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2016.11.14 (Mon)

≪背中の靴跡シリーズ≫ 『ひとり寝る夜の明くる間は』~vol.32~

≪ ひとり寝る夜の明くる間は~vol.32~ ≫背中の靴跡シリーズ
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
  歎きつつ ひとり寝(ぬ)る夜の 明くる間は
   いかに久しき ものとかは知る
         右大将道綱母(53番) 『拾遺集』恋四・912
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



【More・・・】

≪ ひとり寝る夜の明くる間は~vol.32~ ≫背中の靴跡シリーズ


とりあえず座ってゆっくり話そうじゃないか。
そう言われて、胸倉を掴んでいた手を振り払われた。……強張って動けなくなってしまった俺は、慧の動きについていけず、払われるままに手を離した。
むしろ振り解かれた衝動で身体が傾ぎ、ガックリ、とそのまま膝が崩れるように座り込む。

――――柴崎さんは、お前との婚約を破棄した――――

そんなバカな。
そんなこと、あるわけない。

     *

兄はゆったりと座ると、撃たれた柴崎を俺から託された後からゆっくりと話を始め出した。
柴崎の腹部には銃弾が二発。
かなり深部に杭込み、いっそこれならば貫通してくれていた方が良かった、と医者が言うような難しい場所に突き刺さり大変だったそうだ。
出血も酷く、一発は腹大動脈を掠っていてもう少しで出血死――――ショック状態に近い状態で病院に担ぎ込まれた柴崎は手術すら容易ではなかったそうだ。
柴崎を見た瞬間から担当医は、最善の手は尽くしますが覚悟はしておいて欲しい、と零したというから、今聞いても震えそうになる。
時間との闘いでもある――――そう聞いたにも関わらず、十時間以上の大手術。
とりあえずなんとか銃弾を取り除き、傷ついた腹部の臓器等の処置は施したとのことではあったが、手術室から出てきた柴崎は予断を許さない状況で、このまま生き残ることが出来るのか、それとも力尽きるのか、誰にもまったくわからなかった。ただただ生命維持装置で柴崎の命を繋ぎ、柴崎の意識が戻るのを待つ日々が続いたそうだ。
駆け付けた柴崎の両親の消耗振りも酷かったらしい。柴崎の母は心労と過労で倒れてしまい入院を要す程。
そのあたりは笠原の話と合点するし、笠原が柴崎の両親に強く言えなかったと言うのもわかる話だった。
ようやく意識が戻るまで数週間――――。
奇跡ですね、と医者が呟いたというから、本当にギリギリのところで命を繋ぎ止めたのだろう。
だが、こんな状況にありながらも不審な影は付き纏っていた。特に何かあったわけではないが、柴崎の入院以後病院に不審者の目撃が頻繁にあり、警察も病院も警戒していたらしい。ただ、不審者の目撃証言だけで、取り立てて事件のようなものは何もなかったそうではあるが。
柴崎の意識が戻って1日、2日のうちにまた不審者が頻発した。以前からの不審者情報があったせいで柴崎担当の医療従事者と親族以外にはまだ意識が戻ったことは秘密にして貰っていたというのに。看護師達は、見たことのない男達を何度も集中治療室周辺で見かけることに怯えたり何かあるのではと不安がっていた。警備や警戒の目を増やすとますます目にする機会も増えた。
……特に何も事件は起こってはいないが、やはり柴崎は監視されている……? ――――そう確証せざるを得ないような状況だった。
慧も事件について独自に調べを進めていたし、警察の情報と合わせて、あの事件が柴崎を狙ったものだと言うことはほぼ確実だそうだ。それもあり、柴崎のご両親を説得の上、承諾を得て柴崎に面会し(まだ親族しか会うことは許可されていなかった)、極秘に転院した方がいい旨を柴崎に伝えたそうだ。
まだ生命維持装置も外せていないまったく動けない柴崎に事情を説明し、狙われているのは君だから、ご両親の承諾は得ている、と極秘転院を告げると、酸素マスクの中で何かを伝えようとする声がした。聞き取ることが難しいくぐもった掠れ声で――――
…………あ……たし、…を、…………死ん…………だ、……こ……と、に…………
一文字を言うことすら苦しげに、でも、その十文字を何としても慧に伝えようというように、ただただ必死にその十文字を発していたという。
「……彼女は凄い、と心底感嘆したよ。あの状況で、あの病状で自らその決断をするとは……。極秘転院と簡単に言うが、柴崎さんの情報が漏れているあの状況では病院側にも疑いがあったからな。図書隊からも毎日のようにお見舞いに来る人が居たしどこでどう情報は漏れるともわからない。――――極秘転院でなければ転院する意味がない。……正直、転院の際には柴崎さんは一旦死んだことにさせてもらうと話しをするために面会させて貰ったようなものだったんだ。ご両親には娘の命が守られるなら、と既に承諾して貰っていたからな。…………まさか自ら、自分を死んだことにしろ、なんて言うと思わなかったよ。
――――生きていることが精一杯のあの状況でそんな判断が出来る彼女の凄さに――――正直、改めて感服したよ……彼女程素晴らしい人は居ないと確信する程にな」
「……………………」
柴崎を死んだことにする経緯には、そんなことがあったのか。
命を守る為――――確かに、狙われている自分が死んでしまうことが一番敵から身を守る手段だし、つまりそれは柴崎の周囲の人々も守る最善の手段でもあり、あの段階でそれ以上の策はなかっただろうと今ならわかる。
柴崎を死んだことにすることが――――柴崎本人、そして柴崎に関わるすべての人々を守ることに――――
「…………なぜ、柴崎なんだ……?」
思わず零れるように口を吐いた言葉は、酷く弱々しかった。
だが、声としたことで、そこが一番重要なポイントだと気付く。
――――なぜ。
――――なぜ、狙われるのは柴崎なんだ、と。
「なにがだ」
「……なぜ、柴崎が狙われなきゃならない……?」
「ああ……彼女は知り過ぎた」
「……警察での極秘調査か……? なら、麗華も……お前だって……いやむしろ、お前の方が柴崎以上に知っているだろう?!」
「まぁな。だが俺は守られている」
「~~~~どういう…ッ、お前一体…ッ!!!」
「それに関しては話が長くなる。とにかく、その件も含めて話してやるから黙って聞け。この事件は単純なものじゃない。複雑で――過去と現在が錯綜した面倒な話だ」
「……………………」

兄の話は確かに複雑で面倒な話だった。順序立てて話すことも難しい……。
一番の問題は、柴崎が『良化法成立時のブラックボックス』についてある程度のことを知ってしまったことが悲劇の元凶とも言える。元々柴崎は『ブラックボックス』に関しては珍しく消極的だった。あれだけの情報屋でありながら『ブラックボックス』にはずっと手を出そうとはしなかった。――――兄に言わせれば、無意識のうちに危険なものから自らを守るための自己防衛が無意識のうちに働いて、彼女程の情報屋でもその闇に手を出すことは憚っていたのではないかと思う、と……。
事実、手塚家の両親を襲った国立図書館視察団襲撃事件がなければ、柴崎がそれについて調べようとはしなかっただろうと手塚も思う。長年ずっと情報部候補生として情報を集めて来た彼女がそれには手を出さなかったのだ。柴崎がそこに手を出したのは、手塚の両親を襲った事件があってから――――なぜかうやむやな情報が錯綜して解決への糸口を掴むどころか日増しに糸が縺れるように絡まって事件の真相を覆い隠すかのような気配もあることに、柴崎が疑念を抱いて独自に情報を集め始めたことが彼女を『ブラックボックス』へと近づけてしまったんだろうと、慧も推察したらしい。
国立図書館視察団襲撃事件の後、柴崎がその筋の人物とコンタクトを取ったとの情報が慧の耳に入った。それは警告とも言える言葉と共に、とある方面から「……深入りさせるな。これ以上嗅ぎ回るようならそれなりの報復を受ける」との連絡だったという……。
その時点で恐らく柴崎に対して監視の目が付いただろうことは間違いない、と兄は言う。むろん、その段階では兄も柴崎本人も監視されているとは気付いていなかったが。
そして賢明な柴崎はそれ以上の深入りはしなかったし、あっさりと手を引いて近寄らなくなったから、慧をもってしても問題はなかろうと思っていた。事実、柴崎に対して不穏な何かがあるということもなかった。そのうちに、柴崎は良化隊や麦秋会について麗華と共に極秘調査をするようになり――――ある意味、ブラックボックスからは完全に遠ざかった――――。すべてはそのまま、落ち着いてくれると思っていたのに。
「……優秀な柴崎さんは、良化隊から麦秋会へと武器が流れていることを掴んだ。それが事実であれば、麦秋会だけでなく良化隊も叩ける。今の世論は良化隊が武装することに危惧の念を強く抱いているし…………現にこれまでの良化隊の素行で市街地における発砲情報等も水面下で揉み消されているが、実際不安を燻っているからな。これまで抑え込まれていただけのメディアも最近はそう言った情報も流そうとしてきつつある。
――――上手く使えば、良化法を壊滅するための糸口――――。……そこに現れたのが内閣副官房長官だ」
「……内閣…副官房長官……」
急に話が現実的なものとなってきた。
襲撃される直前に会っていた人物――――。今の手塚は、あの柴崎に厭らしい目を向ける内閣副官房長官の顔がハッキリと思い出せる。思い出して反吐が出そうだ。初対面から気にくわなかった。
「……あいつの生い立ちが少し複雑だったせいでまるで見えてこなかったんだが……、最近になってようやくわかってきた」
「…………生い立ち……?」
「――――杉谷内閣官房副長官はな、松和会(しょうわかい)の会長が外で作らせた愛人の息子だ。
その愛人というのは、松和会会長が晩年に正妻以上に愛したとまで言われる女性でな……。まぁ、40歳も違う若い女に手を出す会長の精力にも脱帽するが、会長が60歳を過ぎてからの愛人で彼女は20歳になったばかり……正妻もとても太刀打ち出来るわけがないな。彼女の賢いトコロは、会長が彼女へ多額の金を注ぎ込んで豪遊させてくれることに満足して、それ以外の会長が持つ地位等には感心がなかったことだ。息子が生まれても世継ぎ問題に口を挟もうともせず、むしろ息子の存在は闇に隠すように密かに育てていた。会長に近しいもの以外は、恐らくその息子――――杉谷内閣官房副長官の存在すら知らなかっただろう――――。
杉谷の母親は多額の金を浴びる程会長から貰って、豪遊生活することだけで満足していたようだ。自らを美しく着飾るために大金を叩くのみならず、顔や身体も美容整形で手を加え、理想の美顔やプロポーションを作り上げたらしい。家事も育児も家政婦に任せて、自らを美しくあるためにだけに毎日すべての時間を費やす程。
会長は日増しに美しくなる彼女にますます金を注ぎ込んだという…………。
だが、そんな日もいつかは終わる。
――――会長の死――――。
だが、会長の死後、意外にも彼女はアッサリと身を引いたらしい。周囲も知らぬ間に忽然と消え失せた。
会長の身に付随していた組織や遺産や地位にはまるで近寄ることもなく、ただ、彼女に与えてくれた金だけを持って(…とはいえ、その金額たるや凄いものだっただろうと予想されている)告別式の前には影も形もなくなっていた。
お蔭で彼女の身は安全で松和会に付き纏われることもなかったし、正妻も消えた彼女をそれ以上追おうとはしなかったから、彼女と息子は身を潜めつつも安穏と暮らしていたようだな。…………どうやら、手に入れた美しい容姿を駆使して、あちこちで高所得者の愛人業を続けて金には不自由なく過ごしていたらしい。……とはいえ彼女も老いる。作られたプロポーションにも違和感が現れているという噂だ。彼女が最後に落ち着いた場所は――――今の文科省のナンバー3と言われる副大臣の柳川だ」
「……文科省? 伯父さんの……」
「ああ。今回の人事でようやく副大臣の地位に上がってきた人物でな。長らく大臣政務官だった男で――――未来企画幹部でもあった男だ」
「~~~~っ?! 未来企画って…ッ!!!」
「落ち着け。ヤツとは今はもう袂を分っている」
「~~落ち着けるかッ!!! そもそもお前のことだってまだ完全に信用したわけでもないからなッ!! 未来企画の幹部ってことは、図書隊を国家機関に…………」
「まぁそういうことだな。会長である俺がこれまでの理想を覆して、検閲のないより良い未来の為に違う道を選んだというのに、幹部どもの何人かは凝り固まった頭で未だに検閲抗争における勝利の思考に捕らわれているとは…………よほど昔の俺の理論が素晴らしく、人を陶酔させるものだったかということか」
「バカな事言うなッ!!! 井の中の蛙だ!!! ~~昔のお前の屁理屈のせいで、図書館協会にしても文科省にしても『行政派』と呼ばれる派閥が面倒なことをすぐ提案して…っ」
「……まぁ、その話はそのうちでよかろう」
「よくないッッ!!!!! そのせいで……ッ、それがどれだけ重要なことか…っ」
「――――今は柴崎さんの話じゃなかったか? こっちの話が優先か?」
「~~~~~~っ!!! ~~~~く…っ、わかった……早く話せッ!!!」
苦々しげに唸るようにそう言うと、兄は朗らかに笑いながら、黙って聞いてろ、なんてほざきやがった。まったくいつまでも癪に障るヤツだ。

柳川は福島県出身の議員で大地主の家柄。地元ではかなり有名で、その金回りの良さのせいで本人に傑出した才は何も見えないにも関わらず議員当選を果たし続けている人物だ。現在、72歳。慧が未来企画を立ち上げた頃に文科省の大臣政務官を務めていた男で、慧の理念にいたく感銘を受け、時折慧の助言を受けて成果を出し始め、かれこれ10年以上も文科省大臣政務官であり続けた男だ。
8年前に妻を亡くし、1年半程前に杉谷の母と再婚。老いたとはいえ美女との再婚は噂になったそうだ。杉谷の母も金持ちの愛人として転々としながら豪遊生活を続けていたが、遂に身を固めたらしい。……微かに耳にした噂では、昔施した美容整形に無理が生じ始め崩れてきているとも聞くから、彼女なりにこれまでの生活に限界を感じたのかもしれない。まぁだがしかし、表沙汰にはまったくなっていないから推察にすぎないし、彼女の戦歴には敬意を示したくなる程、有数の高所得者ばかりを相手に世の中を渡ってきた女だ。(しかも彼女の上手いところは、愛人の地位や遺産には興味を持たずに、ただひたすらに自分に注ぎ込んでくれる大金がすべて、と割り切っている点であり(もちろん、満足する程の大金を貰い受けているからと考えられるが)、そのため、彼女の存在が表沙汰になることはほぼなく、不実の愛で家庭に支障が出るという事態はこれまで誰一人として居ず、男にとっても非常に都合のいい存在だったと思われる)
彼女の息子の杉谷が議員当選を果たしたのは6年程前。当初から思わぬ役職への抜擢があり、それは母の過去の戦歴のお蔭ではないかと慧は推察している。母の知人の伝手と言えば政界や経済界でもかなりな相手ばかりで、ほんの少し自分の母の存在をチラつかせるだけでも表に出したくない人間なら要望を鵜呑みにするだろう。
これらの事実を知ったのも最近――――杉谷について慧が情報を集め出したのは、杉谷との面会後の襲撃事件があったからに他ならない。最初はほとんど集まらなかった杉谷の情報――――それも当然のことだ。誰一人として表沙汰にしたくはない話だから。だがそれがまず、慧に胡散臭さを覚えさせた。「……なにかある」その確信の元、非常に苦心してかなり手を回して調べさせた。杉谷を持ち上げてくれる大物議員達が杉谷との関わりについてはまったく口を閉ざしているせいで情報は集まらず、ようやく最近になってわかってきたことだ、と少し忌々しげに言った。
柳川との繋がりに付いても、義理の息子であるにも関わらず、政界ではそのことはほとんど知られていない。
どのように杉谷が立ち回っているのかはわからないが、母の過去の戦歴を上手く利用しつつも表立ってはまったく無関係を装う巧みさがある。傍目には無名で目立った功績もないにもかかわらず杉谷自身が徐々に政界での地位を上げて来ているかのように見える。
まぁ……やり手と言っていいのかもしれん、と慧が苦々しげに呟いたのだから、相当な切れ者なのだろう。
正直、慧でも最初は小物だと侮っていた人物が、実は侮れない人物だったなんて、足元を掬われた感がある。
そして、一番のやっかいことは――――松和会会長の不実の子という事実だ。……と慧は言う。
そこがまた手塚には理解出来ず食い下がり、兄も不承不承ながらある程度の話をしてくれた。――――正直、手塚に話したことは恐らくごく一部。『ブラックボックス』に関わる話に繋がるだけに兄の口調も慎重で、核心部分については一切触れないながらも、必要なことが手塚にわかるようには説明してくれたのだった。

松和会。
昭和の高度成長時代に創設され、創始者は二人。旧日本軍の教育総監部で共に働いていた杉谷の父となる松山道忠と和木典秀が立ち上げた組織である。
松和会に関しては、慧から踏み込んだ話は一切出ないことから、簡単に口外できるような組織ではなく、後ろ暗い事業にかなり手を染めているものと思われる。チラリと慧の話から漏れた内容から考察するに、どうやら海外との武装、武器弾薬等の輸出入等にも若干携わっている節が見受けられ(公的に認められて、国家の承認の元商売を行っている分野もあるようだが、松和会が扱っているのはそれだけでないことも自明らしく詳細については闇だ)、組織幹部の中には、時代が許すことがあればいつの日か日本でもクーデターが起こりうるだろう、などというような問題発言をする者も居て(この発言が一時話題にも上がり松和会の存在に世間が目を向けようとした矢先、発言したと言われる人物の射殺(犯人は未だ不明)でメディアからは以後取り上げられることもなかった)、思想的にもかなりヤバい人物が集まっている組織になっているかもしれないとのことだった。
慧の元に集まった情報に寄れば、かなり大規模な密輸・密売も手掛けており、だが、警察がことを表沙汰にしない裏には国家にとっても有益な物資も流しているからではないかという噂もありややこしい。
この組織がメディア良化法の創設にかなり関与しており、法律が成立後、良化特務機関の装備があまりにも早くに整った裏にはこの組織からの武装兵器の流れがあったのではないかとも推察されている。
現在、松和会も代替わりしており、松山家、和木家で少しずつ事業分担が行われつつあるそうだが、そのあたりはまったくわからないことである。和木家の方がより闇が濃いな、とは慧の見解である。松山家はまだしも公の事業の際に出てくることが多い分、顔が見えているとのことだった。松山会長の死後、杉谷の腹違いの兄である松山家の長男が現在は後を継いでいるが、この数年、杉谷は何度か腹違いの兄と会っていたとの情報が耳に入っている。その内容まではわかっていない。
――――おそらく柴崎を襲撃したのは、この松和会の者だとの見方が強い、らしい……。
ただし、あくまでも実行犯であって、命令は違うところから出ているのではないかとの慧の見解だ。
「……なぜ実行犯が松和会の者だと? 麦秋会という可能性は?」
「ああ…。言い方が悪かった。松和会からの指示で実際の実行犯が麦秋会である可能性は確かに高い」
「~~~~っ! どういうことだッ?! 繋がってるって言うのか?!」
「組織上はまったく別組織だ。関係ない。――――だが、松和会に所属していた組員が麦秋会に流れるケースはあるようだな。どの程度どういう繋がりがあるのかはわからんが、思想的にはそんなに差はない二つの組織だ。松和会出身者が麦秋会の幹部に居る、という話も聞く」
「~~~~そういうことじゃない…ッ!!! つーか、そこまでわかってるなら警察にすぐに踏み込んで貰えば…っ!!!」
「あくまでも推察の域は出ていない話だ。警察が動くような何も掴んではいない。証拠もない。…………ただな、単なる麦秋会の組員による襲撃事件なら、俺やお前も射殺されていた筈だ。奴らには俺達に対する遠慮はないからな」
「~~な…っ、……どういう……っ?!」
「――――相手が松和会なら、俺達は守られている。――――血だよ。昔々……爺さんの功績のお蔭さ」
「功績……?」
「松山も和木も、共に東京裁判を免れた者達だ。どうやら俺達の爺さんとも戦時中は教育総監部で共に働いていたらしくてな。爺さんは極東国際軍事裁判に対してその不当さを訴え続けた人物でもあることはお前も知ってるだろう? 海外に向けて精力的にアピールするだけでなく日本においても世論を味方に付け尽力した人物として知られているからな。……まぁ、俺達の『言論の自由』への固執はある意味、爺さんから脈々と受け継がれてきた意思かもしれん。あの頃は国民も自分達の意思で意志を成し遂げる時代だった。爺さんの尽力あってこそ、現在では戦犯者も公務死扱いになったし、恩赦もあって戦犯だった人達も解放されたりもしている。
松山と和木は、爺さんの証言が強い後ろ盾となって裁判をも逃れることが出来たらしい。あの当時は裁判を受けるイコール戦犯確定、死刑か終身刑の図式が成り立っていたからな。二人共爺さんへの恩義を甚く感じて、松和会は手塚家に対して無償で奉仕する、そして事ある時には松和会は仁義をもって助く、との盟約があるらしい。だから、俺達はある程度『ブラックボックス』に近づいても、それで急に殺害されることはない。――――ある意味、逆に松和会が守ってくれるだろう」
「~~~~な…っ、知らねぇぞ、そんなのッ!!!」
「そりゃそうだな。――――松和会も代替わりした。……昔の盟約が永久にとは思わないで欲しい、と現松山家当主との会談で釘を刺された。時代が変われば人も立場も変わるとな」
「会談って――――お前、松和会と繋がってんのか?!」
「いや、繋がりはない。杉谷が松和会を動かして、柴崎さんを襲わせたのかを確かめたくて極秘に会う機会を設けて貰ったんだ。…………つい最近のことだ。マコを連れ出してお前、血相を変えただろう」
「~~~~~~ッ!!!!!」
――――あの時――――……。
柴崎は、その人物に会いたくて、無茶を承知で出掛けたのか、と合点する。
松和会の会長――――手塚にはよくわからないが、おいそれと会えるような人物ではないことはなんとなくわかる。しかも自らの暗殺指示をしたかもしれない張本人――――あのやつれ果てた身体を精神力で動かして対峙してどんな話を――――、柴崎のすべてを消耗しきって倒れてしまう程の…………。
「~~~~そいつが……指示したのか?! 何かわかったんだろうが?!」
自分の暗殺の話を聞く――――考えただけで震えそうだ。柴崎はどれだけの精神力で耐えたのだろう……考えただけで胸が痛む。
「いや、特に」
「~~~~ッッ!!!!!」
ブチッと血管が切れたような音がした気がした。腸が一瞬で煮えくり返り、兄の胸倉を掴んで身体が少し浮く程の力で締め上げる。
「嘘吐けッ!!!!! じゃあ何のために……ッ、お前はそんな無能じゃないだろッッ?!?! 掴んだこと、ちゃんと俺に話せよッッ!!!!!」
引き上げられて息が詰まったらしい兄は一瞬顔を顰めたものの、俺の罵声に瞳を瞬くと次の瞬間吹き出した。
「――――光栄だな。ちゃんとお前に認められていたか」
「~~~~~~ッッ!!!!!」
「まぁ確かに俺は無能じゃない――――むしろ『お前は有能だ』と明言して欲しかったな」
「~~~~うるさいうるさいうるさいッッ!!!!! んなこたぁ、どうでもいいッッ!!!!! 柴崎の話だ!!!!!」
「……話してやるから離せ。息苦しくて喋れん」
「~~~~ッッ!!!!!」
特に苦しげでもなく喋ってるくせにッ! と憎まれ口が思い浮かぶが、突き放すようにして開放した。兄は掴まれていた襟首に触れ、「ったく、皺になっただろうが。……お前は柴崎さんのことになると冷静さがまるでなくなるな。そんなことじゃ、ますます嫌われるぞ」なぞと言われてますます腹が立つ。
「~~~~離しただろ、さっさと話せ」
兄を睨みつけて促した。

結局のところ、柴崎の暗殺指示を出したのは松山ではないという証言を得たらしい。
慧の方でも襲撃事件については独自に極秘調査をしており、松和会の者がその事件に関わっている可能性が高い、と踏んでいた。その理由のいくつかを提示すると松山の答えは、もし松和会が何らかの形で関わっていたとしたらそれは、和木の方の指示だろうとのことだった。
松和会は元々、松山派と和木派の二大勢力がある。最初から一枚岩ではない組織だ。代が替わり時代の変化に合わせて、それぞれの事業も二極化してきており、ゆくゆくは組織分裂ということになるだろう、とまで言われていることだった。
ただ、まだどちらが持つか決まっていないものも多く、その辺りは松山派と和木派の権力抗争が密かに行われている。――――杉谷はそのあたりのことをよく把握して自分の立ち位置を得たのではないかと言う。
元々、松山は杉谷を認めていない。所詮父が外で作った愛人の子供にすぎない。杉谷の母は愛人だった松山の死後は忽然と消え、杉谷と松山家には何ら繋がりもなければ杉谷の存在が松山に影響するとはまったく考えていない。……だが、和木派にとっては松山派の火種として杉谷の存在意義があるのだろう、と松山は推測していた。杉谷が時折松和会の者と接触している感を受けたのはこの数年。松山の方にはなんら連絡はない。恐らく和木派に接触しており――――現在の杉谷をもってすれば、杉谷の力も利用出来ることから和木は杉谷と手を組んでいてもおかしくはないな、と松山は言う。和木派の方が血の気の多いものが多いことから、そういう意味でも、事件に松和会の者が関わっているということになればそれは自分の方ではない、と断言した。
むろん、松和会の会長という立場もある松山だから、万が一、組織の者が犯行に手を貸したともなれば、会長にも少なからざる火の粉が降りかかるのでは、とのこちらの言葉には一笑して切り捨てたと言う……。
「死んだ女は、自らパンドラの箱に近づいた。それに近づけば殺されるのは至極当然のものだ。誰が殺したかなぞ明るみにはなるまいよ。もし、明るみにしようとする者があれば、そいつもまた死をもって贖うことにことになるだけのことだからな。――――言っておくが、それは君にも言える。古き約束なぞ今の私にはもはや意味もないことは知っておいた方がいい。賢明な君ならばわかっているだろうが、害を為す者を助けるつもりはない」
――――殺されるのは至極当然――――
……自らの命をそう言われた柴崎は、どんな気持ちでそこに居たのだろうか。
もし自分が生きていると知れれば、命ある限りまた狙われる。
何度も、何度でも、死ぬまで。
…………それは、必死に生きてきた柴崎の生きる希望を打ち砕きはしなかっただろうか…………。
ずっと、夜の闇に怯えていた。
マコとして生きていても、ずっと麻子を苛んでいた闇。
聡い彼女は、自分を付け狙う影の存在を正確に把握して――――精神的に追い詰められていたのだと今ならわかる。

縋ってくれたら。
頼ってくれたら。

全身全霊で、俺のすべてを賭けて守ってやるのに。

でも。
だからこそ。
麻子はすべてを手放した。
何もかもを手放したのだと。

大切な者を守る為に。
大事な人々が死の影に怯えずに済むように。
闇に怯えて涙を流すのは自分だけでいいと。
このまま自分が死んでいれば、周りの人に害は及ばない、と。

麻子ならそう決意するだろう。
事実、決意したのだろう。
頑なに距離を置いて離れていった彼女の心があまりにも痛い。
叶うなら、今すぐにでも眠っている麻子を抱き締めてやりたい衝動に駆られる。
今また集中治療室で必死に生きてくれている麻子に伝えたい。
――――生きてくれてるだけでいい。
――――そこに居て、傍に居てくれるだけで。

生きていてくれて、ありがとう。

この気持ちを絶対に麻子に伝える――――そう思った。
お前が生きているから――――今の俺で居られる。
もし、お前がこの世から居なかったら――――……と思っただけで、思考が真っ白になった。
ゾクリとした悪寒と震えが走り、全身が凍り付く。
考えただけで、こうだ…………。
それ以上、考えることすら阻まれる。
もし、お前が殺されていたら。
もし、お前がどこにも居なかったら。
今の俺は、ただの復讐鬼として――――お前の仇を打つことでしか、生きていけなかったかもしれない。



……To be continued. 







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05:10  |  *『図書館戦争』二次小説  |  TB(0)  |  CM(6)  |  EDIT  |  Top↑

★Re: 箱の中身

アリアアリス様

> ーー殺されるのは至極当然のことだーー
> 「パンドラの箱」の中身は誰も知らない...。
……ハイ、私も知らないモノです。
怖いですね~~~パンドラの箱の中身はなんだったんですかね?
一応、私なりに考えてもみましたけど、これに関しては有川先生も沈黙ですよね~~。
なんなんでしょうね?
今後この話の中で必要になるとしたら、私の妄想の話になりますが、まぁ出来るだけ必要なく話が進みますように…!
ホント、パンドラの箱の中身…………そこに関わる人達が恐ろし過ぎますよね。

> 「自らの死」が生きたまま「確定」されるなんて...。
> こんな状況で柴崎は手塚に縋るなんて「絶対ありえない」
> 夜の闇に怯えて部屋の隅で震えていたマコさんが、今更ながら不憫過ぎて涙が出ます...。

ですね。。。
この段階で、柴崎は絶対に手塚に縋りません。
自分が生きているとわかれば、殺される。そう思ってますし、柴崎麻子としての人生は放棄していますから。
手塚が記憶喪失でなくて、中核で柴崎を支えていたら、多分また、話は違っていたと思うんですけどね。。。
でも、それも手塚が悪いわけでもなく、手塚も被害者で……………。
現段階で、柴崎はもう否定と拒否しか頭にないと思います。

> 慧の話に凄まじく後悔と感謝をしている手塚並みに凹みました。
…………そうなんですよね。
ここから手塚が、気持ちを立て直すのがまず大変ですが、そこは手塚が頑張るので見てやっていて下さい。
大丈夫、そんなに長くはかからないですから。

> 最初のターゲットは、おそらく...
ああ…………その辺りは、ノーコメントにしますね。
そこはもう、話の中核(苦笑)
なんだかんだ、ホント、アリアアリス様はツッコミ鋭いのですよ~~~!
ただ、現在はややこしそうに書いていますけれど、所詮私の書くものなので、別に謎が謎を呼ぶわけじゃないですけどね((((^^;)
結論見て「えー。なんだ、それだけか★」ってことに終わると思います……((((^^;)
なので、すみませんが、「パンドラの箱」にはあまり触れないかもしれないですー!ごめんなさい★

> 慧のように暗躍は出来なくとも、間違いなく「優秀」である手塚が、どう動いていくかが、今後の鍵。
そうなんです。
そうなんですよー。
そこがこの試練編です。
手塚の優秀さが試される?(苦笑)
でもね、手塚のイイトコロは、手塚自身が優秀だからだけじゃないんですよ。
それを手塚が見つけてくれることを私は祈りつつ、なんとか話を進めます!!!

いろいろ鋭い当たりは、今後の話を見守ってやって下さいね。

ツンデレラ |  2016年11月15日(火) 06:55 | URL 【コメント編集】

★……らしい!(笑)

Sauly様

Sauly様らしい妄想、ありがとうございます!(笑)
Sauly様なら躊躇なく、柴崎を苦しめ続け、この先の希望も奪った黒幕を手塚は…………ですね(笑)
そうなれば、まさに、ゴッドファーザー♪
ちゃんちゃーららん、ちゃんちゃん♪(←ゴッドファーザーのテーマ)
…………ははは。

まぁ私は、とてもそっち方面は書けないので…………手塚は悶々と頑張りますよー。

ちなみに、Sauly様妄想でいけば、私だったら、柴崎は自分の為に手を染めた手塚と一緒に海外逃亡ですねー。
自分はそこまでしてくれと思っていた訳ではないけど、でも、自分を救うためにそうなってしまったとしたら、柴崎は二人で追ってに怯えながらになるにしても、ひっそり誰にも知られずに生きる道を探して海外に行きそうな気がします。(錯乱★苦笑)
> まさに男の世界・・・
男の世界が無理だな~(笑)
チューで思い出すウチの手塚ですからねぇ。男の世界は無理(笑)
柴崎必要っす(笑)

ということで、お互い、妄想内に留めておきましょうね~(笑)


ツンデレラ |  2016年11月15日(火) 06:39 | URL 【コメント編集】

★ネガティブキャンペーン中(爆笑!!)

ママ様

すみません、ややこしい話をきちんと理解して下さってありがとうございます!!
ただややこしそうに見えますが、実はそんなにまではややこしい話にはならないと思います(所詮、書いているのは私なので)
慧はこの時点で、わかってることと可能性を手塚に教えただけなので、不要な情報等も含まれてややこしくなってる、というだけなので…………
そうですね、杉谷の母がある意味ツワモノなのですよ。男に金を貰いたいだけの女で、別にツワモノってわけじゃないのですが、男に入り込む手口(まぁ見た目も相当美容整形も駆使して美しい女性ではある設定ですが)や男との関わり方(これが実は重要で、特にその男に固執はしない女性なのかなと思います)が上手すぎて怖い女性です。
お金だけは相当に貢がせてますね。
もちろん、ポロリと漏らしたりするでしょうねぇ。。。行きずりの(行きずりってワケでもないのですが、特に自分の仕事や家庭に踏み込んで来ない女という意味で)女だと思えば、あまり人に言えないことをつい言う捌け口にしたりとかしそうですもんね。
杉谷は一応そんな母に育てられてますから、自分が政界に入ってからは「自分の母」をチラつかせれば、ポロッと吐いていたヤツラにとってはなんとなく後ろ暗くて、陰からそっと手を回してくれるなんて人々がいっぱい居たと思います。なので、あまり知られていないというのは表向きで、裏では絶対表に出して言えないけれど、母の関係者がいっぱいいるのだと思います。
> のしあがる為に母の名前は効果絶大だったと言うわけだ。
この辺りのママ様妄想は、もうほんと、そのまんまだと私も思います!!

> この時点での柴崎はネガティブキャンペーン中
爆笑!!!
上手い、上手すぎますこの言い回し!!!(笑)
ネガティブキャンペーン中かぁ…………ですよね!!!(笑)

> あの襲撃から此処までの事を全部を手塚に話す事が出来るのは、お兄ちゃんを於いてはいない訳で、記憶を失ってたとはいえ後から聞かされる手塚の心情や如何に
…………です。
まさしくで、それが次に繋がっていきます。
現在、慧の話を聞いて、若干ネガティブキャンペーン中がチラつき始めている手塚です(苦笑)
多分その時に、自分が中核に居ればまだしも、終わった話を後から聞かされても、今更何も出来ることはないのですしね。
その上で、『柴崎は殺されて至極当然』という話ですから、これはもう、手塚としては…………絶賛ネガティブキャンペーン突入か?!(苦笑)
この時点では、正直、そうならざるを得ない手塚ですので…………手塚まで絶賛ネガティブキャンペーンに突入しちゃったら、もうかなり立ち直れませんよね(苦笑)
手塚にはそこは乗り越えて貰わないと、ここで話が終わっちゃうので、頑張って欲しいのです!!(力説)

> 松和会…頭脳派(松山)と武闘派(和木)に分かれてるんでしょうかね。
まぁ……そうスッパリしたものではないでしょうけれど、どっちかと言えば、松山派の方がいろいろと工作好きそうではありますね。和木派の方が力で捻じ伏せようとの行動が多い感じかと思います。和木派の方が血気盛んな若いヤツらが多いのかもしれませんね。
ママ様も仰る通り、古き盟約の意義は薄れつつあります。所詮代が変われば恩もクソもありません(苦笑)
現時点で慧と光は助かっては居ますけれど、2人だって、これから次第ではどう転ぶかもわからなくなるような危うい感じではないでしょうかね。
とはいえ、所詮ツンデレラが書くお話なので、結局のところ、いろいろ情報はありましたけれど、結論としてはそんな大したお話ではないので、壮大な話に一瞬見えたら恐縮の極みです((((^^;)

ツンデレラ |  2016年11月15日(火) 06:30 | URL 【コメント編集】

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 |  2016年11月14日(月) 22:37 |  【コメント編集】

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 |  2016年11月14日(月) 10:36 |  【コメント編集】

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 |  2016年11月14日(月) 09:20 |  【コメント編集】

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