塚に対する遠慮が最初からあるようだった。
「他館からの蔵書データを送って貰いましょう。武蔵野第一に次いで大きいのは神奈川か埼玉ですが、蔵書数で言えば埼玉の方がいいかもしれません。そのデータを控えデータと参照して、不要なものは削除して、後は手入力すると言うことの方が、どう考えても効率的ではないでしょうか」
「~~そ…っ、そうかな? ……いやけど、2つのデータを照合するって作業も結局はかなり大変だろ? 時間もかかるし……」
「一から入力するよりは早いですよ。大体、新規で入力したものについてはダブルチェックをしないと、万が一間違っていては意味がありませんから、そう考えれば一から入力すると言う行為は2倍の時間がかかると言うことになります」
「~~~~っ、……あー……まぁ、そうだね。ハハハ…流石は手塚君だ……」
北山の言葉に、手塚も柴崎も内心でげんなりと溜息を吐いた。
――――こんなヤツだから、30歳半ばにもなってまだ三正でしかないんだろう。ちょっと考えればすぐに思い付くようなことだ。システム上の互換性の問題が、とかそういう理由ならまだしも、単に照合作業が面倒なだけだったらしい言い草に、柴崎はほとほと呆れた。
――――まぁこの程度だから、蔵書データが完全に消えちゃったんだろうけど。彼女も彼女だけど教育係も悪かったのだ。……それもそうか、優秀な人材だったら彼女をもう少しくらいは成長させられる筈だもの。
同じ業務部として溜息が出る。
そんな柴崎に手塚がキビキビと声をかけてきた。
「どうする? 俺が連絡しようか?」
どうやら手塚も北山三正に指示を仰ぐより自分で行動した方が早いと思ったんだろう。
このテンポは心地いい。
「いいわ、データのやり取りならあたしの方が慣れてるし、埼玉図書館とは何度かやりとりもしてるから。向こうの事情もある程度は知ってるから、あたしに任せて。それよりパソコンの方よろしく」
「わかった。じゃあ、システムのチェックをしとく」
そう言ってパソコンに向かおうと立ち上がった時には、柴崎はもうにこやかに埼玉図書館へ電話をかけていた。すらすらと挨拶を交わして、どうやら向こうへ貸しもあるような口ぶりで話が弾んでいる。蔵書の中には政府にとって都合の悪い本も多いから、蔵書データの譲受と言うようなことは普通はしない。それが外部に漏れるとことだし、禁断書などを含んでいると煩わしい手続きを依頼されかねないのだ。
――――ったく、空恐ろしい女だよな。
他館にまで顔が利くとか、こいつでないと多分なかなかないだろう。こいつがメンバーに入ってて良かった、と思うと同時に、データを入手した時にパソコンがすぐに活用できる状況になってなかったら大目玉を食らうコトが目に見えているので、手塚も急いで作業に入った。
良化隊への対策も兼ねて、各図書館は独自システムでデータを保管しているから、ファイルを貰っただけでは武蔵野第一図書館のシステムにそのファイルを簡単に入れることは出来ない。武蔵野第一図書館のシステムロックを解除して中を弄れる状況にしておかねばならない。当然その前には正常にシステムが動くことも確認しておく必要がある。
業務部の復旧活動を手伝ってやってくれ、と最初に言われた時はなんで俺が、と思ったけれど、意外に柴崎と一緒に仕事すると言うのは新鮮で、とてもやり良いものだと思った。
程なく、柴崎が手に入れたデータから一覧リスト打ち出して、北山三正と先輩にチェックして貰う。
「流石仕事が早いねー」なんて柴崎は声を掛けられていたが、「まだ仕事これからですよ? こっからなんで頑張りましょうねー」なんてどっちが上なんだか、発破をかけつつ流していた。
全くその通り。ようやくこれからデータを復旧させていくのだから。
「……どう? 上手く入りそう?」
柴崎が横に立ってパソコンを覗いた。視界の端にサラリと流れた黒髪が入り、微かに花のような香りがする。
「……ああ……埼玉図書館とはシステムが似てて幸いした。これならすぐにデータは入るな」
「でしょ? 神奈川図書館はシステムが全然違うのよね。あんたが神奈川か埼玉かって言った時はヒヤリとしたわよ。まぁ、埼玉を押してくれたから良かったけど。最近、最新システムを導入した茨城とか言われたらお手上げだったかもよ? あっちの最新鋭のシステムについてはこれから調べようと思ってたところで、まだあたしでもよく知らなかったし――――。手も足も出ないようなシステムが積まれてたらお手上げだしね。
…………ホント、あんまり軽はずみに名前上げないでよね。ヒヤヒヤするんだから」
「……お前なぁ…………そこまで知ってるんなら自分で言えよ。俺に言えって言ったの、お前だろ」
「そんなこと言ってませーん。あんたが勝手に言い出したんじゃないの」
「目で言え言えって指図してただろうが」
「人聞きわるーい」
ツン、と言うと、視界から黒髪がサラリと逃げた。
あ、と思ってパソコンから目を離す。
柴崎は手塚に背を向けて、北山の方に歩いてゆく。綺麗な黒髪が揺れていた。
あれ、なんだったんだろう。少しだけ柴崎に違和感を感じたような気がした? …………のか?
よくわからず、溜息を1つ吐くと再びパソコンに目を戻す。
背後で柴崎が「チェック、あたしも手伝います」といつもと変わらない調子で言うのが聞こえた。
柴崎が手に入れてくれたデータを、武蔵野第一図書館のシステムに落としながら、手塚もチェック役に入る。
夜通しの作業で、4人でなんとかすべてのチェックを済ますことが出来た。
翌日は手直し作業と言うことで、使えるパソコンは2台しかなかった為に、2人ずつ交代で休みながら作業を続けた。
昨日の夕方から初めた蔵書データの修復作業も、今日丸々費やして、ようやく大詰めだ。
今は22時――――。後数ページというところまで来ていた。
「代わる」
そう声をかけると、柴崎が顔を上げた。珍しく疲労の滲む顔――――少し目が赤くて、薄らと隈が出来ている。
一瞬、ドキッとして、なんで鼓動が跳ねたのかはわからない。
「ん……」
言いつつ、柴崎が軽く自分の額に手を置いた。掌の下で目を閉じて休めているのを感じる。
「大丈夫か? 長時間ブルーライトを見つめてたから目が疲れたんだろ。……もう終わりだから、お前、自室に戻れ」
「……任せて大丈夫かしら?」
「信頼してくれていい」
「……他人を信用しないの、あたし」
「お前なぁ……。俺、この件ではミスしてないだろ?」
「そうだっけ?」
「……そうだよ……。お前と俺に入力ミスはない――――っていうか、お前、コレ間違ってないか?」
言われて、えっ、と柴崎が顔を上げた。
著者名の阪田が坂田になっていただけのケアレスミスだが、確かに間違っていて――――悔しそうに柴崎が顔を顰めた。
「~~~~っ、これ今入力したばっかで、1冊入力するごとに見直してるからチェックで気付いた筈なの! 途中で声を掛けられたから注意が逸れたんじゃない!」
「そっか。とりあえず代われ。晩飯は? 食堂もう閉まってんぞ」
「んー…。あんた小姑みたい」
「うるさい。――――多分俺で最後まで出来るから。後これだけだろ? 3時間も不要だ。終わったら一応メール入れといてやるから、安心して寝とけ」
「……あー……じゃあ、よろしく。あんたに任せるわ。なんかあったら電話してね」
そう言うと、お先、と柴崎が背を向けた。
ちょっと考えて、言葉が零れた。
「…………なんかあっても北山三正と俺でやっとくから。お前ちょっと体調悪そうだし、しっかり寝ろ。…………おやすみ」
俺の言葉に柴崎が振り向いた。少し驚いた顔――――なぜか少し悔しそうに顔を顰めると、くるりと向きを変えてゆっくりと歩き出す。
「…………手塚のくせに生意気」
そう言うと、おやすみ、と返して来た。
ふ、と手塚の口角が上がる。
悔しそうな柴崎の声が、少し甘く感じて耳に心地良かった。

パソコンに向かう前に、先に、同期で同僚の柴崎の同室にメールを入れた。

     *

「大丈夫なのか?」
「……風邪薬と解熱剤飲んだから平気」
「熱は?」
「朝はまだ微熱あったけど、薬でもう下がったわよ」
翌朝、柴崎はシフトを変わって貰って遅出で出るつもりらしい、と笠原から聞いて、気になって空き時間に図書館に来ていた。
蔵書システムはすっかり元通りで、復旧作業に取り組んだ4人の評価は総じて格段に上がったらしかった。手塚にとってはどうでもいいことだが、北山三正は手塚の顔を見つけると嬉しそうにやってきて、後で上司が言葉を掛けたいって言うから来てくれよな! とテンション高く声を掛けられた。はぁ、と素っ気なく返事を返して柴崎を探す。
復旧作業はもう終わったことで、そんなことより手塚が気になるのは柴崎の体調だった。
――――柴崎がケアレスミスとか普通は有り得ないからな。
もちろん、ミスは手塚が指摘したあの1件だけで、他はすべて完璧だったから舌を巻く。
あの時笠原に「柴崎の体調が悪そうだから、それとなく様子を見てやってくれ」とメールを入れた。
1時間後くらいに笠原からメールが来て、「熱があったから、もう寝かせた」と返事が来て、やっぱりな、と溜息を吐いた。
夜通しのチェックの時に、酷く寒そうにしていたのを思い出す。
今朝はまだ熱があったらしい柴崎は、それでも遅出で勤務に入っていた。ワゴンを押す黒髪が見えて、柴崎に声をかけたのだ。
まだ本調子ではなさそうだな、と顔を見て手塚は思う。
「……そうは言うけど、鼻声だし、疲れた顔してるぞ」
言ったら睨まれた。
だけどやっぱりまだ少し、柴崎の瞳にいつもの目力がない。
「女性に向かって疲れた顔とか、ホントサイテー! 無神経にも程があるわ!!!」
プリプリと怒りつつ、押していたワゴンから十数冊選んで手塚に押し付けた。
「悪態吐いた罰! それ直しといてね!!」
そう言うと、最後に、ポケットから出した飴をちょこんと一番上に置かれて、瞬く。
「人のことばっか言うけど、あんただって昨日から、ちょっと声、変なんだからね!」
じゃあね! とくるりと背を向けられる。
ったく、やっぱ心配して損した。癪に障るヤツだ――――。
素っ気無い柴崎の態度に少し不貞腐れた気持ちが湧く。
あ。
……ったく、やっぱすげぇヤツ。
本を直しながら、押し付けられた本がすべて棚の上段のものばかりなことに気付く。――――正直舌を巻いた。
やっぱ一筋縄じゃいかなくて、効率よく仕事の出来るヤツだと認めざるを得ない。
仕事の熟しっぷりは自分と同じか、それ以上なのだ。

だからだよな、――――部署も違うっていうのにちょっと気になるんだよ。

言い訳のようにそんなことを思いつつ本を直し終えて、まだ手の中に残っていた飴を見つめる。
袋には、梅のど飴と書いてあった。飴なんてついぞ食べてない。基本的に甘いものは好きじゃない。
けど。
なぜか、食べたくなった。
…………他のやつにやりたくないしな。
そんなことが頭に過って、慌てて、これなら食べれそうだし、と自分に言い訳しつつ、そっと袋を開けて口に掘り込む。
甘酸っぱい。
――――たまにはこういうのもいいかもな、なんて柔らかな微笑みが浮かんでいたことを、今の手塚はまだ知らない。



 < Fin >






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06:00  |  *『図書館戦争』二次小説  |  TB(0)  |  CM(13)  |  EDIT  |  Top↑

★降臨~~~けど、あわあわあわ…

あーるえいち様

コメレスは、コメントのお返事だから、お返事のお返事はなくても大丈夫ですよ~~って知ってるか(笑)
コメレスのレスをありがとうございます!!
でも、頂いて良かった!!(ナニソレ★苦笑)
実は、実は、実は、実は、実はなんですけどー!
あの後ね、ネタ降臨したんですよねー!!!
ヤバーいヤバーいヤバーいwwとかなりの萌えを貰ったせいか、手塚を護る柴崎像がもう萌えすぎでww
そしたら、完全パラレルで、長編(普通の長編(笑)…………言の葉とかキジョウくらいかな?)だけど、設定とかブワーッとネタ降って来まして。
それがねぇ、もう私の中では萌えなので、ヤバーいヤバーいヤバーいwwと悶えておりますww
でも、今の『ひとり寝る夜~』を終わらせないと、長編だし、降臨したネタに夢中になったら絶対に『ひとり寝る夜~』を忘れてしまう!!という感じで…………早く『ひとり寝る夜~』を終わらせて、書きたい…!
申し訳ないけど、昨年のリクエストよりも先に書きたい…!
(でないと、長編ネタなので、多分どっかが忘れてしまう…!!!)
いやもう、完全なるパラレルで申し訳ないのですが(図書戦の世界ではないです)、ネタは無事に降臨しておりますので、『ひとり寝る夜~』を完結するまでに忘れないことを祈っておいて下さい…!!!

…………と、お伝えしたかったので、コメレスレス頂いて良かったです(笑)

> 柴崎が1番好きなキャラクターなんですよ〜
> 手柴は私の萌えポイントを的確に突いてくるカップルでして…
ですよねぇww
堪りませんよねェww
なんなんですかね、あの…………まぁ手柴ファンとはいえ人それぞれ萌えポイントは違うかもしれませんが、でも手柴のあの絆と言うかそこはかとなくジレッたくも駄々漏れ感とか本当に堪りませんよね!!
いやー私も、自分が嵌った時にまさか手柴がマイナーとは思わず、手柴は数少ないんだよ、と手柴サイトさんに聞いて超驚きましたもん!!!図書戦って本当に不思議と堂郁が独り勝ち(苦笑★いや表現の仕方が悪くて済みません!!)なんですよね。
私も、あーるえいち様と同じく、
> 手柴作品を見つけてワクワクしながら開いてみても閉鎖されていて読めない作品がたくさんあって「もっと早くハマりたかった…(涙)」と思っています。
という目にいっぱい合いましたよ~~~~。
まぁでも、私の場合は、もしも読みたい時に読みたいものがいっぱいあったら、書く方には回っていなかったと思うので、今私がここに居るのは手柴サイトさんが本当に少なかった!!ということに端を発してるかな、とも思います。
読みたい時に読みたいものがあれば、もう満足できますもんね♪
ちなみに私は堂郁は、原作でもうお腹いっぱいだ~~wwと思ったので、きっと堂郁ではなくて手柴が気になって気になって仕方がなくなったんじゃないかな? とも思ったりしてます(笑)
そして、手柴っていいよね~~~~手柴は萌えるよね~~~~と、二次を書きながらヒッソリと皆さんに主張しているという……いや端っこでチマッとやってるだけじゃあ、なかなか気付いて貰えないのですけどね。
pixivで、たまに、堂郁の方でも手柴を書いて下さる時とかあって、その話が超萌えだと、「また手柴もお願いします~!」って意味も兼ねてめっちゃコメントしちゃう私(笑)…………なかなか皆様書いて下さらないですけどね(大泣)
でも、見つけると、宝物を見つけた気分にもなりませんか?
発掘気分♪(笑)

ってなわけで。
コメレスのレスのレスですので、その更にレスはなくて大丈夫ですからね?(笑)
なんせ、早く『ひとり寝る夜~』を完結させたいです!!
後半の半ばに、『ひとり寝る夜~』の最大の萌えポイントが来る筈なので(…………ああでも!私にとっては萌えポイントだけど皆様にとっては全然萌えなかったりして……ひいいいいいいいッ)、それをお楽しみにして下されば…………。
ちなみに、じゃあ、その萌えポイントが終わったらこの話はどうなるの?って感じで私も不安ですが……(ヲイ)

そしたら次は、『手塚を護る柴崎』パラレルかなー。
あー、忘れないようにしなくちゃ!!!ヤバい~~~~(大汗)

ツンデレラ |  2017年03月12日(日) 06:45 | URL 【コメント編集】

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 |  2017年03月11日(土) 22:44 |  【コメント編集】

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 |  2017年03月10日(金) 01:18 |  【コメント編集】

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 |  2017年03月10日(金) 00:54 |  【コメント編集】

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 |  2017年03月09日(木) 21:49 |  【コメント編集】

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 |  2017年03月09日(木) 21:46 |  【コメント編集】

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 |  2017年03月09日(木) 18:29 |  【コメント編集】

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