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2017.01.30 (Mon)

≪背中の靴跡シリーズ≫ 『ひとり寝る夜の明くる間は』~vol.44~

≪ ひとり寝る夜の明くる間は~vol.44~ ≫背中の靴跡シリーズ
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
  歎きつつ ひとり寝(ぬ)る夜の 明くる間は
   いかに久しき ものとかは知る
         右大将道綱母(53番) 『拾遺集』恋四・912
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



【More・・・】

≪ ひとり寝る夜の明くる間は~vol.44~ ≫背中の靴跡シリーズ


マコと会うことが出来てから、俄然、やる気が出てきた。いやもちろんこれまでだって精力的に頑張っていたけれど、想うように成果の出ない照合作業に、少し気持ちが萎えていたんだと、マコに会った後の俺は気付く。
警察に籠ってあれだけ松和会メンバーの顔写真を見て、記憶の中の人物が居ないかとしらみつぶしに探してみたけれど俺の記憶の中にある人物の顔はなかった。折口からの資料もくまなく目を通したけれど何もなく……。
探しても探しても見つけられない実行犯――――このままもし、犯人が見つからなかったら…………と思えば、もう二度とマコに――――麻子に会えないかもしれない、と気持ちが少し弱っていたようで、情けない。
もちろん、諦めていたわけじゃないけれど、新しい写真が入った、と麗華から連絡を貰うたびに今度こそ、と思う気持ちと同じくらい、また駄目かもしれないという憂鬱な気持ちも心に抱えていたような気がする。
――――けれど、そんな弱気な自分は、今はもうどこにも居ない。
なんとしてでも麻子を取り戻す。
ただそれだけを想う。

『…………何かわかったことがあったら、報告しに来て……』

そう言ってくれたんだ。
――――会いに行ける。
それだけで気持ちが驚く程軽くなった。
それは病院での別れ際だった。
「絶対に無理は駄目よ、余計なことに首は突っ込まないで。絶対無茶をしちゃ駄目」
不安そうに念を押すマコは、怖いくらい真剣で――――俺を大事に想ってくれている気持ちが現れていて嬉しかった。
「わかってる。――――またしばらく会えないけど――――花は贈るから」と言った俺に、困ったような泣きそうな顔をするから抱き締めたくて仕方がなかった。
後ろ髪が引かれる思いを断ち切ろうと、じゃあ…またな、と小さな頭をそっと撫でて立ち上がった俺に、俯いたまま、マコがボソッと呟いたのだ。
「…………余計なことしてないか監督するし…………何かわかったことがあったら、報告しに来て……」
思わず目を見開いて、見つめた。
俯いたままで表情は見えないけれど――――、けど今、『報告しに来て』とマコが言ったのだ。
『来て』とマコの方から口にしたのだ。
思わず嬉しくて口元が緩んだ。
「…………ああ。……早く報告に来れるようにする」
そう言えば、「~~~~は、早くじゃなくてもいいわよ、無茶しないでって言ってるでしょ!」なんて詰られたけれど。
だけどそれだけで、会えないと思う気持ちが、少し楽になった。
早く、何か掴んで会いに行きたい。
胸を張って会いに行きたい、という気持ちになる。

だって、マコの方から、会いに来てもいいと言ってくれてるんだ。

思いっきり拒絶されることが解っていながら会いに行った。
会って、確かに散々俺を拒絶しようといろんな言葉を浴びせられたけれど、どれも大したものではなかった。
覚悟していた言葉だったからか簡単に受け止めることが出来た。
――――むしろ、必死に言葉で斬り付けてくるくせに、自分の意志とは裏腹に涙が零れるらしいマコは――――正直、愛おしすぎて可愛すぎた。健気でいじらしい……。必死に俺を拒否しようとして、本心では俺を求める気持ちが涙となって溢れると思えば、愛おしさに抱き締めたい気持ちしか湧かなかった。

――――まさか、一番のネックになっていたことが、『子供が産めない』ってことだったなんてな。

相応しくない――――その言葉の意味を考えたことがなかった。
……確かに、兄が家を出た後――――たまに父から手塚家の資産運営の話なんかを聞く機会が増えた。図書館協会の会長職だけではなく、大手企業の経営顧問や相談役、母方の財閥が手掛ける企業の方の重役ポスト等、父の携わる事業は多く――――株や証券だけでなく資産運用面も手広い。もちろん、兄が家を出る前から知っていたこともあるけれど、兄が出て行ってからの方が詳細に突っ込んだ話をされている気はしていた。……万一、父に何かあった時には俺がそれを継いできちんと管理して手塚家を守れということなのだろうと理解していた。
――――そういう意味では、後継ぎ、という考えが両親にないとは言えない……。

…………けど、後継ぎを作る為に結婚するのか?
――――悪いが、今の俺にはそんなこと出来ない。

見つけてしまったから。――――大事に想える、ただ一人の人を。

触れたくて堪らなくなるのはあいつだけだ。
こんな衝動を知ってしまったら、もう他の女なんかとても見れない。
意地っ張りで意固地で素直じゃないけど、誰よりも俺のことを大事に想ってくれてる…………。
結局のところ、あいつが俺を大事に想ってくれている気持ちに1ミリもブレがないことを確信した。
俺に危険なことをさせないように、危険から遠ざけようとして必死に拒絶したり、手塚家の後継ぎを産めないから自分は相応しくないと婚約破棄までして距離をとったり――――どれもこれも全部俺の為だと、俺を想ってのことだと確信して――――愛おしくて堪らくて、触れずにおられなくなった。
――――せめて髪に口付るくらいなら今だって許されるかと口付けただけで、マコから甘い声が零れて夢中になった。――――だって、まさか髪に口付けただけで――――喘ぐかのような甘い声。身を捩って逃げるのもベッドに沈んだ横顔は誘うように薔薇色の蕩けそうな表情をしていて――――正直、猛る血を押さえられずムクリと下半身が完全に勃ち上がっていた。――――ヤバかった…。
駄目だ、と自身を堪えつつも触れたくて仕方がなくて――――けど、まだ体力もろくに回復していない相手にそんなこと――――と理性を掻き集めて、なんとか堪えるように耳元に返事をして身体を引き剥がした。囁くだけで身を竦めて震えたマコに、もういっそすべてに口付けを落としたくなったけれど、鋼の精神力で堪えた。
――――ヤバい。
以前の俺は、常に、マコは駄目だ、と思って自制していた。勝手に触れちゃ駄目だ、マコは兄貴の恋人で、俺のことなんかなんとも思ってないって…………。
その境界線がなくなると、こんなに触れたくて堪らなく止まらないとは思わなかった。
まだ食事もままならないフラフラしてるあいつに深く深く口付けたくなる。――――体力的にそんなこと強いては駄目だと必死に理性を掻き集めて耐えた。
衝動を堪えて、ただただマコを宥めるために優しく背中を擦ることだけに意識を集中して、自分の血の昂りを治めていたら、――――ノックがして看護婦が入って来た。
第三者が来てくれたことに感謝する。
それくらい、触れる背中からも触れたくて抱き締めたくて、ずっと堪えていたから。
看護婦は、俺が持参したマコの好きな高山の柚子茶を手に、柚子茶は飲んでもいいそうですよ、と伝えに来てくれた。ただし口にした飲食物に関してはきちんと報告して下さい、とのことだった。
無理矢理マコから離れる口実に、じゃあ許可も出たし柚子茶飲んでみないか? と言った俺に、看護婦は今から点滴を入れるから飲むならその後にして下さい、と言い、点滴の前にトイレに行ってみようとマコに声をかけ――――今のマコにはトイレに行くのも重労働なのだと知った。
今のマコは、自力で立てなくなっていた。手術の後からずっと寝たきりだった上、エネルギー源は点滴だけ……。ベッドから足を下ろして掴まり立ちをするのもフラフラと覚束ない。手も足も震えて、必死に力を込めているのだろう呼吸が乱れる。いっそ抱きかかえて車椅子に乗せてやりたくなったけれど、これもリハビリの一環だからと出来るだけ手伝わないように言われ、看護婦は慣れたもので車椅子の向きや場所を変えてマコに出来るだけ自力で座らせると部屋を出た。車椅子に乗ったマコは、はぁはぁとそれだけで肩で息を吐いていた。
トイレに行くマコに、今のうちに俺も昼を買ってくる、とマコに断って、急いで行って買って帰ってきたら――――まだ部屋に戻ってきていなかった。病院のコンビニで買った昼ご飯をあらかた食べ終わった頃になってようやく帰ってきたマコは、特殊部隊の訓練をした後のように疲労を滲ませてもはや手足に力もまるで籠らなくなっていて――――最後の車椅子からベッドへの移動は看護婦がほぼ手伝っていた。
…………まだまだ普通の生活には戻れないだろうとわかった一コマだった。

もう少し食べられるようになればいいんだが…………。

持参した柚子茶が期待の星となった。
柚子茶は、美味しい、と言って飲んでいたマコ。高山が嬉しそうにはしゃいでいた。

俺に見られて点滴を受けるのは嫌だ、帰れ、と相変わらず追い返したがるマコに、じゃあ俺は見ないように点滴が終わるまで寝てるから、と言って枕元の椅子で本当に寝てしまっていた。気配を感じて目を覚ますと、柴崎の母と高山が病室の扉を開けているところで、マコを見れば点滴を受けながら眠ってしまっていたようだった。俺の方に向けられていた顔が穏やかそうで安心した。
入って来た柴崎の母や高山と小声でしゃべっていたら、すぐにマコも目を覚ました。状況を把握すると寝顔を晒していた羞恥からだろう、頬を染めて眉を顰めるマコが可愛かった。
点滴のせいもあってか、目覚めたマコはスッキリとして少し元気で――――嬉しくなって「柚子茶、飲むか?」と尋ねたら「少しだけ…」と答えてくれた。高山が作ってくれた柚子茶を持参したんだ、と言えば、どうせならみんなで柚子茶を飲みましょうよ! と高山が嬉しそうにはしゃいだ。また作っておきますから、どんどん飲んで下さい! と胸を叩いたりして。
ほわりと漂う甘い優しい香り。
柴崎の母も喜んくれて、ああホッとするねぇ、なんて言いながら、昼のランチの話をして盛り上がる。なんでも、高山のおすすめの店に行くまでに2人で道に迷ったらしいのだ。
マコも、ほわりと漂う香りにホッとするような顔を見せて――――話を聞きながら明るく笑っていた。
ふうふうとカップに息を吹きかけて冷ます仕草が幼くて可愛い。
そっと口を付けて――――コクリ、と喉元が動く。ほんの1口。だけど、ふわりと笑って「……美味し……」と呟いた。このレシピ、いつか教えてね、なんて話をする。言われた高山も嬉しそうだった。
ちびり、ちびりとだけど、時間をかけてゆっくりと柚子茶を半分以上飲んでいた。
「やっぱり美味しいと飲めるんですよねぇ。病院食は味気なさすぎますもの」と高山は溜息だ。
「でも、少しずつこうして食べられるようになったら、お母さん達も差し入れしやすいしね」
「差し入れがOKとは思わなかったですものねェ。こんなことならもっと早く、柚子茶を持って来てあげればよかったですね」
そう言って皆が笑っていた。
点滴と柚子茶の効果でか、しばらくしてまたトイレに行きたくなったマコは、あの重労働を再びすることとなったが、看護婦や高山に言わせるとそれはいい傾向なのだそうだ。
消化器官がちゃんと動いている証拠となるし、動くことは疲労することでもあるけれど、大事なリハビリで、こうして少しずつ手足の力を取り戻していくのだそうだ。
…………少しずつ、少しずつの、時間のかかることだけれど、ゆっくりゆっくり回復していけばいい。
持って行った柚子茶が、そのきっかけになるならばこんなに嬉しいことはなかった。

あの後、高山は、お粥なんかも手作りで持ち込むようにしたらしい。
『私の持って行ったお粥だとね、茶碗に半分くらいは食べられるんですよ!』と誇らしげに胸を張る高山に感謝した。
少しずつ、少しずつ、食べられるように…………。
そして高山のお世辞かもしれないが『光さんと会ってから、マコさん、とても調子がいいんですよ』と嬉しそうに言われた言葉に勇気を貰う。
『ただただ必死になって、早く動けるようにならなくちゃ、ご飯を食べなくちゃ、と焦る気持ちだけが空回りして、嫌がる身体を無理矢理無茶していた感じがなくなって――――元気になりたいっていう気持ちがマコさんの中に湧き上がっていて、その気力がマコさんを前向きに動かしているような感じがします』
そんな風に言われたら。
俺も凹んでる場合じゃないと頑張れる。

警察だけじゃなく、折口の方からもいろいろな情報が来たけれど、なかなか手掛かりは見つからない。
いっそ、世相社の資料庫を見せて貰えないでしょうか、と頼んだら、社長に頼み込んで許可を貰ってくれた。
企業秘密の資料もあるだろうに、寛大な承諾に心から感謝した。深々と頭を下げた俺に、折口は笑って「いいのよ。ここ5年程の資料は全部目を通したつもりだけど、手塚くん本人が探す方が確実だと思うの。私もなかなか事件の情報収集にばかり手を回せないし、直接見て貰う方がいいかなって思ってたから」と言った。
ただし、持ち出し禁止の資料が多いため、世相社の資料室にしばらく籠ることになる。
堂上に事情を話をしようと席に行くと、堂上は俺を連れて玄田隊長の元へと向かった。
「隊長からお前に用があるそうだ」
そう言った堂上は手塚の肩を叩くと退室した。
「手塚三正に調査を命ずる。関東図書基地図書隊員、柴崎麻子三正の襲撃事件について調査せよ。調査に当たっている期間中は図書隊の職務よりもそちらを優先とせよ。報告はして貰うが事後報告でも可とする。いいな?
……柴崎は俺らの大事な情報屋だからな。なんとしても糸口を掴め!」
「はい!」
背筋を伸ばして敬礼で受諾する。そして「ありがとうございます」と深々と頭を下げた。
公的に堂々と自由に事件について調査出来るように、俺の待遇を考慮してくれたのだ。
折口から話を聞いたんだろう。しばらく出版社に籠るんだろう、腐って身体を鈍らせんなよ、と檄が飛び、ご心配には及びません。自己鍛錬を欠かすつもりはありません、と答えると、お前らしい返事だと笑って肩を叩かれた。堂上の10倍はあるんじゃないかというその力に思わず顔を顰めてしまったことは仕方がないだろう。


世相社の資料室は、膨大な資料の山だった。
資料として集められた出版物のみならず、記者の手書きの手記なども事件ごとにノートにまとめられており、代々の記者達の熱い想いをヒシヒシと感じた。
ここ最近の松和会関係の資料は折口がまとめて教えてくれていたので、何冊か目を通したものの内容はほぼ頭に入っていることばかりだった。
過去に遡って――――どのあたりから手を付けようかと悩んだが、祖父と関係があったと言う設立時の松山と和木について興味が湧く。いっそのこと最初から手を付けてみようかと決め、松和会についての最初の記事は新世相に載っていた『知られざる高度経済成長の裏側』というもので、メディア良化法もない時代らしくかなり厳しい辺りまで追及する内容になっていた。だが発行後3週間で差し止めとなったらしい。手記には記者の悔しい気持ちが一言綴られていた。
――――暴力団さながらだな…………。
ある意味、暴力団指定がない組織だけに、性質も悪い。規制を受けない組織団体だ。
東京裁判を免れた将校らは、戦後、財閥系企業に所属したり政界に進出した者が多く、高度経済成長の波に乗り再び地位や名誉、そして財力を身に着けた者が多かった。初代和木派の会長や初代松山派の会長はそんな彼らとの結び付きもあり、法務省、経済省、防衛省と政界にも顔が利き、財閥企業とも近しい間柄だったせいで、公的にも私的にも海外貿易で経済成長を支える一端を担っていたらしい。
新世相では、裏の顔として海外からの武器弾薬の輸入を主として請け負っていた側面を取り上げており、正式な取引以外の不明瞭な輸入武器等があることを証し、その武器の横流し先の行方について言及するような内容となっていた。その記者の手記を見れば、いくつかの暴力団との取引きの可能性や、それ以外の可能性についても調査を進めていた途中だったと見られるが、手記は唐突に終わっていた。
取材の打ち切りだったのだろうか。
その次に松和会の名前が上がるのは、良化特務機関の武装についての記事だ。メディア良化隊の武器弾薬の購入先の1つとして松和会の名前が上がっている。…………けど、確か微々たるものではあったけれど、図書隊の購入先の1つにも松和会の名前はあった気がする……。それだけ、武器の輸出入を牛耳っているということかもしれない。
この記事を書いた人は酷く几帳面な人だったらしく、松和会について記事には不要なことまで詳細に調べている。手記には松和会の主力メンバーについての経歴等から関連する組織、家系についてまで…………。色褪せた松和会メンバーの集合写真まである。杉谷の父親がまだ会長だった頃の写真だろう。真ん中に座る松山会長と和木会長、その横に並ぶ重鎮、後ろに立つ…………。
――――写真の中のとある人に目が留まる。後ろに立つ人の左から二番目――――手塚へ殴りかかってきた犯人に「止めろ」と制止した人物に似てる…………。
この写真に載っている人物について書かれたものがないかと手記を捲る。この集合写真に居るということは幹部の筈だ。様々な人についての記述はあるけれど、どれが誰だか手塚にはわからない。
他の記事についても調べてみたけれど、その人物が出てくることはなかった。
――――似てる――――……とはいえ、同一人物ではないだろう。この写真とあの男は同じくらいの年齢だ。――――可能性としてはこの男の子供かもしれない、と思う。
事件を調べるようになってようやく掴んだ犯人への糸口。
だけど、プツリとその後が続かない。
3時頃に折口がコーヒーを手に入ってきてくれた。取材に出ている日以外は、休憩時間にこうして顔を出してくれる。折口に写真を見せると、大体の人物については名前が上がった程のもので、本当に松和会の主力メンバーを撮影した写真らしい。
「…よく、こんな写真を手に入れてたわね」と驚いていた。
しかし、折口をもってしても記憶の中の人物に似たその人が誰かはわからない。
写真のコピーを許可して貰い、携帯でも撮らせてもらう。
「……この人物、私の方でも調べてみるわ。ここに写ってるってことはコアメンバーだと思うんだけど……でも全然記憶にない顔だし、表には絶対出て来ない裏の闇取引を担っていた人物かもしれないわね…」
言いつつ折口の顔が曇るから、「……折口さんの手は借りなくても大丈夫です。知り合いの警察に持ち込んでみます。裏の取引を担っていた人物だとしたら、警察の方が目を付けている可能性が高いですから。松和会を指定暴力団にするべく追っている班もあるようですし、そっちの方が近道でしょう」と言えば、少し心配そうな目を向ける。
「……松和会に裏の顔があることは知られているけど、踏み込めないの……。気を付けた方がいいわ……」
「わかってます。その点は警察の手を借りながら進める方が良さそうですね」
「……そうね、その方が安全かもね……。手塚くんはそこまでの無茶をしないとは思うけど……」
「大丈夫ですよ、俺には隊長みたいな真似は出来ませんから」
そう言うと、ようやく折口が苦笑した。
「――――そうよね。彼を長年見てるから、ついキナ臭いものがあると飛び込んでいっちゃうんじゃないかとヒヤヒヤしちゃうのよね。もちろん策があってのことだって後から言われるんだけど……待ってるこっちの身にはちっともなってくれないんだから」
そう言いながら、ふと折口の手が指輪に触れていた。

――――あれ?

指輪なんかしてたっけ、とふと思って――――だけど、そういうことにまるで興味のない手塚には、どうだったかの記憶は欠片もなかった。



……To be continued.







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05:10  |  *『図書館戦争』二次小説  |  TB(0)  |  CM(6)  |  EDIT  |  Top↑

★Re: 一歩

アリアアリス様

> 会えた事。
> 言えた気持ち。
> 振り返る自分の思い。
> ...そして会える約束。
>
> 触れた「熱」を想い、その一歩を。

----って、どんだけ素敵な言葉を並べて下さるんですか!!
ええ、かなり手塚は自分の中のオオカミを自覚しつつ(堪えつつ)、「事件が解決した日には、あの「熱」の先に続く一歩(二歩、三歩)を…!」と気力充実、やる気充填、その気満々です!!(笑)
いやー……「兄貴の彼女」って枷が無くなった自分への、本能を押さえつける難しさを現在体感中じゃないでしょうか(笑)
いやもう、手塚の目から見たら明らかに「マコ(麻子)は依然とまったく変わらず俺が好き」って見えてる見えてる(笑)
自分のことを思ってくれて、健気に切なく涙を零す彼女を目の前に見せられたらもう……「いいの? 襲ってもいいのか?」ってなるわなー(笑)
まぁ、襲っても、ではなく、キスしても、くらいに必死に理性を掻き集めて押しとどめてたんでしょうけれど(笑)
いやもうけど、頭頂部にチューし過ぎ!(笑)
いやはや私もかなり手柴不足の欲求不満が溜まりまくってたんだわー!と自覚しましたね…(苦笑)
多分これでマコさんが回復してきたらもう、ヤバいヤバいヤバい……(笑)
まぁ入院中の堂上さんがお見舞いに来た郁ちゃんにキスしまくりだったように、手塚も師匠を見習って必死にそれで熱を代替しといてもらわねば!(笑)

> 手塚としては、いくら柴崎が生きていてくれる場所を取り戻すと言ってても、この先、会える保証もないままだった今までとは違い、心身ともに活力を取り戻すキッカケになりましたね。
そうですねー!
やっぱり、彼女の為に頑張ろうって思っていても、それも彼女の為じゃなくて自分の気持ちがそうしたいって思ってても、でも、彼女からは自分は切られる、彼女は自分を見てくれるだろうか、と不安な気持ちを抱えながらだと、成果が上がって来なかったら「……もしかしたら、俺達はこのまま……」なんてナーバスになるんじゃないかと思うんですよね。
小さな不安なんですけど、やはり、会えない状況の中で小さくても不安を抱えつつ、成果が上がってこない毎日を過ごすって、かなり手塚がいくら真面目でコツコツ頑張ることが苦にならなくても、、、苦になってきますよね、そりゃ…。
毎日毎日、何かが不足してる(何かって、マコ(麻子)なんですが)中で、それは仕方がない、と自分を押さえつつ…ってそりゃ辛いわー…。なので、ほんのちょっとのことでも、マコさんの欠片を集めて、その残された物に触れることで少しでもマコさんに触れているような気持ちを持たせて紛らしていたんだと思うので、実物に触れられて、しかも実物は自分のことを全然嫌いになっていなくてむしろ自分を想って想ってくれた結果の行動や言葉だったと思えばもう、手塚は舞い上がって気力充実!やる気充填!ですよねー(笑)

> なんとなく気持ち的にお見舞いの帰り道スキップしてたんじゃないかと想像してしまう。しかもニヤニヤしながら(笑)
いやもう、まさしく、そうだったんじゃないでしょうか?!(爆笑)
鼻歌まで歌う感じで♪(笑)

> もう、なんとなく点滴中に寝入っていた手塚を見つめながら...
いやーもう、ここは本当に、アリアアリス様妄想でいきましょう!
意外に(?)スコン、と本気で寝だした手塚に気付いて(それまではきっと顔を背けていたと思うし)、手塚の寝顔を見ながら、まさしくアリアアリス様が言葉で表してくれたようなことを、マコさんはずっと思いながら、いつしか安心して自分も寝入ってしまっていたと思います!!!(力説(笑))
柴崎も、本当に、ちゃんと手塚と話が出来て(というか手塚が話をしてくれたので)、かなり気を許せる一時(1日)だったんでしょうね。手塚の香りがあるだけで本能的に安心してるだろうし、張りつめていた気持ちも全部手塚が絆していってくれたので、1日でマコさんの気持ちの持ちようも随分と変わったんだと思います。
ホント、このお見舞いの日だけでも、相当な睡眠補充は出来ましたもんね!!!
安心して眠れる、という気持ちの贈り物は、今のマコさんにはもう必須ですので、それにさらに、手塚が無茶なことをしないように自分が早く元気になって見ていなくちゃって気持ちも湧いたと思うし、マコさんのやる気も気力も補充されたと思います!!
そりゃもう、お見舞いの後は、マコさんの調子も上向きになりますよね♪(笑)

そして、気力や精神力が上向きになると、気運も上向きになるもんなんですよねー(笑)

さぁこっからが、手塚の勝負なので…………頑張って貰いましょう!!!
手塚ガンバレー!!!

ツンデレラ |  2017年02月06日(月) 06:15 | URL 【コメント編集】

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このコメントは管理人のみ閲覧できます
 |  2017年02月05日(日) 18:56 |  【コメント編集】

★Re: おぉー、

Sauly様

おおおーっ!!!
Sauly様の方には、いつの間にか、子供が…ッ!!!Σ( ̄◇ ̄*)エェッ
かなり上をいく展開でしたー!!!
まさか、まさかです…!!!

Sauly様の方のお話の柴崎の安否は…………実は想像していた感じだったので、一応大丈夫です!
植物人間に近いんじゃないかなって、実は想像していました……(ToT)
だって、あれだけの爆発です…………「あれで死んでないなんて嘘っぽいでしょう?」ってサラリと死んだことになっていても仕方がない展開ではありましたから…………。
むしろ、生きてますよね?!って私がしつこく(苦笑)せがんだので、こうして生かしてくれたのかもしれない、とまで思えたりもして感謝しています…………。
後は、最後の最後でいいので、柴崎が目を覚ましてくれたら!

しかし~~~~まさか、柴崎まで双子…………。
この展開に、本当に目玉が飛び出そうなくらいの衝撃でした(笑)
無事に生まれて来てくれた2人の子供にも感謝ですね……!!!
いやもう、爆発事件の直後は、流石に柴崎もいろんな薬使ったと思うし、本当に無事に生まれて来てくれて良かった……。
この、飛んだ2年間の手柴の話があれば、涙なしには読めないお話が出来そうですよね。
自分の命を懸けてでも、産む、と柴崎が決意するあたりとか。

いろいろと、自らもダメージを受けながらも、お話を書いて下さってありがとうございました!!!
ホント、みんなに見守られながら、柴崎がいつか目を覚ます日を楽しみにしています!!!


ツンデレラ |  2017年01月30日(月) 14:13 | URL 【コメント編集】

★コレが終わったら、いろいろ幸せが…ww

ママ様

早々のコメントありがとうございます!!!
そうですね、手塚の気持ちが、結局のところ、襲撃事件の前も、記憶喪失中も、記憶喪失から記憶を取り戻した今も、一つも柴崎へ向ける愛情にブレがなく、むしろもっともっとという感じに大事に大切に想ってくれていることが伝わって、柴崎の気力に活力を与えてくれたんだと思いますね~!!!
手塚が、会えない時間もずっと、柴崎の為に事件解決に向けて行動していたり、柴崎を想って花を選んでくれていたり高山さんから話を聞いてくれてたりしていることを知って、いつまでも病院に入院してる場合じゃないって気合も入ったのかもしれません(笑)
見えない間に手塚が下手に危ない所に首を突っ込まないように、早く退院して監視しなくちゃ、くらいな気持ちも湧き上がっているのかも?(笑)
どちらも、ようやくお互いに顔を合わせて、素を見せて話が出来て、それぞれの心に新たな気力が充実してきた感じがします。
手塚も、はっきり、柴崎が自分を嫌いになったわけじゃないって実感したし…………もう、触れちゃ駄目だとかの枷が飛んで行っちゃったから、堪えるのが大変大変(笑)
いやでも病人であることには違いないんだから、ほどほどにしてやらないと、マコさん熱出ちゃうよ~~~(笑)

> 折口さんに応援を頼んで正解でしたね。
私もそう思います。
なんてったって、熱心な取材をする記者が多い出版社ですし、過去の取材記事や集めた資料は宝の山ですよ!!!
検閲の目を潜り抜けて集めた図書館とはまた違う、情報の宝の山がある場所ですし、そういう意味では最初に郁ちゃんも言ってましたが「情報のプロ」ですからね。本当に、郁ちゃんの機転はビンゴでしたよ!!!
そして、手塚が動きやすいようにフォローしてくれる図書隊の態勢…………折口さんを巻き込むことで、玄田隊長にも知れたことが本当に吉だったと思います。
さすがに堂上さんの判断だけで、図書基地から出ての作業なんかはホイホイOKは出せなかったと思うし。
そうなんですよねー。指輪!!!
実は、前回の進藤さんや緒形さんまで嗅ぎ付けて集まった小会議室3の時点では既に………なんです。触れる時間がなくて触れなかったんですが…………もしくは、流石に渡してすぐだったので、玄田隊長が「まだ付けて基地には来るな」と言っておいたのかもしれません(苦笑)
一応、私の中では、郁ちゃんが電話した時にデートしてた二人は、あの日に、玄田隊長から折口さんに指輪が……wと思っているとかいないとか(いや、思ってます……恥ずかしいなァ。。←ナゼ(笑))
手塚の認識的には、今回となりましたが(笑)
小会議室3の時にも言っていたように(言ってたかどうかは(書いているのは私なのに)うる覚えですが)、お姫様奪還作戦が成功した暁には、玄田隊長と折口さんも結婚♪ それじゃあ緒形さんも一緒にしちゃう? なんなら手柴も結婚しましょうかってことで、トリプルウェディングとかどうですか?(爆笑! んなわきゃないか?!)
…………というわけで、柴崎さん。早く奪還されてあげてください(笑)
皆の幸せが、あなたにかかっている模様です(笑)

高山さんは大ハッスルですね!(笑)
自分の作った柚子茶で、マコさんが元気に! 食欲が! ともなればもう、調子に乗ってガンガン作りますよ~(笑)
やりがいあるでしょうしね♪
そうですね、手塚家に居た時のマコさんは、あれでも、随分とマコさんにすれば食べられていたからこそ、あれだけの体力が持っていたんだと思うんですよね! なので、あれくらいは食べられるようにならないとね!!!
流石に、点滴だけで栄養をって、それじゃあトイレに行くのに使う体力(筋力)も付かないですからね~~~~。
食べられるようになれば、そこから体力も付いてくるし、気力も湧くし、食べられてるっていう自信がまた体調を快方に向かわせるだろうし、やはりそこからかな~~って思います。
そして、退院したら、ちゃんと手塚のご両親ともお話して…………早く幸せになって欲しいなww



ツンデレラ |  2017年01月30日(月) 14:00 | URL 【コメント編集】

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 |  2017年01月30日(月) 09:58 |  【コメント編集】

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 |  2017年01月30日(月) 06:39 |  【コメント編集】

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